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アルビレックス新潟レディースが2年連続の決勝へ。今季2冠の女王・ベレーザはなぜ敗れたのか(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
2年連続の決勝進出を果たした新潟L(C)松原渓

皇后杯準決勝は、12月23日に西が丘サッカー場(東京都)で2試合が行われた。ここでは 日テレ・ベレーザ (なでしこリーグ1部) vs アルビレックス新潟レディース(なでしこリーグ1部) の一戦をお伝えする。

【見どころ】

準決勝に進出した4チームは昨年と同じ顔ぶれとなり、同一対戦カードとなった。

1試合目のカードは、今季リーグ女王の日テレ・ベレーザ(以下:ベレーザ)と、昨季皇后杯で準優勝のアルビレックス新潟レディース(以下:新潟L)。

ベレーザは、今季はなでしこリーグとリーグカップのタイトルを獲得しており、皇后杯でシーズン3冠目を目指す。

チームの登録メンバー18名全員が各年代の代表選手という精鋭で、控えの選手層の厚さも光るベレーザは、準々決勝では途中出場の上辻佑実のフリーキックからのゴールが決勝点となり、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースを1−0で破って準決勝進出。攻守のタクトを握るのは、なでしこジャパンの中心選手でもある阪口夢穂。前線ではFIFA U-20女子ワールドカップに参加したU-20日本女子代表の籾木結花や長谷川唯らが躍動し、攻守に連動したサッカーを持ち味とする。今季は得点力も失点の少なさも、リーグでダントツだった。

一方、新潟Lは、準々決勝でAC長野パルセイロ・レディースを2−0と下して準決勝に進出。90分間ハードワークを続け、攻撃力のある長野Lを完封。ハードワークを持ち味とし、GK福村と、センターバックの中村楓を中心とした堅守に、上尾野辺めぐみを中心に、連動した攻撃が持ち味だ。過去5大会で3度の決勝進出を誇り、一発勝負に強い。今季で引退を発表しているMF山田頌子は、古巣対決(〜2014年までベレーザ)となった。

両者は2013年と昨年の皇后杯準決勝で対戦しているが、いずれも新潟Lが決勝に進出した。今季リーグ戦の対戦成績は1勝1敗。前期はホームで新潟Lが1−0と勝利し、後期はアウェイでベレーザが6−0と大勝した。チームカラーがはっきり異なる両チームの試合運びにも注目だ。

両チームのスタメンは以下のようになった。

【新潟L】

FW 8大石沙弥香 10上尾野辺めぐみ 

MF 28八坂芽依       24佐伯彩          

MF   15阪口萌乃  20山田頌子

DF 4渡辺彩香 3中村楓 6左山桃子 14小原由梨愛

GK       22福村香奈絵

【ベレーザ】

FW      9田中美南

FW      10籾木結花

MF 14長谷川唯      7中里優 

MF   5隅田凜 20阪口夢穂  

DF 6有吉佐織 3村松智子 22岩清水梓 4土光真代

GK      21山下杏也加

【試合レポート】

快晴の中、試合は11:00にキックオフを迎えた。

序盤は拮抗した展開で進んだ。

高い位置からプレッシャーをかける新潟に対し、ベレーザは浮き球とグラウンダーのボールを使い分け、1対1でも駆け引きを巧みに織り交ぜてテンポを作る。 

新潟はボランチの山田やセンターバックの左山も攻撃に絡み、ポジションにこだわらない攻撃を見せる。だが、シュートまでは持ち込めず、時間が経つにつれ、ベレーザのペースになっていった。

31分、裏に抜けた田中が迎えた決定的なチャンスは、新潟Lのセンターバック左山がしっかりとコースを切り、最後はGK福村が的確なポジショニングでゴールを死守。二次攻撃、三次攻撃を繰り出すベレーザの得点は時間の問題にも思えたが、新潟Lは一人一人が球際で粘り強い守備を見せ、中村楓を中心とした最終ラインも体を張った守りで、前半を0−0で終えた。

後半、森監督(ベレーザ)は右サイドハーフに上辻佑実を投入。中里をサイドバックに移し、右サイドに変化を与えた。しかし、ボールがスムーズにつながる場面は少なく、新潟Lが徐々にチャンスを増やす。

待ち望んだ先制点は、53分、新潟Lに生まれた。

自陣右サイドで小原が縦に浮き球のパスを送ると、同サイドでFWの大石がヘディングで競り勝ち、ゴール前に流す。逆サイドからゴール前に走りこんだ八坂が、DFに寄せられながも、ニアの絶妙のコースに決め、先制に成功した。

一発勝負の皇后杯は、先制ゴールが試合を大きく左右する。このゴールで、形成は逆転。新潟が攻撃のギアを上げていく。上尾野辺がトップから両サイドまであらゆる場面に顔を出し、巧みなボールキープからチャンスを作ると、前線では大石がしっかりとボールを収めて攻撃の起点になった。

ベレーザは17分にサイドバックの清水梨紗を投入。阪口(夢)をFWに押し出す形でパワープレーを見せるが、前線に良いボールが入らない。阪口を再び中盤に戻し、隅田をトップに置くなど、最後まで攻撃の糸口を探った。試合終了間際には、阪口がゴール前で3人に囲まれながらシュートに持ち込むが、わずかに左に逸れた。

そして、間もなく試合終了の笛。

最後まで集中を切らさず、先制ゴールを守りきった新潟Lが、ベレーザのシーズン3冠を阻み、2年連続の決勝進出を果たした。

試合の詳細はこちら

準決勝のもう1試合はINAC神戸レオネッサがベガルタ仙台レディースを下して決勝進出。25日(14:00キックオフ)にフクダ電子アリーナ(千葉県)で行われる決勝戦には、アルビレックス新潟レディースとINAC神戸レオネッサの2チームが進出した。

(2)【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(3)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(4)【監督・選手コメント(日テレ・ベレーザ)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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