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アルビレックス新潟レディースが2年連続の決勝へ。今季2冠の女王・ベレーザはなぜ敗れたのか(4)

松原渓スポーツジャーナリスト
今季2冠でシーズンを終えたベレーザ(試合前)(C)松原渓

12月23日に行われた皇后杯準決勝、日テレ・ベレーザとアルビレックス新潟レディースの一戦は、新潟Lが1-0で勝利し、2年連続決勝進出を果たした。

試合後の監督・選手コメント(ベレーザ)。

アルビレックス新潟レディースが2年連続の決勝へ。今季2冠の女王・ベレーザはなぜ敗れたのか(1)(2)(3)

【監督・選手コメント(日テレ・ベレーザ)】

森栄次監督

ーー試合を振り返っていただけますか?

1点勝負だと考えて、選手にも伝えていましたが、その1点がなかなか来ませんでした。前半にあったチャンスを決めきれず、後半、右サイドにポイントを作るために(中里)優を置いたのですが、思ったよりもボールが転がっていなくて、パスのテンポが出ませんでした。その間に点を入れられてしまい、苦しい展開になってしまいました。どうしても縦へのボールが多くなってしまって、阪口トップに置いたのですが、そこに思ったよりもボールが入ってこなくて、今度は(隅田)凜をトップに置いて攻撃をしようと思ったのですが、相手の壁が厚く、最後まで点を入れることができませんでした。

ーー試合の入り方についての印象と、後半はどのような指示を送って送り出したのか教えていただけますか?

もう少し余裕を持ちながら進められたら良かったのですが、ゲームの入り方はうちらしくなく、硬くなってしまったかな、と思います。

後半は、(中里)優の右サイドから崩していこうという指示もしました。それと、阪口が上がった時にボールを集めようと伝えて、セカンドボール狙いでもいいから「まず1点を狙いに行こう」と指示しました。

ーー思うような試合の入りにならなかった要因は、精神面が大きかったのでしょうか?

やはりトーナメントの難しさというか、最後にPKになるので、早く点を取ろうという気持ちが先行してしまったのかもしれません。

ーーボールが転がらなかった理由として、ピッチ状況はいつもと違う状況でしたか?

そうですね。正直、芝がちょっと引っかかる状態でした。私たちの練習は夜で、夜露で芝が濡れていてパススピードが上がったりするのですが、昼間だったこともあり、そういう点も違いはありました。ああいった芝質でサッカーすると、こういう展開になってしまうことが多いですね。

ーーシーズンを通して3つのタイトルに挑んだシーズンでしたが、改めて振り返って、いかがでしたか?

こういう1発勝負では、対ベレーザという面でリスペクトしていただいているというのもあると思いますが、相手の「負けたくない」という強い気持ちを感じますし、相手の策にはまってしまいました。自分たちの戦い方を変えずに勝とうとしましたが、トーナメントで3冠というタイトルがかかっている状況で、非常に難しい試合だったと感じています。

去年から、リーグ連覇を目標にしてきました。チームも成熟して、若い選手たちも非常にアグレッシブにやってくれて、「私たちがやらなければいけない」という気持ちが見えます。U-20の大会でも活躍してくれて、チームに帰ってきてからの成長も感じています。自分より背が高く、速い選手に対しても臆せずに戦ってくれました。どんどん頼もしくなっていますね。

MF 長谷川唯

ーーリーグ戦から時間が空いたことも、試合の流れに影響したのでしょうか?

そうですね。ただ、うまくいかない部分は試合中に改善しなければいけなかったと思いますし、失点してからまだ時間があったので、まだ蹴らなくていいかな(しっかりつないでいける)というイメージはありました。ただ、(阪口)夢穂さんが交代で前に上がった中で、チームとしては(前に)蹴らざるを得ない状況になってしまいました。ベレーザとしては、得意な形ではないので、そこは変えていかなければいけなかったなと思います。

ーー最終ラインの駆け引きについては、どのようなことを意識していましたか?

相手の小原(由梨愛)さんが中に絞っているシーンが多かったので、(中里)優さんや(隅田)凜さんのところで、奪った瞬間に裏のスペースに蹴ってみてください、と前半の途中から話していたんですが、なかなかうまく合わなくて苦しかったです。有(吉)さんがボールを持った時などの動き出しはできていたので、(タイミングを)合わせるところは今後、しっかりやっていきたいと思います。

ーー来年、さらにベレーザ対策も進むと思いますが、その中ではどのようなところを高めていきたいですか?

左サイドの崩しは、今年は1年間を通してうまくいっていたと思います。研究された中では、もっと質の高いものや、パススピードだったり、一つ一つのトラップのところでミスがなければ、まだまだ崩していけると思うので、それはもっと、オフシーズンも含めてしっかり高めていきたいと思います。

ーーあらためて、来シーズンへの意気込みを聞かせていただけますか?

今年は本当に、2冠までとって、今日勝って決勝で勝てれば3冠というところまでは来られました。来年も3冠を目指したいと思いますが、まずはリーグ連覇を目標にして、個人としては代表に入れるようにしっかり頑張っていきたいと思います。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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