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公式戦10連勝。勢いに乗るINAC神戸レオネッサが過去7大会で6度目の皇后杯決勝へ(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
快晴の中で準決勝2試合が行われた(C)松原渓

皇后杯準決勝は、12月23日に西が丘サッカー場で2試合が行われた。ここではベガルタ仙台レディース(なでしこリーグ1部) vs INAC神戸レオネッサ(なでしこリーグ1部) の一戦をお伝えする。

【見どころ】

準決勝第1戦に続き、準決勝のもう1試合も、昨年と同じカードとなった。INAC神戸レオネッサ(以下:INAC)とベガルタ仙台レディース(以下:仙台L)の一戦である。

昨年女王のINACは、準決勝では浦和レッズレディースと対戦。延長後半アディショナルタイムの道上彩香のゴールで1−0と勝利し、決勝に進出。今季のリーグ戦は終盤の6連勝で2位になり、公式戦は現在9連勝中と波に乗る。皇后杯は2010年以降、6年間で5回の優勝を誇る強豪だ。

シーズン後半に岡山湯郷Belleから加入したGK福元美穂の存在感は大きく、準々決勝の浦和レッズレディース戦でも完封勝利の立役者となった。また、チームで8年間プレーしたセンターバックの甲斐潤子が今大会での引退を発表しており、連覇で花道を飾りたい。

一方のベガルタ仙台レディースは、準々決勝ではなでしこリーグ2部のノジマステラ神奈川相模原に勝利し、3大会連続の準決勝進出を果たした。しかし、過去3大会とも準決勝で敗退しており、このステージが鬼門となる。今季、リーグ戦は4位で終えた。MF川村優理を攻守の中心に据え、ダイナミックなサイド攻撃やカウンターから多彩な攻撃パターンを誇る。

千葉泰伸監督が今季限りで退任することが決まっており、初の決勝進出に向け闘志を燃やす。

今季リーグ戦ではINACが1勝1分でリードしている。昨年の皇后杯準決勝ではINACが2-0で仙台Lに勝利した。

両チームのスタメンは以下のようになった。

【仙台L】

FW  10浜田遥 24有町紗央里

MF 23中野真奈美       8嘉数飛鳥

MF    6川村優理 4岸川奈津希

DF 13佐々木繭 3市瀬菜々 26北原佳奈 5坂井優紀

GK   21ブリトニー・キャメロン

【INAC】

FW       大野忍    

FW 道上彩香         高瀬愛実

MF  中島依美   杉田妃和

MF     チョ ソヒョン 

DF 鮫島彩 田中明日菜 甲斐潤子 守屋都弥

GK      福元美穂

【試合レポート】

14:00キックオフとなったこの一戦は、3000人以上の観客が見守る中で行われた。

序盤は両者とも前線からプレッシャーをかけ、主導権を奪い合った。

前半、風上をとった仙台Lは中・長距離のパスを使い分け、INACの高い最終ラインの裏を狙っていく。川村が両サイドの裏に正確なロングフィードを展開し、両サイドのスピードを活かした攻撃からチャンスを作った。

だが、先制ゴールはINACのカウンターから、意外にもあっさりと生まれた。

前半15分、右サイドで受けた守屋がすかさずゴール前に長いクロスを送ると、道上が一瞬のスピードで仙台LのDF北原に競り勝つ。飛び出したGKブリトニーを交わすと、そのまま押し込み、道上の3試合連続ゴールでINACが先制に成功した。

このゴールで優位に立ったINACが、持ち味のパスワークを発揮。中央から前の6人が流動的なポジションを取り、ピッチを広く使った攻撃でチャンスをうかがう。守備陣にコーチングし続ける福元の声がスタンドの端まで響いた。

さらに、仙台Lをアクシデントが襲う。前半20分に市瀬が負傷で退場になり、攻撃の起点となるボランチの川村がセンターバックに入り、左サイドバックの佐々木がボランチに。左サイドバックには高良亮子が入った。だが、慣れないフォーメーションもあってか、攻撃の起点を作れない仙台Lに対し、INACはボールへの寄せが速く、豊富な運動量で押し込んでいく。ボランチのチョ・ソヒョンがアンカーの位置に入り、5バックになる場面も見られた。

しかし、1−0で迎えた後半、攻撃に重点を置いた仙台Lのプレッシャーに対し、INACはミスが重なり、試合は仙台Lペースに。佐々木の30mを超す強烈なミドルシュートがバーを叩くと、77分には坂井のクロスに有町が飛び込んだが、これもわずかに枠を捉えられない。

だが、84分、ついに仙台Lの猛攻が実る。

ペナルティエリア左サイドのギリギリの位置でFKを得ると、中野のライナー性のキックに飛び込んだのは川村。高さ、タイミングともに完璧なヘディングで合わせ、仙台Lが土壇場で追いついた。

試合はこのまま延長戦へ。

試合が動いたのは、延長前半10分のことだ。左サイドに抜け出した増矢があげたクロスに京川が頭で合わせ、INACが再びリードを奪った。さらに、延長後半3分には中島のクロスに京川が合わせてリードを2点に広げた。

延長戦で疲労から足が止まった仙台Lに対し、INACは最後まで足を止めることなく、このまま試合は終了。

3年連続準決勝に進出した仙台Lの、「3度目の正直」はならず。INACは途中出場の増矢と京川が2点に絡む活躍で、2年連続の決勝にコマを進めた。

決勝のカードは、昨年と同じく、アルビレックス新潟レディースとINAC神戸レオネッサの対戦となった。

試合の詳細はこちら

決勝戦は25日にフクダ電子アリーナで行われる(14:00キックオフ)。

(2)【監督・選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(3)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(4)【監督・選手コメント(ベガルタ仙台レディース)】

(5)【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(6)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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