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PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
連覇を見届けたINAC神戸サポーター(C)松原渓

12月25日に行われた皇后杯決勝、 アルビレックス新潟レディースとINAC神戸レオネッサの一戦は、0−0で迎えたPK戦の末にINACが勝利し、2連覇を果たした。

PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(1)

【試合レポート】

雲ひとつない快晴の下、試合はフクダ電子アリーナ(千葉県)で14:00にキックオフを迎えた。

準決勝と同じスタメンで臨んだ新潟Lに対し、INACは準決勝からメンバー3人を入れ替えた。

試合の序盤、INACは攻撃時にボールを持たない選手たちの動きが鈍く、その結果、ボールを持った選手たちの判断も遅れ、なかなか効果的な展開をみせられない状況が続いた。

一方、新潟Lはハーフライン付近から高い位置でブロックを作ってプレッシャーをかけ、コンパクトな守備から主導権を握った。球際での素早い寄せから奪うとすぐさま攻撃に転じ、攻撃では2人目、3人目が速い動き出しでINACのプレッシャーを外して何度かチャンスを作った。

左サイドの八坂と右サイドの小原のクロスは共に、いずれもわずかに新潟LのFWに合わせられなかったが、積極的に攻撃を続ける中で、徐々にゴールに近づき、18分には決定的なチャンスを迎えた。

新潟Lの上尾野辺が得意のドリブルからシュートを放ち、INACのGK武仲がセービングをして弾いたボールに、前線でフリーだった大石が詰めたが、わずかにタイミングが合わず、ゴールには至らなかった。

INACは24分に中島の強烈なミドルシュートがバーをたたき、その跳ね返りに詰めた京川がダイレクトで合わせようとしたが、惜しくもボールは浮いてしまい、ゴールには結びつかなかった。

その後も、新潟が再三チャンスを作るが、ラストパスのズレやトラップミスでゴールにつなげることができなかった。

0−0で折り返した後半から、INACはボランチの伊藤美紀に代えて、杉田妃和を投入。

杉田を投入したことで、よりアグレッシブに中盤を構成することになり、ボールを保持する時間が長くなり、INACの攻撃が多様性を見せるようになった。そして、62分には高瀬のヘディングがポストを叩くなど、何度かチャンスを作った。

新潟Lは前半のハードワークの影響もあってか、後半に入るとプレッシャーが緩くなり、INACに押し込まれる時間帯が続いた。

だが、最後の局面では中村、左山の両センターバックを中心に体を張った守備を見せた新潟Lが守りきり、0-0のまま、試合は延長戦に突入。

消耗戦で両チームとも力を出し切り、延長戦に入ってから動きが少なかった中、INACは後半途中から入った増矢がドリブルでアクセントとなり、決定機を演出。

しかし、新潟LはGKの福村のセーブなどで最後まで守備の集中力を切らさず、PK戦に突入。

PK戦は、お互いに2人ずつ外し、7人目までもつれ込む接戦となったが、新潟Lの渡辺のキックをINACのGK武仲がストップし、INACは増矢が決めて、昨年に続き優勝を達成した。INACは通算6度目の優勝。

両チームが決勝に進出した2011年以降の4大会のうち、3度目のPK戦での決着となったが、INACの勝負強さは、脈々と受け継がれているとあらためて実感させられた。

一方、チーム初タイトルはお預けとなった新潟Lだが、今大会を通じ、長野パルセイロ・レディース、日テレ・ベレーザ、そしてINACという、リーグ戦の上位3チームを相手に内容でも互角以上の戦いを見せ、確かなチーム力を証明してみせた。勢いのある新潟Lの来シーズンの躍進が、ますます楽しみである。

試合の詳細はこちら

(3)【監督・選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(4)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(5)【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(6)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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