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PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(5)

松原渓スポーツジャーナリスト
大きな声援を送った新潟Lサポーター(C)松原渓

12月25日に行われた皇后杯決勝、 アルビレックス新潟レディースとINAC神戸レオネッサの一戦は、0−0で迎えたPK戦の末にINACが勝利し、2連覇を果たした。試合後の監督・選手コメント(新潟L)。

PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(1)(2)(3)(4)

【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

辛島啓珠監督

ーー試合を振り返っていただけますか?

結果的にPKで負けてしまいましたが、どんな形でも勝ちたかったですし、クラブとしては勝てば初タイトルだったので、非常に残念でした。INACは前回の仙台戦で4−1-4-1からビルドアップで3-4-3になっていましたが、今回は4-4-2でメンバーも変わったので、マッチアップした中で、ディフェンスもやりやすかったと思います。前半、いい形でチャンスを決められなくて、後半、杉田(妃和)選手が入って、ボールを保持されて主導権を握られてから、守備で体力を消耗してしまいました。その中でも、ピンチで必死に体を張って、失点しないで120分間戦えたことは評価したいです。今後は試合内容で上回れる、もしくは決定的なところで決められるというところがタイトルを獲るために必要だと思います。

ーー後半に向けては、どのような指示を送ったのですか?

ハーフタイムは、よりサイドから攻撃しよう、と話しましたが、なかなかいい形でボールが取れなかったので、必然的に消耗していったのだと思います。守備に追われて、疲労した状態でボールを動かしているので、(パスの)精度も落ちました。カウンターでもセットプレーでも点が入れば違ったので、後半はそうならざるを得なかったのだと思います。

ーーハードワークもチームの特徴だと思いますが、中1日のスケジュールの影響もあったのでしょうか?

それは相手も一緒でした。ボールを動かされて守備に追われると必然的に消耗するので、今後は自分たちが主導権を取れる戦い方が必要なのではないかと思います。

ーー力を出し切った彼女たちに足りなかったのは、どのような部分だったのですか?

どうやって勝つか、という部分もあると思います。堅守速攻でやるのか、INACのように個人技の高い選手がいる中で主導権をとって点を狙うのか。点を取れないと勝てないので、そのために攻撃の精度を高める必要があります。速い選手がいてカウンターで攻める、という戦術があっても、その選手がいなくなったら全部なくなってしまいますから、サッカーの質の部分をより高めていく必要があると思います。

ただ、1年間見てきた中で、今が完成とは思っていないです。目指している中でいろんな状況があっても、ブレないでやっていくことが必要だと思います。

DF 中村楓(キャプテン)

ーー前半は新潟のペースで進める時間も長かったですが、試合全体を振り返っていかがですか?

最初は自分たちのペースでボールを回せていましたが、後半に入って徐々に相手に時間を作られるようになって、苦しい展開になりました。それでも粘り強い守備で無失点に抑えることができたのは良かったです。ただ、最後で決めきれないことがPKまでもつれた原因ですし、PKでも勝ち切れなかったのは来年以降の課題です。最後の最後で結果を残せないことに、自分の力不足を感じました。

ーー1番手でPKを蹴りましたが、(外したのは)疲労の影響もあったのですか?

考えすぎないで蹴ろうと思いましたが、蹴る直前で迷ってしまいました。PKの練習もしていたのですが、本番の雰囲気にのまれたところはあるかもしれません。そこで決め切れなかったことを反省して、個人的に(PKの)練習を重ねていきたいです。

ーー準決勝のベレーザ戦とはまた違う試合展開の中で、主導権を握る時間帯も多くありましたが、来シーズンに向けて戦い方の幅が広がった実感はありますか?

今シーズンの最初の方は、自分たちの苦しい時間が長かったので、リーグ後半から連勝でここまでこられたのは大きいですし、トーナメント戦でも無失点で勝ちあがれたのも、成長した部分だと思います。

ーー就任1年目の辛島監督のサッカーについてはどのように感じますか?

(シーズンの)最初はなかなか結果に結びつけることができなかったのですが、日々、積み重ねることでリーグ後半から徐々に大量得点を取ったり、勝ち切るというところで結果を残せてきている手応えを感じているので、来年に繋げていきたいです。

ーー新潟では糸魚川市の火災がありましたが、新潟の方たちにどのようなメッセージを送りたいですか?

お話を聞くと、中にはサポーターの方もいらっしゃったようなので、今日の試合で勝ち切って、勇気を与えられたらよかったのですが、準優勝になってしまって悔しいです。新潟の皆さんにも、応援に足を運んでくださった皆さんにも申し訳ない気持ちです。

(6)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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