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2017年のなでしこリーグで躍進するのはどのチームか?ーAC長野パルセイロ・レディース(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
リーグ最多の観客動員数を記録した(C)松原渓

2月15日(水)〜19日(日)まで、千葉県内で、なでしこリーグ1部と2部、韓国のクラブ1チームの計9チームによる千葉交流戦が開催された。

3月26日のなでしこリーグ開幕に向け、各チームがどのような仕上がりを見せているのか取材した。

2017年のなでしこリーグで躍進するのはどのチームか?ーAC長野パルセイロ・レディース(1)

以下、千葉交流戦での監督・選手コメント。

監督・選手コメント

本田美登里監督

千葉交流戦・ノジマステラ神奈川相模原(◯2-1)戦後(2月16日/姉崎サッカー場)

ーー交流戦初戦を終えての感想をお願いします。

今回の交流戦で、今年初めて天然芝で90分間プレーしました。今日も長野はマイナス5℃ぐらいで、まだ雪や氷がある状況なので、選手たちも暖かいところでサッカーできていることが嬉しいと思います。5日間でこれだけの試合数(1試合は中止になったため、計7試合)ができるのは幸せですね。

ーー始動してまだ1カ月ですが、開幕に向けたチームの手応えはいかがですか?

新しい選手たちを混ぜながら試していますが、仕上がりは3割、4割ぐらいですね。新しい選手たちの、これまでのサッカー感覚だと、「そこでドリブルしていいんですか?」とか、「バックパスはダメなんですか?」とか、「ボールを失うなと言われてサッカーしてきたのに、失っていいんだ」という面で、驚きがあるみたいですね。

ーー選手たちの声のボリュームも上がっているように感じますが、いかがですか?

今年は5人選手を獲得しましたが、(イビツァ・)オシムさんの言葉を借りればポリバレントな選手が多く、試合に飢えている選手たちです。(千葉交流戦では)いきなりレギュラーでプレーしている選手もいるので、元からいるメンバーは刺激を受けていると思います。今年も若い選手が多いので、ベテランの味がないチームなんです。ですから、去年と同じように「(どんどん前に)行ってしまえ!」というサッカーになりそうですね。その中でも、今年は失点を減らしたいです。

ーー1カ月後の開幕に向けて、積み上げたいのはどのような点ですか?

新しい選手との融合を進めながら、「(パルセイロの)イズム」が少しでも浸透していったらいいな、と感じています。うちは縦に突っ込んで行く攻撃が多く、サイド攻撃が少ないんです。でも、縦がダメだった時に、サイドハーフやサイドバックからの攻撃も使い分けていきたいですね。守備面では、去年はマンマークの守備が多かったのですが、今年はゾーン(ディフェンス)も使い分けて、失点を減らしたいです。

ーー昨年は昇格1年目で3位になりましたが、2年目の目標はいかがですか?

昨年3位になって、プレッシャーを一番感じているのは私たちではないでしょうか(笑)。昨シーズンが(目標にしていた)6位(以内)の成績だったら、「今年は3位を目指します」と言えたのに、去年3位になっちゃったもんだから、「3位を目指します」と言っても、「なんで一緒なんですか?」ってなるでしょう?「私たちが一番自分たちの実力を知っていますから」と言いたいところなんですけれどね。それで、今年は「トップ3を目指そう」と。濁しているんですが、つっこまれそうですね(笑)。

DF 坂本理保(キャプテン)

千葉交流戦・マイナビベガルタ仙台レディース(△1-1)戦後(2月19日/姉崎サッカー場)

ーー交流戦7試合を通じて、どのような収穫がありましたか?

この時期は実戦的な練習があまりできない中で、今年のリーグ戦を戦うチームのコンセプトや、どういう狙いを持つかということを、対外試合の中で考えることができる貴重な経験でした。(普段は)こういう連戦が少ない中で、自分たちの疲労度も考慮しながら戦うことも、すごく良い経験になりました。

ーー新チームで、攻撃面では昨シーズンと比べてどのような手応えを得ていますか?

新しい選手が加わって、いろいろな選手がいろいろなポジションをできるようになったと思います。去年1年を通して、横山が(守備で)狙われてしまうことが多く、そこを抑えられてしまうと何もできない状況だったのですが、そういう自覚を選手一人ひとりが持っているので、千葉交流戦の7試合では、その自覚がプレーに表れていました。去年よりも、ボールを捌(さば)ける人も(ボールを)受けられる人も増えたので、攻撃のバリエーションが増えたという点では、昨年末の皇后杯の時よりも確実に手応えを感じています。

ーー守備面の変化はいかがですか?

去年は組織で守ることがうまくできていませんでした。ゾーン(ディフェンス)からマンツーマンに切り替えるところとか、マンツーマンでもマークにいくのかやめるのか、という、ちょっとした判断のところが、昨シーズンよりも良くなっていると感じています。

ーー個人的に伸ばしたい面はどのようなところですか?

守備範囲を広げたいですね。選手たちがどういうプレーをするかという特徴と同じように、どういうミスをしやすいか、という傾向も昨シーズンで掴めたので、そこを早めに予測して、カバーしたいです。自分がいるから前の選手が思いっきりプレーできるとか、(マークにつく相手を)間違えたとしても、「思い切って行って、あとはカバーしてもらおう」と周りの選手が思えるような、精神的な面でも頼りにされる選手になりたいです。

ーー昨年に続き、キャプテンに指名されました。あらためて、今シーズンの目標を教えてください。

リーグ戦とカップ戦と皇后杯の3大タイトルで、どのタイトルでも上位3チームに食い込めるような、底力をつけるシーズンにしたいです。普段、あまりキャプテンらしいことはしていないのですが、挨拶ですとか、人前に立つ時は、チームの顔になるので、代表してしっかりやりたいですね。

MF 野口彩佳

千葉交流戦・マイナビベガルタ仙台レディース(△1-1)戦後

ーー千葉交流戦ではボランチのポジションでプレーする機会が多かったですが、手応えはいかがですか?

ボランチは、本来やりたかったポジションです。INACでいろいろなポジションをやらせていただいて、その経験が活きていると思います。(ボランチを組む)國さん(國澤志乃)も見てくれていますし、お互いの距離感など、お手本になる部分がたくさんあるので、良い面を学びながら成長したいです。

ーーINACから長野に来て、どのような変化を感じていますか?

長野に来て最初の1、2週間は、守備でも攻撃でも「この場面で行っちゃっていいんだ」と、逆に戸惑うことも多かったのですが、「チャレンジしてなんぼ」という雰囲気があるので、自分でも点が取れる選手になりたいです。INACではみんなで(パスを)つないでいく中で、選手同士の距離感が近かったので、周りの選手に頼ってしまうこともあったのですが、長野では常に「自分から何ができるか」ということを考えなければいけないですね。

ーープレー環境の違いはいかがですか?

(私は)埼玉出身で、神戸に行って、これまで雪には縁がなかったのですが、長野では、朝は雪が降っていると車を運転するための雪かきから始めなければいけないのが新鮮ですね(笑)

ーー今シーズンの個人的な目標を教えてください。

開幕はぜひスタメンで出たいですし、シーズンを通してコンスタントに試合に絡んでいきたいです。

クラブ情報

AC長野パルセイロ・レディース

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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