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気持ちを切り替えて臨むアイスランド戦。なでしこジャパンの初勝利なるか(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
フィジカルの強さを見せるアイスランド女子代表(C)松原渓

ポルトガルで行われているアルガルベカップに出場しているなでしこジャパンは、初戦でスペインに1−2と敗れた。

チームは気持ちを切り替えて、3日、グループリーグ第2戦のアイスランド戦に臨む。

【アイスランド女子代表とは?】

アイスランドは人口33万人で、沖縄県那覇市と同規模の小国であり、サッカーは国内の人気スポーツだ。

男子A代表は昨年、UEFA欧州選手権(EURO)2016で快進撃を見せて8強入りし、国を挙げたお祭り騒ぎになった。

女子代表は、ワールドカップとオリンピックの本大会出場経験はまだないが、なでしこジャパンと同じく、30年以上の歴史を持つ女子代表チームだ。

最新のFIFAランキング(2016年12月23日付)では、日本が7位、アイスランドは20位。アルガルベカップは、10大会連続12回目の出場になる(日本は6回目)。

スペイン同様に、FIFAランキングだけを見て、格下だと決めつけるのは早急だ。

アイスランドは昨年9月に行われたUEFA欧州女子選手権(Women’s EURO)2017のグループ予選では、7勝1分けの成績で、本大会(今年7月にオランダで開催)への3大会連続3回目の出場権を勝ち獲った。

日本対スペイン戦の後に同じスタジアムで行われたアイスランド対ノルウェー戦を見たが、両国とも、縦に速いサッカーを見せた。長身でフィジカルの高いFWを前線におき、最終ラインからのフィードやサイドからのクロス、セットプレーなどからゴールを狙う形を得意としていた。

試合はノルウェーが試合開始早々の前半4分に先制し、90分間、押し気味に進めたが、アイスランドが前半8分に同点にして、その後はお互いの試合運びが拮抗。アイスランドは試合終了まで粘り強い守備を貫き、引き分けに持ち込んだ。

アイスランド女子代表を率いるFreyr Alexandersson監督(34)は、元アイルランドのサッカー選手で、女子代表の監督は2013年から務めている。

また、今大会に出場する23名の平均年齢は26.7歳。30代の選手は7人で、特に、GKは3人とも30代だ。DFのDora Maria Larusdottirは、代表キャップ数113を誇る。参考までに、日本は阪口夢穂が「103」で、現なでしこジャパンの中ではトップである。

アイスランド女子代表には、国内リーグでプレーしている選手が多いが、スウェーデンリーグなどでプレーする海外組もいる。MFのSara Bjork Gunnarsdottirは、ドイツのヴォルフスブルクでプレーしている。現在、26歳で、2007年から代表でプレーしており、2014年からは代表のキャプテンも務めている。

日本対スペイン戦後に行われたアイスランド対ノルウェーの試合を観た限り、アイスランドのサッカーは、日本がパスでボールをつなぎながらプレーするスタイルを持ち味とするのに対して、時に、中盤を省略して前線にボールをフィードするダイナミックなプレースタイルである。

パスをつなぐ日本に対して球際で強くぶつかりに来ることは容易に想像できる。そのプレッシャーの中で、スペインとの試合で発揮できなかった選手同士の連動的なサポートやお互いのポジショニングの距離感などを修正するには、まさに格好の対戦相手である。

「1試合目よりは2試合目、2試合目よりは3試合目、という風に、対応力をつけてくれたらと考えています。」(高倉監督)

高倉監督は今大会で、選手全員に出場機会を与える構想を持っており、アイスランド戦は1試合目のスペイン戦から大きくメンバーを変えて臨むことが予想される。

スペイン同様に、アイスランドも、日本に対して激しいプレッシャーをかけてくることが予想される。スペイン戦での教訓をアイスランド戦で活かす鍵は、激しい相手のプレッシャーの中で、なでしこジャパンが追求している『全員が連動してボールを動かしながら、相手ゴールに向かう』というコンセプトを、選手全員が共通認識して、いかにピッチで表現できるかにかかっている。

高倉監督がなでしこジャパンの指揮官に就任してから、国際親善試合での戦績は、1分3敗。アイスランドを相手に、高倉ジャパンの初勝利を期待している。

アイスランド戦は、3月3日(金曜日)23時45分(日本時間)キックオフ。この試合は、23時30分から、フジテレビ系列にて全国生中継(一部地域を除く)。

(2)【監督・選手コメント】に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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