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原点回帰の白赤ストライプでW杯8強へ

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)
新ジャージ姿の五郎丸歩(左)とリーチ・マイケル(右)。中央はジョーンズHC

代表チームだろうが、クラブのチームだろうが、ジャージは歴史でもある。9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)に挑む日本代表の新ジャージが12日、羽田国際空港での会見で披露された。デザインは「原点回帰」。主将のリーチ・マイケル(東芝)も五郎丸歩(ヤマハ発動機)も「これで歴史を変える」と初のベスト8入りに意欲を見せた。

新ジャージのコンセプトが、日本代表のスタイルと同じく「ジャパン・ウェイ(日本流)」。カンタベリーオブニュージーランドジャパン社の開発担当者によると、「日本代表が武器とするスピードを、躍動感みなぎる伝統の白赤ストライプで表現した」という。

4種類の新素材が使われ、快適性・機能性がアップした。前回2011年W杯のものより12%(35・5グラム)軽量化され、ジャージは260グラムとなった。通気性もよくなり、リーチ主将は「実際、プレーしないとわからないけれど、(着た印象は)フィット感がすごくあって、軽そうなジャージです」と説明する。「僕がニュージーランドで子どもの頃に見たジャージに似ている。ラトウが着ていたようなジャージでワールドカップを戦えるのはすごくうれしいです」

ラトウとは、1987年第一回大会から91年、95年と3大会連続で日本代表としてW杯に出場した名選手のシナリ・ラトウさん。日本代表のジャージは1999年W杯までは白赤ストライプに桜のエンブレムの伝統的なジャージだったが、2003年W杯ではデザインが変わった。新ジャージは懐かしい白赤ストライプ・デザインの復活となる。

日本代表は北米遠征でパシフィック・ネーションズ杯を戦い、8月15日の世界選抜戦(秩父宮)が、ファンへの新ジャージのお披露目となる。まだW杯最終メンバーは決まってないが、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「最新のテクノロジーを使った伝統的なジャージになった。ここからチーム力を加速度的にアップさせて、9月19日(W杯の日本代表初戦の南アフリカ戦)では日本を代表する15人の選手がこの新ジャージを着て勝ちます」と宣言した。

リーチ主将もW杯初戦をイメージし、「最初からいかないといけない。ファーストプレーが大事。あとは頭を使って、いいプレーを選択していく。すべてフィジカル勝負でいったら、たぶん、うまくいかない。頭使って、冷静に」と言葉に力を込めた。

上昇気流に乗る日本代表。日本ラグビー協会の高島正之副会長は「この新ジャージでのベスト8進出を期待しています。(W杯で)勝てば、人気も出て、スポンサーも集まりやすくなる。相乗効果が出てくるでしょう」と話していた。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2020年東京大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。人物モノ、五輪モノを得意とする。酒と平和をこよなく愛する。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『荒ぶるタックルマンの青春ノート』(論創社)ほか、『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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