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お花見は「ダストデビル」にご用心

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
東京の桜満開予想(ウェザーマップ)

25日、気象庁から東京の桜が開花したと発表がありました。

靖国神社の標本木に人だかり(25日午後 多胡安那撮影)
靖国神社の標本木に人だかり(25日午後 多胡安那撮影)

平年より1日早く、記録的に早かった去年よりは9日遅い開花です。

ちなみに、東京の基準になる木(標本木)は、靖国神社の桜で、5、6輪以上咲くと開花ということになりますが、弊社ウェザーマップは予想的中でした。

【桜の見ごろはいつ? 】

東京の満開予想は、ウェザーマップでは3月31日を予想。開花してから積算温度(最高気温)が120度を超えると満開になる傾向があり、平年ですと、開花から満開までは8日間かかります。でも、今年はかなり暖かい日が続くので、開花から満開までの期間が短く、6日間で満開を迎える見込みです。雨が予想されている日もありますが、満開になるまでは「雨にも負けず、風にも負けず」で、意外に散りません。雨はむしろ「催花雨(さいかう)」となり、桜の開花を促すお湿りになると思います。

「三日見ぬ間の桜かな」と言いますが、今年はいつもより早いペースで、パッパッと咲いていきそうです。東京は、今週末から来週末にかけてが見ごろ予想。関東から九州は、今週末から4月の第1週目に、見ごろを迎える所が多そうです

ウェザーマップ開花・満開予想→http://sakura.weathermap.jp/

【お花見は「ダストデビル」に注意】

「ダストデビル」…直訳すると、ほこりの悪魔。何のことでしょう?

ダストデビルは、じん旋風のことで、いわゆる「つむじ風」です。学校の校庭で、砂ぼこりが渦を巻いているのを見たことありませんか?あれがダストデビルで、突風の一種です。ダストデビルは、規模が直径数メートルから数十メートル、寿命は数十秒と短いので、竜巻程の被害をもたらす突風ではありません。でも、テントが飛ぶなどの被害をもたらすものもあります。先日も、岡山と東京で、ダストデビルとみられる突風が発生し、飛んだテントにあたってケガをするなどの被害が出ました。(岡山の突風ニュースhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140323-00000016-asahi-soci 東京の突風ニュースhttp://news.tbs.co.jp/20140321/newseye/tbs_newseye2154416.html

渦巻きを伴う突風ということで、ダストデビルは竜巻と間違われやすいのですが、発生する気象状況が全く違います。竜巻が必ず積乱雲のもとで発生するのに対し、ダストデビルは晴天のもと、雲のない状況で発生します。発生要因は、日射によって地表面が暖められ上昇気流が起きることで、渦が上空に引き延ばされて出きます。学校などの建物があると、風の水平シア(風の差)ができ、渦がより強化されやすくなります。

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ダストデビルの発生しやすい条件は?

・高気圧に覆われた晴天

・朝冷えても、昼間暖かい日の午後

・広い公園や運動場などのひらけた場所

発生時期は、過去10年のデータ(気象庁 じん旋風参照)を見ると、3月から5月に集中しています。つまり、お花見日和、運動会日和の暖かい晴天の日は、ダストデビルが起きやすい天気でもあるのです。竜巻と違って、晴天時に発生するため、前ぶれ現象はなく、予測不可能といえます。寿命が短く、移動の範囲も狭いので、渦巻きを見たら、すぐに飛ばされやすいテントなどから離れたり、近くに鉄筋の建物があれば、避難するなどして、飛んできたものに当ってケガをしないようご注意ください。小規模のものが多いですが、年に数回は被害の出るような大規模のもの発生しているので、油断は禁物です。ちなみに、火星では地球より大規模なダストデビルが発生し、高さが2万メートルにも達することもあるそうです。→http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012041602

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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