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10月8日「皆既月食」 月は何色?

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
前回2011年12月10日の皆既月食 (著者撮影)

10月8日(水曜日)は、月が地球の影に全て入りこむ「皆既月食」。日本のほぼ全ての地域で、晴れれば、満月が突然欠け、再び満ちていく姿を見ることができます。全国で見られるのは、2011年12月10日以来3年ぶりです。

10月8日 皆既月食の時間(※秒は省略)

■部分食の始まり 18時15分

皆既食の始まり 19時25分

皆既食の終わり 20時25分

■部分食の終わり 21時35分

つまり、18時15分に欠け始め、月が地球の影にすっぽり隠れる皆既時間は、19時25分から20時25分。その後、もとの満月の姿に戻るのは21時35分です。

どの方向を見る?

東から南東の空で見ることができます。ただ、月の欠け始めの時間は、月がのぼったばかりで高度が低いので、欠け始めの部分食から見たいという方は、東に開けた場所が良さそうです。

今回は観測条件が良い

今回の皆既月食の時間は、1時間。次回の2015年4月4日は、たった13分なので、今回の方が好条件です。加えて、そんなに遅くない時間ですから、子どもから大人まで楽しめそうです。また、前回の2011年は、真冬の寒い時期で、私も毛布にくるまりながら見ましたが、8日の夜の気温は、東京で20℃位なので、秋服の羽織るものがあれば良いでしょう。ただ、青森は15℃位、札幌は10℃位ですから北日本は、寒さ対策万全に。

問題は、晴れるか?

画像

台風18号と台風19号の間の高気圧に覆われる穏やかな期間で、全国的に秋晴れの予想。天気的にも良さそうです。でも長い時間、外にいると夜風が冷たいので、風邪など引かないように、少し厚着した方が丁度良いかもしれませんね。

月の色に注目

前回TBSニュースバードで使用したものを一部加工
前回TBSニュースバードで使用したものを一部加工

皆既月食は、月が地球の影の中に完全に入り込む現象ですが、影に隠れた時、月が真っ暗になって、何も見えなくなるわけではありません。太陽の赤い光が地球の大気によって屈折し、影に入り込んで、かすかに月を照らすため、いつもより月が赤っぽく見えるのです。「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれ、赤黒い色に見えますが、毎回、同じ色になるわけではありません。

上図の月の色は、20世紀初頭のフランスの天文学者ダンジョンが考案した「ダンジョンの尺度(スケール)」という色を基に、肉眼でも簡単に判断できるよう表現したものです。

地球の大気中のチリが少ないと→オレンジ色のような明るい色(大気を通る光の量が多くなるため)。

逆に、チリが多いと→灰色や黒の暗い色(大気を通る光の量が少ないため)。

大きな火山活動があった後には、火山灰などのチリが多いため、月の色が暗くなるということで、フィリピンのピナツボ火山が大噴火した後の1993年の皆既月食は灰色で、わずかに赤みがかった月が観測されたそうです。

御嶽山噴火の影響は?

今回の御嶽山の噴火による火山灰は、成層圏にまでは達していないので、国立天文台に問い合わせたところ、月の色に影響を及ぼすことは、ほぼないということです。でも、大気中のチリの状態は地球規模のことなので、実際にどんな色になるかは観察してみないとわからない…。今回は何色の月が見られるのでしょうか?

国立天文台では、月の色を観察して皆で報告しあう「皆既月食を観察しよう2014」キャンペーンも行っています。

http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20141008-lunareclipse/

参考:国立天文台HPhttp://www.nao.ac.jp/astro/sky/2014/lunar-eclipse.html

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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