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冬将軍は何処に? 来週後半到来か

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
11日TBSニュースバードで使用(天気CGセンター作成) 

師走なのに夏日出現

「小夏日和」は、この時期、沖縄で夏日(25度以上)になった時に使われる地域限定表現ですが、11日は本州で夏日出現。三重県尾鷲市で25.6度の夏日になるなど、全国74地点で12月の高温記録を更新(タイ含む)。東京の最高気温は24.1度で、夏日一歩手前、12月としては観測史上2番目の高温となりました。

なぜ「季節はずれ」づくしになったか

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一つ目の原因は、低気圧。低気圧が日本付近で発達し、暖かい湿った空気を南から引き込んだためです。もう一つは、高気圧が強く、南の亜熱帯の空気を日本へ送り込んだためです。南からダブルで、暖気が入り、この暖気は海を渡ってきていますから、湿気たっぷり。さらに、南海上の海面水温は平年より1、2度高くなっており、海水温が1度上がると、大気中の水蒸気量は1割程度多くなるともいわれているので、いつもよりさらに多くの暖かい湿った空気が流れ込み、季節はずれの高温と大雨になったと考えられます。

来週後半は寒波到来

上空5000メートル付近の寒気(12月11日)
上空5000メートル付近の寒気(12月11日)
上空5000メートル付近の寒気(12月21日予想)
上空5000メートル付近の寒気(12月21日予想)

では、冬将軍はいったい何処にいるんでしょうか?現在、北極からの寒気が大陸のシベリア付近に蓄積中。このあたりは天気予報でよく聞く冬将軍のふるさとで、ここで溜まった寒気は、偏西風に乗って、およそ1週間後に日本にやってきます。つまり、来週後半から再来週前半にかけて寒波到来。雪不足のスキー場にも待望の雪が降りそうです。その後、年末年始の冬休みの頃は、ほぼ、平年並みの寒さになる所が多い予想。高温による成長で、安くなっている野菜も少し値上がりするかもしれません。

エルニーニョ現象の影響

今回の一時的な季節はずれの暖かさを、時間的にも空間的にも大きいスケールのエルニーニョ現象と直結することはできません。でも、エルニーニョの時は、偏西風の流れがかわって、南から暖かい湿った空気が流れ込みやすくなります。ですから大きく見ると、今回の季節はずれの現象も、エルニーニョが影響している可能性があります。特に、今年は、スーパーエルニーニョと言われるくらい強いエルニーニョ現象が発生しているので、2月にかけていつもより暖かい空気が、より流れ込みやすくなる予報になっています。ただし、北極からの寒気は、暖冬傾向のときも、必ず、一時的にはやってくるので、寒いときはかなり寒い…気温の変動がいつも以上に大きい冬になりそうです。

そしてこちらもエルニーニョ現象の影響か…11日、台風27号が発生しフィリピン方面へ向かう予想です。これで1月から毎月台風が発生したことになり、これは1951年の統計開始以来初めてのことで、去年から数えると、19か月連続の発生です。通常、台風は海水温が低下する1月2月は発生しにくいのですが、エルニーニョ現象の影響で、台風の発生場所がより海水温の高い場所にずれて、この連続記録はさらに伸びるかもしれません。

気象庁週間予報http://www.jma.go.jp/jp/week/

台風情報http://www.jma.go.jp/jp/typh/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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