結婚の明暗は「年収400万円以上」

「三高(高収入、高学歴、高身長)」のように男性をスペックで判断する風潮は薄れてきているとはいえ、やはり「お金」は結婚相手の選択にいまだ大きな影響を及ぼしている。

明治安田生活福祉研究所が2013年2月に実施した調査によると、未婚女性が結婚相手に求める最低年収は「400万円~500万円未満」が最も高い割合だった(20代は31.1%、30代は34.8%)。20代女性で「1000万円以上」の超ハイスペック男性を求めている割合が1.4%に過ぎなかったことを考えると、世の女性たちが男性に求める水準は、だいぶ現実的なものになっていると受け取ることもできる。

とは言え、「400万円以上」を条件としている女性が20代で61.7%、30代で65.8%いることにも、やはり注目しておきたい。結婚相談所Bridalチューリップの担当者によると、この「400万円以上」が結婚できるかどうかの明暗を分けているといい、それ以下の男性は対象外として除外されてしまう風潮が足元には根強く残っているという。

水準が下がったと言っても、収入でバッサリ切られてしまう現状はまだまだ存在するのだ。

400万円以下は婚活パーティーにも参加できない

Bridalチューリップの担当者の話しでは、サービスを利用する女性のほとんどが結婚する男性の条件を「400万円以上」と設定しており、婚活パーティーでも男性が参加できる条件になっていることが多い。これは、いわゆる「専業主婦願望」の強い女性に限ったことではなく、働く女性も出産、育休を視野に入れ、その間に安心できる生活水準を確保するために「400万円以上」を求める傾向があるという。

「400万円以下の男性は結婚の難易度が非常に高くなる」(担当者)というのが現実だ。

ちなみに、同社ではそういった状況の改善を目的として、「『婚活男子』専用の収入アッププログラム」なるものを設けている。人材紹介や企業研修を手掛ける会社と組み、コミュニケーションスキルをアップさせる講習や転職相談を行っているというのだ。親切と言えば親切だが、なんとも世知辛い話しである。

さらに、こんな調査結果もある。

婚活支援サービスを手掛けるパートナーエージェントが、20~30代の未婚者2400人を対象にしてアンケートを実施したところ、収入が増えた場合に結婚意欲が増す男女が共に25%以上いることがわかった。

この調査は安倍首相が「1人当たりの国民総所得を10年後に150万円増やす」としていることを念頭に置き、「仮に年収が150万円増えたら」という前提で質問している(ただし、同社は「『国民総所得が増えた分だけ年収増』とはいきませんが」と前置きしている)。政策の是非はともかく、4人に1人が、「もっと年収が上がれば結婚する(できる)のになあ」と思っていることは押さえておきたい。

それでは、実際にどのような人たちが年収アップと結婚を結びつけて考えているのだろうか。

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表を見るとわかるとおり、男性に限って言うと「年収300万円以上~400万円未満」の層は、「もっと自分の年収が上がれば結婚する(できる)のに」と考えがちのようだ。厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」でも、結婚した男性の年収で一番割合が高いのは「400万円以上500万円未満」であり、それ以下は年収階層に応じて結婚率が下がっていく。

まさに「400万円の呪縛」である。

「希望年収」はもっと高い?

また、明治安田生活福祉研究所の調査は、あくまで「最低年収」を聞いた調査結果であるため、もう少し慎重に見ていく必要がある。

以前、筆者はダイヤモンドオンラインで、結婚相手紹介サービス「ノッツェ」を運営する結婚情報センターが発表した、「女性が男性に希望する年収、および最低年収」と実際の平均年収(国税庁調べ)を比較してみたことがある。

以下がその結果だ。

■女性が男性に希望する年収、および最低年収

・平均……682.6万円(最低427.0万円)

・20代……608.3万円(最低376.5万円)

・30代……693.4万円(最低427.2万円)

・40代……727.2万円(最低460.0万円)

・50代以上……651.9万円(最低433.3万円)

■男性(民間)の平均給与

・平均…507.4万円

・20~24歳……268.9万円 

・25~29歳……365.9万円

・30~34歳……431.7万円 

・35~39歳……505.3万円

・40~44歳……576.6万円

・45~49歳……632.5万円

・50~54歳……648.6万円

・55~59歳……598.7万円

最低年収となると、やはり400万円前後が目安となってくるのだが、「希望」となるとさらに水準は高くなる。そして、男性が実際に稼いでいる年収と女性の「希望」が大きくミスマッチを起こしていることがわかる。

結婚情報センターの担当者によると、「高望みする女性が少なくなってきたことは確かです。ただ、目の前に『三高』の男性が現れて嫌だと思うことまずいないでしょうね。不景気が続き、女性の仕事も安定しないなか、『希望する年収』を高めに設定するのは仕方ないことかと……」とのことだ。

結婚、出産、育児に関わる社会制度の充実が進まないことも、「手持ちのお金」にこだわってしまう一因だろう。ただし、年収の呪縛にとらわれすぎず、男女間で人生プランやキャリアプランを摺り合わせながら結婚を選択していく道もあるぞ、ということだけは念のため付け加えておきたい。