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台風10号、史上初となる東北太平洋岸〜北関東に上陸か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
台風10号(国際名:ライオンロック)の衛星画像。アメリカ海洋大気庁。

進路を東に変え、本州に接近し始めている台風10号ですが、その進路に変化が現れています。危惧されていた、首都圏直撃コースよりも、関東の東の海上を進んで、その後、東北地方や北関東に上陸する可能性が高まってきたようです。

台風の現在の状況と今後の進路予想

予想される台風の進路(27日15時時点)
予想される台風の進路(27日15時時点)

台風10号は、27日(土)15時現在、中心気圧955hPa、最大風速45メートルの「非常に強い」勢力で、15キロのペースで東北東に進んでいます。29日(月)に「非常に強い」勢力のまま、関東の南へと到達する見込みです。

注目されるその後の進路ですが、これまでの予報よりも、やや東寄りに進む予想が出ています。神奈川や千葉県などに上陸する恐れもあるものの、以前に増して、東北地方や茨城県を進む確率が高まっています。

米軍合同台風警報センター発表の台風の予想進路。(27日18時時点)
米軍合同台風警報センター発表の台風の予想進路。(27日18時時点)

参考までに、米軍合同台風警報センターの予想進路図を紹介すると、こちらも気象庁と同じような予報を出しています。ただ、気象庁よりもさらに、大回りのコースをとって、より北に上陸する予想をしています。

過去の上陸台風

もしこの通りに、台風10号が東北地方の太平洋岸に上陸したら、それは未だかつてない事態です。

下の図は太平洋側だけに着目し、1951年以降の台風の上陸場所を地域別に比べたものです。

画像

過去最も上陸が多かった地方は、一位の鹿児島県を含む九州で、続いて四国・東海・近畿・関東・北海道となっています。ちなみに、関東地方は神奈川県と千葉県です。

一方で東北地方と茨城県では、一つも上陸が確認されていません。それは、通常台風は南から北東に向かって進むために、これらの地域に上陸する前に、他の場所に上陸してしまうためです。

懸念される高潮被害

東北地方沿岸部などでは、東日本大震災の影響により、海岸線の地盤が沈下しています。さらに、上陸時は新月に近く、中潮の時期なので、より高潮の被害の恐れが高くなっています。こまめに台風情報を確認し、避難場所を確認しておくなど、早めの備えが必至です。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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