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台風22号フィリピン上陸 ルソン島横断へ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
上陸前の台風22号の衛星画像。NOAA。

一難去って、また一難。。。

週末、台風21号が直撃したフィリピン北部に、再び22号が上陸、さらなる打撃を与えています。

台風22号フィリピン上陸

台風22号は、20日(木)未明、「非常に強い」勢力で、ルソン島東部に上陸しました。今後ルソン島を横断し、21日(金)夜には、中国南東部に再上陸する見込みです。その後、温帯低気圧となって、来週には日本列島に接近する可能性があります。

気象庁20日00時発表、台風22号の予想進路図。図:ウェザーマップ。
気象庁20日00時発表、台風22号の予想進路図。図:ウェザーマップ。

台風21号の爪痕

ルソン島には、16日(日)にも台風21号が上陸しており、500ミリもの雨が降りました。この台風により、少なくとも3名が死亡、1万5千人以上が家を失ったとも伝えられています。

4日間のうちに「非常に強い」台風が連続して2回も襲来したことになりますが、CNNによると、これほどの規模の台風が立て続けに上陸したのは、フィリピンの統計史上、未だかつて2回しかないといいます。

今年の台風「執拗、滅多打ち型」

今月のみならず、今年の台風シーズンを振り返ってみると、特定の場所が、短期間のうちに、集中的に被害に遭っているように思います。

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例えば、8月。北海道には、5つの台風が上陸・接近しました。これは観測史上初めてのことでした。

続く9月は、台湾がターゲットとなり、3個の台風が上陸・接近、多くの死傷者が出るなど、深刻な被害が発生しています。

フィリピンは秋台風に注意

フィリピンは、「Typhoon Alley(台風街道)」とも呼ばれるほどの台風常襲地帯です。年間の台風上陸数は6~7個で、NOAAによると、中国に次ぎ、世界で2番目に上陸数が多い国です。

このようにしばしば台風の直撃に合うフィリピンですが、過去、大きな人的被害を出した嵐には、ある共通点があります。

それは、秋台風が多いことです。実際1980年以降で、人的被害が大きかった台風のほとんどは、11月~12月に発生しています。

秋台風の被害が大きい理由

なぜ秋台風は、被害が大きくなるのでしょうか。その理由の一つとして、上陸位置が考えられます。

秋になると台風は、より南の経路を通るようになります。進路にあたるフィリピン中部は、そもそも多数の小さな島々からなっており、高潮や高波の影響を受けやすいのです。また、一般的に北部は台風が直撃することが多いので、建築や住民の日ごろの備えがしっかりしていますが、南部はそうではありません。結果、中部や南部に台風がやってくると、被害が大きくなりやすいというわけです。

つまり、これからの時期が特に危険で、さらなる警戒が必要と言えます。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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