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カリブ海に史上もっとも季節外れのハリケーン上陸 比には台風25号も

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(ペイレスイメージズ/アフロ)

昨日(24日)は関東地方などで、紅葉と雪の珍しいコンビネーションが見られました。

早々に現れた冬の嵐によって、東京では観測史上もっとも早い積雪を観測。今生きている誰もが経験したことのない、最速積雪記録となりました。

一方、熱帯地方の海水温はまだまだ熱く、中米・カリブ海諸国やフィリピンには夏の嵐が上陸し、猛威をふるっています。

ハリケーン・オットー

ニカラグア上を移動するハリケーン・オットー。NOAA
ニカラグア上を移動するハリケーン・オットー。NOAA

カリブ海と言えば、紺碧の海が魅力のリゾート地として有名です。毎年、ハリケーンの脅威がなくなる11月以降が渡航のベストシーズンと言われています。しかし、今年は違っていました。

現地時間24日(木)午後、ハリケーン・オットーは、カテゴリー2(「非常に強い台風」に匹敵)の勢力で、ニカラグア南部に上陸しました。ニカラグアは上質なコーヒー生産地としても有名です。

過去、ニカラグアにはオットーよりも強いハリケーンが上陸したことがありますが、その位置はすべて北部と中部で、さらに日にちも11月上旬まででした。つまり、オットーは、中米において史上もっとも南に、そしてもっとも遅くに上陸したハリケーンとなりました。

今のところ、ニカラグアでは死者は伝えられていませんが、多くの被害が発生している恐れがあります。収穫を目前に控えたコーヒー豆への影響も心配です。外電によると、周辺国のパナマでは、土砂崩れなどにより3人が死亡したとのことです。

(パナマ。土砂崩れにより、家が一気に崩れた。)

台風・トカゲ(25号)

25日18時発表の台風25号の予想進路図。気象庁。
25日18時発表の台風25号の予想進路図。気象庁。

一方、フィリピン近海でも台風が発生しています。今年25個目の台風(国際名:とかげ)です。急発達はしないものの、今後月曜日まではフィリピン付近に居座る見込みで、大雨が予想されます。なおフィリピンでは、3年前の11月に台風30号(国際名ハイエン)が上陸し、およそ8,000人の死者・行方不明者が出ています。

カリブ海やフィリピン近海の海水温は、まだまだ高い状態が続いていて、今後もさらに季節外れの嵐が発生する可能性が高いと言えます。

NOAA
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NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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