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フランスアルプスで雪崩発生 2月は雪崩のピークシーズン

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
雪崩が発生したフランス・ティーニュ(写真:アフロ)

フレンチアルプスで雪崩事故

フランス・アルプスのティーニュにある人気のスキー場で13日(月)大規模な雪崩が発生し、スノーボードをしていた親子ら4人が死亡しました。雪崩の幅は400メートルで、この地域における今季最大の雪崩だったといいます。

アルプスは雪崩の多発地帯

今回雪崩が起きたフレンチアルプスでは、去年1月にも雪崩が発生し兵士5人が死亡、またその数日前にも、遠足中の高校生2人と観光客1人が巻き込まれる雪崩が起きました。

フレンチアルプスは世界の雪崩多発地帯の一つで、発生件数は年間500〜1,500件、また死者数は30人にのぼります(1971〜2011年の統計)。

「ホワイト・フライデー」

アルプス山脈は、フランスを南西端としヨーロッパ中央部を東西に走る山脈ですが、ギネスに掲載されている世界で最悪の被害を出した雪崩もまた、イタリア北部に位置するアルプスの山岳で発生しています。

それは、1916年12月に起きた、いわゆる「ホワイト・フライデー」と言われる大規模な雪崩です。第一次大戦中、オーストリアとイタリア両軍が、砲撃を行って人工的に雪崩を起こし、敵軍を生き埋めにするという作戦をとったのです。結果100以上の雪崩が発生し、8万人が犠牲になったといわれています。

日本の雪崩事情

我が国の年間雪崩発生数は20件で、死亡者数は6人です(1978~2014年の統計)。

記録に残っている国内史上最悪の雪崩事故は、1918年1月に 新潟県南魚沼郡で起きた三俣の大雪崩で、30棟以上が倒壊、約160名が死亡するという悲惨なものでした。この年は豪雪の年で、その約10日後にも山形県で、150人以上が亡くなる雪崩が発生しています。

2月は雪崩のピーク

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月別でみると、雪崩の最も起きやすいのは雪解けが始まる2月で、つまり今が雪崩のピークシーズンと言えます。

先週から降り続いた大雪と、17日(金)にかけての全国的な昇温とで、雪崩のリスクが一層高まります。雪の多い地域に行かれる方は十分お気をつけください。

16日の気温予想。全国的に春のような陽気となる。(気象庁)
16日の気温予想。全国的に春のような陽気となる。(気象庁)
NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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