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メイジらしさ求む サントリーでも活躍の元コーチ「小手先なんて、絶対させない」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

北島忠治元監督(故人)の「前へ」という言葉で知られる明治大学ラグビー部で、「メイジっぽいなと思われるシーズンを」と意気込む人がいる。

元申騎(げん・しんき)。就任3年目の丹羽政彦監督に「厳しく、的確。よく選手と話してくれている」と謳われる、37歳の新任フォワードコーチだ。

現役時代は明治大学、サントリーのフランカーとして活躍。引退直後の2013年度はサントリーのフォワードコーチを任され、1季で退任後は社業の傍ら摂南大学などの臨時コーチを務めていた。いまは早朝6時ごろからの練習を指導し、そのまま出勤。同社の飲料を販売する飲食店の新規オープンに携わる。

通算12回の大学日本一に輝いてきた明治大学ラグビー部は、1996年度以降はその座から遠ざかっている。

5月3日、東京・明大八幡山グラウンド。関東大学春季大会初戦で法政大学を76―19で制した直後、元コーチが取材に応じた。

以下、一問一答。

――サントリーでは1季限りだったコーチ業を、母校で本格的に再開。

「(指導者として)勉強したことを1年で終わらせるのは、何か、ねぇ。だから、(明治大学で)勉強し直す、と。それだけです」

――どれくらいのペースで指導を。

「来れる時に」

――早朝。ハードですね。

「しょうがないじゃん。これがタフだとか大変だとかではなく、人生だから。いいことばかりじゃない。これが人生」

――いまの明治大学の印象。

「弱いね。いや、弱いというか…メイジらしい選手がいないよね」

――何が何でも壁をぶち破る気質を持った選手のこと、ですか。

「そうそうそう。そういう選手を少しずつ増やしていければ」

――育てたい選手のイメージはありますか。

「あるよ。コンタクト(身体接触)が大好きな選手を育てたい。技術は社会人で覚える。メイジはメイジらしく、コンタクトの強さを前面に出す。それで負けちゃうのならさ、それまでって言えるじゃない。相撲の大一番と一緒でさ、ばーんと真正面から当たって負けたら、しょうがない。ただ、いまはそういう柱がないままぼんやり負けている」

――まずは真っ向勝負。

「小手先のプレーなんて、絶対にさせないから。相手が(接点に)絡んできている時にさ、そこへ頭から突っ込める選手にならないと」

――大学選手権6連覇中の帝京大学について。

「そりゃあさ、6連覇もしているチームなんだからリスペクトはしている。軽はずみにそこへ勝とうとなんざ、言うことはしない。まずはメイジらしく。メイジっぽいなと思われるシーズンにしたい。まずはそこからだね。勝ち負けはその先だよ」

――何をもって、「メイジっぽいと思わせる」は実現しますか。

「…それは、お客さんが決めること。ただそういうラグビーは目指す」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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