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トップリーグ勢撃破の帝京大学前キャプテン・流大 日本選手権「一発勝負」を語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

ラグビーシーズンを締めくくる日本選手権のフォーマットが今季から変更。前年度まで各カテゴリーの複数チームが頂点を争うトーナメント形式だったが、「トップリーグ(国内最高峰リーグ)王者対学生王者」という一発勝負となった。

今季は4年に1度のワールドカップ(イングランド)が10月まであり、来年度からは南半球最高峰のスーパーラグビーに日本拠点のチームが参戦。かねてからスケジュールの見直しが求められていた。

トーナメント形式だった前年度の同選手権。9季ぶりのトップリーグ勢撃破を果たしたのは、大学選手権6連覇中の帝京大学だった。2月8日、東京・秩父宮ラグビー場。トップリーグで10位だったNECを31-25で下して話題を集め、スクラムハーフの流大キャプテンの働きは高く評価された。

新たな大会フォーマットが発表された21日、今季からサントリーに加わった流が単独取材に応じた。大学でメディアトレーニングを受けており、「一番伝えたい結論から先に話す」など、自分なりの質疑応答のノウハウを持っている。

以下、一問一答。

――社会人生活、2ヶ月目ですね。

「仕事を覚えるのが大変で、いまの段階ではそこを充実させていくことにウェイトを置いています。ただ、グラウンドに来たらラグビーのことだけを考えてやれる環境があるなと、改めて感じています。はい」

――仕事にウェイト。

「社会人として信頼されない人間は、ラグビーでも同じようなことになると思っていて、大学でも同じように教わってきたので。まずは社会人として認められるということが、大きいですね」

――仕事は。

「営業です。何と言ったらいいのか、自分のなかでもわからない状態ですが…」

――サントリーの商品が並ぶスーパーを回っているのでは。

「そうですね、色んな先輩と回らせていただいている段階です。何件か、担当のお店を持たせてもらっています」

――グラウンドでの練習は。

「1年間の基礎を作る練習で、フィジカル的なところとベーシックスキルを中心にやっています。僕自身も、1年目からチャレンジするための基礎を作りたいなと思っています」

――このレベルで自分が通用しそうな点と、課題は。

「実際、ラグビー的なことはほとんどやっていないので、見えない部分が多いですけど…。ただ、社会人は大学以上にスピードがある。そこは僕も取り入れていかないといけないと思います。リアクションのスピードも、個人のスピードも含めて」

――今季の目標は。

「9番を着ること(スクラムハーフの先発)です」

――フーリー・デュプレア選手(チームメイトで現役南アフリカ代表スクラムハーフ)にだって、ポジション争いでは負けない! と。

「いえいえ、もちろんすごい選手ですし、他に日和佐さん(篤/日本代表スクラムハーフ)や芦田さん(一顕/入部3年目のスクラムハーフ)もそれぞれいいプレーヤー。それぞれから学ぶべきことは多くあるんですけど、僕は、9番を着ることにターゲットに置きたいです。そこを目指さないと成長もないですし、9番を着て日本一に貢献したいという思いがあります」

――改めて、最大のライバルになるであろうデュプレア選手について。

「僕自身、面識もないですし、テレビ上でしか観たことがないんですけど…。スキルが高いですし、何より、ゲームを自分自身で自由に動かせる。色んな選手に『フーリーさんはどんな選手ですか』と聞いても『次元が違う』みたいな答えが返ってくるので、頭がいいんだろうとは思うんですけど」

――そういう選手に勝たないと、「9番」は見えてこない。

「ワールドカップ(9月、イングランドで開幕。各国代表は現在、その準備に集中)があるので、フーリーさんと日和佐さんが合流するのはまだまだ先。その間、僕は芦田さんと切磋琢磨したいと思います」

――ご自身は、昨季メンバー入りしていた日本代表からは離れています。

「エディーさんからは、電話で何が足りなくて外れたかを教えてもらっている。判断、コミュニケーションです。もう一度、そこに必要とされるような人間になりたいなと思います」

――話は変わり、日本選手権のフォーマット変更について感想を。

「帝京が日本一にチャレンジできる環境ができたことは、OBとしても嬉しく思います。もちろん、僕もそこでチャンピオンとなった帝京と戦いたいです! (笑いながら)現実を見せてあげたいです」

――昨年まで大学生だったことを思い出していただきたいのですが、トップリーグの王者と戦うことにどこまで現実味を抱けそうでしょうか。

「去年の立場だと、正直、想像もつかないようなところだと思います。去年は1回戦(ワイルドカードを勝ち抜いたトップリーグ中位陣)に勝つことを目標に置いていたので。ただ、今年の帝京は日本一を狙っていると思います」

――改めて、帝京大のトップリーグ勢撃破の要因は。

「まずは1年間、いい準備ができたこと。また、勝ちたいという気持ちの部員が増えたことです。一昨年もトップリーグのチームに勝つことを目標に置いていましたが、正直、本当にそう思えていたのはAチーム(主力)とBチームの一部だったと思います。去年は下のチームも本気で勝ちたいと思っているのが、伝わってきていました」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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