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首の怪我で「スーパーラグビーを諦めた」堀江翔太、ワールドカップ見据える【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
80分間の試合解説後、「疲れたぁ」と周囲を和ませる。

2月中旬に首の手術をしたラグビー日本代表の堀江翔太。4年に1度のワールドカップイングランド大会に向け、復帰への道を着実に歩んでいる。

7月4日は都内にあるスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」スタジオで、南半球最高峰スーパーラグビーの決勝戦(ハイランダーズがハリケーンズを21-14で下し、初優勝/ウェリントン・ウエストパックスタジアム)のゲスト解説を務めた。直後に記者3名の取材機会に応じ、5月から合流した日本代表の宮崎合宿の様子などを語った。

身長180センチ、体重105キロの堀江は、フットボーラーとしての定評がある29歳だ。最前列で骨をきしませるフッカーを務めながら、絶妙な位置取りからの優雅な走り、パス、キックでスタンドを沸かせる。日本代表としては、ここまで32のテストマッチ(国同士の真剣勝負)に出場してきた。

大阪府立島本高校、帝京大学を卒業後にニュージーランドへ留学。2009年に三洋電機(現パナソニック)入り後も強い海外志向を持ち続け、13、14年はスーパーラグビーのレベルズでプレーした。今季は治療に専念するため、個人での海外挑戦を断念していた。なお、パナソニックの同僚でもある田中史朗は、堀江と同じ時期からこの日の優勝チームであるハイランダーズに在籍している。

現在はオフ期間中で、6日以降に宮崎合宿を再開する。12日からの北米遠征では、カナダ代表、アメリカ代表、フィジー代表などとのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に挑む。ワールドカップでは予選プールで南アフリカ代表、スコットランド代表、サモア代表、アメリカ代表とぶつかる。

以下、一問一答。

――出場なしも、優勝した田中史朗選手へ。

「えっと、どうしようかな…。優勝する場所にいられることはなかなかないので、その文化、エキスをこっちに持ち帰ってくれることを期待してます。これでいきましょう!」

――(当方質問)試合の感想。

「ハリケーンズがアタックの色を出してきたところに、ハイランダーズが対応していた。いいディフェンス、してましたよ。ハリケーンズは『ハイランダーズが何をしてくるか』『ハイランダーズのどこが弱いか』という分析を(この日の戦いに)織り込めばもっと良かったと思います。ハイランダーズのほうが、相手の強みを消したり弱みを突いたりする部分が多かったと思います。セットプレーからのキック、(相手の)モールに入らない(プレー)…。相手がいるからこそラグビーが成り立つのであって。自分たちのラグビーと同時に相手のラグビーを知ることが大切ですよね」

――(当方質問)これまでの日本代表合宿でも、対戦相手の分析を…。

「自分のラグビーを理解するのに費やした感じではありますね。スタッフからは、例えば(各試合ごとに)『セットプレーはこうで…』という自分たちの戦い方を落とし込まれた。『相手はこういう感じだから、自分たちはこうだ』と。相手はメンバーによっても(様子が)変わると思うんで、スタッフから言われるものだけではなしに、自分でも(この先、相手がおこなうテストマッチを)観て考えていきたいですね」

――合宿では。

「6月頭から入りました。初めの1週間はスクラムに入らなかったりしましたけど、いまはほぼ全部。練習をする前に、レントゲンも見てから入っているので」

――(当方質問)経過、順調ですか。

「もう、大分よくなってきてる。あとは本番、どれくらい、もつかなって感じですかね」

――握力。

「20くらい。でも、大分、(以前は動かせなかった)親指にも力は入ってきている。薬指、小指、人差し指は(スムーズには)上がらないですが。スクラムも全然、大丈夫だと思いますよ。(ほかにも怪我人がいたため)ちゃんとは組んでいないですけど」

――ワールドカップの対戦相手のイメージを。まずは世界ランク2位の南アフリカ代表(日本は13位)。

「スクラムもまっすぐ組んでくる。日本はうまくずらしていきたい。あとはディフェンスでどれだけ身体を張れるか。(スーパーラグビーで同国拠点チームと対戦した印象から)僕はもともと…(苦手ではない)。(チーフスでプレーしたリーチ マイケルキャプテンなど、日本代表でも)そういう意識の選手が増えてきて、それがいい風に流れるかな、と思います」

――次はスコットランド代表。欧州6強の一角。

「南アと同じ感じ。セットプレーから流れを作ってくる。こっちとしては、インプレー(ボールが動く時間)を長くしたいです」

――それ以降は環太平洋のサモア代表、最後はアメリカ代表と。

「セットプレーではこちらがプラスになってくるとは思うんで、キックも使って(タッチラインを割る)…と。まぁ、(その時々で)状況は変わってくるので、インプレーの長さはグラウンド上で判断する」

――スーパーラグビーを断念し、リハビリに注力してきた。

「きょう(決勝戦を)観てるとスーパーラグビーでやりたかったなと思いますけど、ワールドカップへの思いが強くて、スーパーラグビーを諦めた。高いモチベーションを持ってやらなだめだと思っているんで。チームは伸びてきてはいる。いまはすごい無茶な練習をしてきたので、皆、よく耐えたなと。メンタル的にも、技術的にも、体力的にも、すべて上がっていると思いますよ。PNCで、その成果を出す。ここから(田中ら)スーパーラグビー組が(ジャパンに)戻ってきて、いい刺激にもなる。また違うチームになると思います。あまりワールドカップを見すぎて目の前の試合をおろそかにすることは、僕自身はよくないと思っている。それは皆にも言おうと思いますよ」

――(当方質問)あなたは、試合に出ますか。

「出る、つもりではいます。(北米遠征にも)行く、とは思います。常に出るつもりではいる。ケツをぽんと叩かれたら準備はできてますよ、と」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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