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日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ辞任発表会見【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
会見に臨む坂本専務理事

日本ラグビー協会は25日、都内で会見し、同代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)の契約満期終了に伴う退任を発表した。今年9月、現体制で4年に1度のワールドカップに臨む。

ジョーンズHCのもとへは南半球最高峰リーグであるスーパーラグビーのストマーズからの指揮官就任のオファーが来ているとされる。

以下、坂本典幸専務理事の記者会見(開催の3時間前に開催決定)要旨。

「緊急にお集まりいただきましてありがとうございます。昨日(日本協会の)理事会がありまして、そこで機関決定がいたしましたので直後に皆様(その時集まっていた報道陣)にお伝えしなければいけなかったのですが、こういう内容なので、(ジョーンズHCが)現場の選手にきちんと話をしてからでないと発表できないと。半日、お時間をいただきました。本日、ジョーンズHCの方から選手に話をしたというのを受けて、ご報告させていただきたいと思います。

8月20日にエディー・ジョーンズHCから、2015年ワールドカップ終了後、日本代表HCを退任したいという意向が伝えられました。これを受けまして、24日、理事会で審議、決議を受けまして、辞任を受けるということにさせていただきました。本来であれば12月末日までの契約でしたが、本人から大会終了後の10月31日をもって退任したいと。それを承認した。ご存じの通り、ワールドカップを直前に控えた大切な時期です。有終の美を飾りたいという本人の強い意思も聞いています。エディーコーチのコメントを読み上げさせていただきます(以下、公式リリースと同内容の声明を音読。「私は新しいチャレンジをすることになります」との文言あり)。

私もエディー・ジョーンズ体制で、日本代表が素晴らしい躍進を遂げたと思っています。強豪国に勝つ、日本ラグビーの真骨頂を発揮してくれた。今回、本人の意志が固いということでこの承認をすることにいたしました。日本ラグビーを発展させてくれたことに感謝し、リスペクトしたいと思います。2015年のワールドカップに向け、目標のベスト8に向けて最大限の努力をしてもらう。選手と一緒に挑戦してもらう。そう確信しています。

また、これに伴いましてジャパンSRのラグビー・オブ・ディレクター(2016年から参戦する、南半球最高峰スーパーラグビーへの日本拠点チーム)も退任したいと。それも受理したことを合わせてご報告します」

――ジョーンズHCから退任理由は。

「守秘契約を結んでおりますので私の方からは申し上げられませんが、コメントに合った通り『新しいチャレンジをしたい』と。それを私どもが受理をしたということです」

――大会後のオファーを断られた、ということ?

「そうではなく、いまの契約は12月31日まで。その契約を満了せず、大会を終えてから辞めたいという申し出があった。もしこれがなくても12月31日で終わりだったということです」

――大会後の契約延長の打診はしなかった。

「これはワールドカップが終わってみないと。評価をして、成果を確認し合って、再契約するかどうかを決める。それが普通だと思いますので。そういう話はしておりません。結果が出る前に評価をするということはありません。最大限の結果を出し、またお願いしたいと言えるくらいの状態にはしてもらいたい、というだけです」

――(当方質問)確認ですが、ジャパンSRのラグビー・オブ・ディレクターも一緒に辞めるとのこと。ファンの方がわかるようにご説明をお願いします。

「ジャパンのHCを退くので、ジャパンSRの方も退きたいというお申し出です。(もともと)HCをやりながらジャパンSRを…ということだったと思うので、HCを辞めるということはジャパンSRも退くと。そういう理解です」

――協会内で慰留の意見は。

「色々な意見がありますが、本人の意思が一番。何度かやり取りはしましたが」

――本人に向け、大会後に話し合うというオファーもしなかった。

「色々なやりとりはありましたが、いま仰られたようなことはなかったです」

――この時期に発表したことについて。

「本来であればワールドカップが終わってからというのが筋なのでしょうが、エディーさんの方から『新しいチャレンジがしたい』ということで、お受けしたということです」

――代表チームへの影響は。

「ないとは言い切れませんが、エディーさんもプロのコーチ。選手もエディーさんとずっと一緒にやってきた。力を振り絞ってくれると信じています」

――次の指揮官決定のスケジュールは。

「未定です。コーチをする人を選ぶリストアップはしていますけど、この段階ではこういうことが起こるとは考えていませんでしたので。時期的には何らかの時期にやるということ」

――候補者の像。

「外国人から日本人までリストアップはしています。どこの競技団体でも一緒だと思いますが。2015年の結果を受けて考えることもありますし、エディーさんが作ってくれたラグビーを継承できないと意味がないということもある…」

――スーパーラグビーの日本チームの指揮官(未定)と代表指揮官が空席。

「並行しながら(選出する)作業に入る」

――スーパーラグビーのヘッドコーチを決めた後、その方に日本代表の指揮を執る可能性も。

「も、あるかもしれないです。それは色々な選択肢がある。選考会議を開き、理事会で決議するということになります」

――ワールドカップが終わるまで今回の話を伏せておくことはできたはずでは。

「それは、エディーさんが新しいチャレンジをしたいので、それ以上でもそれ以下でもない。ご本人からのお申し出です」

――(当方質問)きょうの発表は、ジョーンズHCからの打診からですか。

「打診と言いますか、お互いに話をして今日ということになった」

――(当方質問)根本的に、いま日本ラグビー協会は日本代表をどんなビジョンおよびプランで強化をしたくて、その延長線上でどんなボスを選びたいのでしょうか。

「まず2019年ですね。今回、いい結果を待っていますが、その延長線上にチームを作っていくということになると思います」

――ジョーンズHCへの慰留の働きかけは、どのくらい。

「慰留と言いますか…。話し合いのなかで決まるものなので」

――ジャパンSRのチームは、いま、選手を選ぶなどしている時期。それを投げ出されるのは協会として痛手では。

「皆さん方がご存じのように、スーパーラグビーのチームは日本代表の強化と連関性がある。連関性があるものを…(片方だけおこなう)とはならない。それはご本人からのお申し出です」

――ジャパンSRのディレクター・オブ・ラグビーの後任は。

「ディレクター・オブ・ラグビーという形がいいのか(を再検討する)…ということもあるかと思います。色々な流れの中でその役職を作っていたので。参戦に向けて我々は前向きに考えている」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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