Yahoo!ニュース

日本代表、五郎丸歩。スコットランド代表戦と「外国人」ツイートの真意語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
多くの取材陣を前に澄んだまなざしで直立する。(写真:ロイター/アフロ)

ラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会に臨む日本代表は、23日、グロスター・キングスホルムスタジアムであったスコットランド代表との予選プールB第2戦を10―45で大敗。一夜明けた24日、フルバックの五郎丸歩副キャプテンが会見した。

19日には過去2回の優勝を経験した南アフリカ代表を34-32で下し(ブライトンコミュニティースタジアム)、わずか中3日開けてのゲーム。攻め込んでのミスがかさみ、終盤に大量失点していた。五郎丸は前半終了間際にピンチを防ぐタックルを決める一方、得意とするゴールキックの成功率を50パーセントとしていた。次戦は10月3日、ミルトンキーンズ・スタジアムmkでサモア代表とぶつかる。

会見の最後には、南アフリカ代表戦後に公開した自身のツイッター(「ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」と発信)の真意も明かした。

以下、一問一答。

―― 一夜明け、改めて心境を。

「悔しい気持ちはありますけど、次に向かってやるしかない」

――チームの雰囲気は。

「悪くはないですね。皆、しっかり気持ちを切り替えられている」

――試合後、仲間にはどんな話を。

「あまり覚えてないです」

――敗因は。

「敗因は色々なところにありますね。負けて、『ああしておけばよかった』と思えることは色々と出てくるんですけど、次に向かっていくしかない。ポジティブに振り返るしかない」

――前半終了間際のタックル。

「うーん…。直前にペナルティーゴールを外して、少し流れが悪かった。ここで得点されるわけにはいかなかった。リーダーとして身体を張れたことは誇りに思います」

――ゴールキックの出来。

「うーん、よくはなかったですね。ただ、僕も機械ではないんで、外すときは外します。そんなに気にはしていないです」

――違った、要因は。

「違った、と言いますと」

――精度が、です。

「要因、は特にないです。さっきも言ったように、僕も機械じゃない」

――サモア代表戦に向けて。

「スコットランド代表とは、ああいった点差が空くほどの実力差はないと思っていますし、昨年のマオリ・オールブラックス戦も1戦目と2戦目で全く違うチームでした(11月1日には21―61で敗戦も、続く8日の同カードで18-20と肉薄)。これだけの能力を持った選手たちがいて、しっかりとトレーニングもしてきています。ヘッドコーチが打ち出した戦術に向け、1人ひとりがやれることをやっていきます」

――自信。

「まず1戦目に勝てたことは大きい。1勝しているのとしていないのとでは違いますし、南アフリカ代表に勝ったことも非常に大きい」

――プレー面では。

「世界一のきつい練習をしてきて、世界と対等に戦えるか。そう思っていましたけど、南アフリカ代表とぶつかって、フィジカルでもフィットネスでも上だったと感じた」

――スコットランド代表戦。ポゼッションは上回っていた。

「南アフリカ代表戦からスコットランド代表戦に向けて、少し、戦術を切り替えた。そこが、あまりよくなかったかな、というところはありましたね」

――ディフェンスで簡単に点を取られる場面があったように…。

「ディフェンスコーチに聞いてください。僕が修正するところじゃない」

――…個人としてはなかなか試合中修正できなかった?

「チームは生き物。いい時もあれば悪い時がある。それをつくづく感じる試合ではあった。南アフリカ代表戦ではいいところが出て、スコットランド代表戦では悪いところが出た。その波を小さくするのがティア1(世界最上位のチーム群)に入る近道かなと」

――前半は7-12と接戦。

「自信は持っていい。ただ、少し焦った部分、個人プレーに走った部分もある。それも経験ですね」

――バックス陣の内容。パスミスもあった。

「通っていればトライです。難しいところです」

――五郎丸選手がタッチライン際へ放ったパスが、そのまま外へ出るシーンもあった。

「コミュニケーションミスというか、普段走っているところに、いなかった、というだけ。そういう日だったんでしょうね」

――中3日でゲーム。疲れは。

「僕は、疲れはなかったと思う。戦術、修正能力。ここですね」

――他の選手を観ても、そう感じるか。

「それを想定してきた。ヨーロッパ遠征でもテストマッチをやった4日後に試合をしたり、トップリーグ(国内最高峰リーグ)が休みの時に合宿をしたり。万全な準備はしてきた。そこに関しては問題ない」

――飛び出す守備網の背後へハイパントを蹴るなど、相手はジャパンを研究してきた。

「研究、してきたでしょうね。彼らにとってはあれがワールドカップの初戦でしたし、我々が南アフリカ代表に勝つ前からしっかり準備をしてきたように思います。全体的に、日本代表の弱点になるであろうというところを突いてきた気がします」

――リーダー陣として、この先どんなアプローチを。

「各々、あるでしょうけど、それを言うと紙面に出ちゃうので」

――精神面での働きかけ。

「メンタルは、荒木さん(香織メンタルコーチ)がずっとサポートしてくれている。問題ないです。気持ちも切り替わっていますし」

――サモア代表戦へ。

「具体的な戦術は出てきていないのであくまでイメージですが、セットピースを軸に走り勝つということだと思います」

――グループリーグ上位2チームが準々決勝へ進めます。その際の勝ち点争いでは、ボーナスポイント(4トライ以上獲得で1ポイント)も重要。

「僕らはチャレンジャーなので、そういうことを考えるレベルじゃない。そういった位置に立てていない。目の前の1戦に勝つことが大事」

――ジャパンのキーマンとして、マークをされている感覚。

「楽しいですよ。僕はそれを楽しんでいます。初戦は緊張しましたけど、肩の荷も下りたというか…。こういった表現はおかしいかもしれませんが、楽しんでいます」

――(当方質問)南アフリカ代表戦後、ツイッターに外国人選手に関する意見を発信していましたが。

「2019年に向けて、クリアしなきゃいけない問題だったと思うんですよね。ラグビーは特殊なので、どうしても『何で外国人が入っているんだ』という観られ方をする。ただ、メディアの方にそこへ注目してもらうことで、『ラグビーはそういうものなんだな』と日本人として理解しやすくなると思います。

我々は2019年(日本開催のワールドカップ)のために日本を飛躍させよう、日本のラグビーを復活させようと、そのために2015年に歴史を変えるんだ、と、4年間しっかりと準備をしてきた…。

そういった経緯で、あのようなコメントを出しました」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事