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ワールドカップ3勝も8強入り逃し…日本代表・五郎丸歩、涙のわけ【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
この日はゴールキック、ランとも好調。(写真:ロイター/アフロ)

ラグビー日本代表は10月11日、ワールドカップイングランド大会の予選プールBの最終戦でアメリカ代表に28―18で勝利(グロスター・キングスホルムスタジアム)。3勝1敗、勝ち点12で戦い終えた。2ゴール、3PGで13得点を挙げたフルバックの五郎丸歩副将は、感涙した。

同大会で過去24年間も未勝利だったジャパンは、9月19日に過去優勝2回の南アフリカ代表を34-32で撃破(ブライトン・コミュニティースタジアム)。10月3日のサモア代表戦(ミルトンキーンズ・スタジアムmk)も26-5で制し、日本代表史上初めて1大会で複数の勝利を挙げた。

しかし、目標の8強進出はならず。前日までに南アフリカ代表が勝ち点16、スコットランド代表が同14とし、試合前にジャパンの予選敗退が決まっていた。

この日のマン・ザ・マッチに輝いた五郎丸副将は、相次ぐテレビのインタビューで目頭を熱くし、直後のペン記者用の共同取材機会で心境を明かした。

以下、その際の一問一答。

――準々決勝に行けないとわかったうえでのゲーム。

「最初から、結果を気にせずに試合に集中する、ということです」

――試合全体は。

「よかったと思います。80分間落ち着いてできました。皆さんは(相手が世界ランク下位とあって)大差で勝って欲しいと思ったかもしれませんが、国と国との戦いで練習試合ではないので、お互いのプライドがかかった試合で。こういう展開は予想していた。そんななかでリーダーが判断をして、この結果(をもたらした)」

――(当方質問)点数の推移は一進一退の攻防。やられても、やり返した印象。

「まぁ、でも、1人ひとりが自分の仕事を全うした。その結果だったと思います」

――珍しく涙を。

「悔しいですね。ベスト8が目標だったので。3勝はしましたけど、我々の目標を達成できなかったという…」

――9月23日のスコットランド代表戦(グロスター)を10-45で落とした。

「いや、勝ち負けではなく、決勝トーナメントに行けなかったことが、です」

――終わった瞬間は。

「まぁ、曇り空みたいな感じです。達成感は…なかったです」

――4年間。

「エディージャパンが始まった時の上半身裸の写真を見たら、本当にガリガリで。身体づくりから始めて、この4年間、色々な人と出会いましたけど、出会い全てが自分にとって必要だったし、メンバー、メンバーから漏れた選手、スタッフ…。歴史を変えるために必要だった」

――2019年日本大会の8強入りへ。

「世界で勝つのは簡単じゃない。3勝したから次はベスト8…というのは甘い考えです。(足りないものは)練習量だけではないと思います。環境面とか、色んなことが変わっていけば、選手もハッピーなままで」

――自身の4年後。

「また、ゆっくり考えたいと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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