Yahoo!ニュース

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表って、どうなりますか?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
こんな歓喜の瞬間、また観られるか。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表の2016年度以降の体制および強化計画が2月1日、都内で発表された。

新指揮官は現ハイランダーズ(南半球最高峰のスーパーラグビーで昨季王者)ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ。昨年8月のエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ退任以降、後任探しが難航。今年1月になり、ようやく契約が締結された。

ジョーンズ体制は昨秋のワールドカップイングランド大会で予選プール3勝を挙げるなど、成果を残した。指導陣が刷新されるなか、2019年の同日本大会に向けどんなプランが提示されるかに注目が集まっていた。

会見には専務理事の坂本典幸氏、強化・技術委員会(新設)担当理事の土田雅人氏、男子15人制(日本代表、ジュニア・ジャパン、U20日本代表)ディレクター・オブ・ラグビーの薫田真広氏が出席した。

以下、一問一答。

坂本専務理事

「ホスト国として新しい世界の戦いが始まる。2019年はベスト8、ベスト4と、2015年以上の結果を残さないといけない」

土田担当理事(以下、土)

「エディー・ジョーンズとも6月から話をしてきました。2015年はああいう結果になりましたが、残したものは3つ。1つは、どんな時でもどんな相手でも勝とうというマインドセット。2つは、それをするための周到な準備。3つめは、日本人の持っている規律。2020年以降の成長を持続可能にするには、サンウルブズや国内リーグ、大学との連携、世界基準化も必要です。

ジョセフを選ぶ基準をどう作ったか、お話しします。去年の8月にスタッフ選定のガイドラインを作成しました。その際、3つのことを決めました。『選考承認までのプロセスとデッドライン』『私、勝田(隆・理事)さん、薫田さん、岩渕(健輔・強化GM)さん、トップリーグの平尾(誠二)さん、サンウルブズの田村(誠GM)さんがワーキングメンバーとなること』『ヘッドコーチの選考基準』です。

ワーキンググループが監督候補をリストアップ。そこで大事だったのは、基準の策定です。

基準の1つ目は、監督の実績。ワールドカップでベスト8の実績はあるか、国代表経験者か、スーパーラグビーの経験はあるか、強化スタッフと連携できるか…。

2つめは能力。監督コーチの能力。エディーを見ていると、海外のコーチとのネットワークもあった。それも大事になります。

3つめは日本代表強化への意志があるかどうか。トップリーグをよく知っているか。これも代表をするうえでは大事になる。

その3つを持っている監督は誰か。日本人を含めた60名をリストアップしました。ジョセフになった経緯は薫田さんからお話しします。

(強化)GMは岩渕君。2019年、20年オリンピック、これで世界トップに勝つために、国際戦略、情報に長けており、前回チームの経験もある(ジョーンズ体制下のGMだった)。スタッフの選定、ガイドラインの作成、代表のマッチメークなどをやってもらいます。ワールドラグビーでの会議の出席もお願いします。エディーからも聞きましたが、マッチメークやレフリーとの話し方に関しては、岩渕君が日本でトップだと。7人制強化もしてもらいます。

薫田さんは、2019年(ワールドカップ日本大会)の責任者。日本が目指すラグビーを描いて、スタッフとともに目標達成する。今年からのサンウルブズとの連携、トップリーグとの連携も同様になります。正代表だけでなく、U20(20歳以下日本代表)やジュニア・ジャパンとの国内リレーションも担当してまいります。

今シーズンからサンウルブズも始まり、代表の活動日数が約120日間が約50日間に減る。とはいえトップレベルの試合は15試合と大幅に増える。過去最大のトップレベルは2013年、5試合でした。2016年はスーパーラグビーの15試合、スコットランド代表戦(6月)、ウェールズ代表戦(11月)の計15試合です。レフリーの世界基準化も一緒におこない、日本代表が強くなれるように、オールジャパン体勢を整えていきます」

薫田真広 15人制ディレクター・オブ・ラグビー(以下、薫)

「私からは、ジョセフを選んだ経緯を。約60名の候補のなかから、岩渕GMも個人的に面談し、私も実質5人ほど面接をしました。リストの絞り込みの結果、ジェイミーにした。ニュージーランドで交渉をしました。彼が本当にふさわしいかどうか、選考会議で承認が得られるか、その最終確認をしました。もともと現役時代の彼を知っていますが、当時と変わっていないか、私なりの判断をした。ホストチームとして責任感、やる気を感じたミーティングでした。彼のコーチング能力、ネットワーク、これが強い(決め手となった)。他の外国人指導者との差を分けたのは、日本のラグビーをよく知っていることです。

6月の試合に関しては、現在、ジェイミーと交渉して、ニュージーランド協会との契約が残っていて、表立ってはできない…。きょうは、こういうことでご勘弁いただけたら。

2019年に向けては、ペナルティーの少ない、日本人らしい規律あるチームを作りあげていくのが大事。ボールの支配率を5パーセント上げれば、ペナルティーは3こ減るというデータもある。規律云々だけではなく、ペナルティーを減らすということには数多くの要素が含まれると理解していただければ」

――今後の活動予定は。

「スーパーラグビーで試合をしながら強化していく。あとはテストマッチに関しては、スコットランド、ウェールズ…その他は調整中という段階です」

――6月のスコットランド戦、メンバー選びの方針は。

「2019年に選出可能な選手も視野に入れたメンバー選考をしようと思います。ただ、エディーさんがワールドカップ翌年(2012年)に大野(均・現日本代表で最年長)、廣瀬(俊朗・約5年ぶりの代表復帰でキャプテン就任)を入れたようなことも、今後は検討しないといけない」

――昨年まであったアジア・ネーションズカップへの出場は。スーパーラグビーに入っていない若手はどう強化するのか。

「日本協会と調整を図っている。(アジア・ネーションズカップ)サンウルブズに登録していない選手から、日本代表を選ばないといけない。ここではU20の強化も図らなきゃいけない。オーバーエイジを入れながらU20の強化に繋げる…というもの(計画)もあります。6月(スコットランド代表戦)のセレクションの場としても…」

――サンウルブズと代表、どう連関性を保つか。

(土から譲りうける形で)薫「サンウルブズではマーク・ハメット(ヘッドコーチ)が準備してます。ジョセフと連携を図りながら、色んな意味で代表の強化を図る。6月のスタッフは調整中。きょうか連携を図っていくとしか言えない」

――(当方質問)ジョーンズさんとジョセフさんでは、やるラグビーが全く違うように映ります。そのあたりの検討はなさらなかったのですか。

(土から譲りうける形で)薫「別の質問、ございませんか(と苦笑)。…2015年のジャパンが示してくれたラグビーは、日本人がやらなきゃいけないこと(が多く含まれています)。以前の日本人指導者の方々も、きっと同じことをやろうとはされていたのだと思います。ただ私が思うに、それらの方とエディーとの違いは、エディーがやり切った、ということです。そのベースは、エディーだろうがジョセフだろうが変わらないはずです。どのようにボールを回すかなどのプラン的なものは違うかもしれない。あとは(ジョーンズ体制下のような)長期間拘束になるのか、ゲームをしながら強化を図るのかの違いもあるとは思います。ただ、根幹は、一緒」

――(当方質問)ジョセフのもとに集まるコーチは。

「話すことはできませんので、調整中ということでお許しいただければ」

――7人制と15人制との両立や掛け持ち。誰がイニシアチブを取るか。

「日本協会でイニシアチブを取って決めていく。エディーは15人制や7人制と合わないと言っていましたが、現に藤田(慶和)選手や福岡(堅樹)選手など(15人制代表メンバー)を(7人制代表に)選ばせている。今回、オリンピックリオデジャネイロ大会にも(2015年の15人制代表が)3人、チャレンジする。そのあたりのことも、上手くいくなら調整したいというのが僕の考えです。選手層的には、セブンズ専用のプレーヤーはなかなか少ない。20年(オリンピック東京大会)までは(15人制と)両立しながら、と

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事