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ラグビーに「間違ってる」はない。堀江翔太、サンウルブズ初代キャプテンに就任。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ハメットヘッドコーチ(右)と会見に出る堀江(左)

世界最高峰リーグのスーパーラグビーへ今季から参戦する日本のサンウルブズが、2月9日、初代キャプテンを発表。かねて予想されていた通り、フッカーの堀江翔太が就任した。チームがメディカルチェック中の5日に任命されていた。

2013年から2年連続でレベルズに在籍し、スーパーラグビーを経験。日本代表としては昨秋のワールドカップイングランド大会で副キャプテンを務めて3勝を挙げた。国内所属先のパナソニックでもキャプテンとして、日本最高峰のトップリーグで3連覇を果たしている。サンウルブズではチームが集合する2月よりも前の段階から、仲間から就任を熱望されていた。

チームは27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズとの初戦をおこなう。

以下、就任会見とその後の囲み取材時の一問一答(一部)。

<会見中>

「まぁ、(報道陣の)皆さんも薄々、気づいていただろうと思いますけど…。任命されて光栄に思います。スーパーラグビーのチームの初代キャプテンなんてできることはなかなかない。ハマーさん(マーク・ハメットヘッドコーチ)も僕のことをサポートしてくれる。非常に、いまは楽なところがある。試合(シーズン)に入るにつれて、選手同士が話し合うなかでの仲介役になりたいと思っている。スタッフともコミュニケーションを取って進めていきたい。経験豊富な選手もいっぱいいるので、海外の選手の話も聞いて、いいチームを作っていきたい」

――目指す方向性は。

「コミュニケーションが取りやすいチームにしたい。(所属選手が国内などで在籍する)各チームの考え方をくみ取って、(その内容がサンウルブズにとって)使えるか使えないか、通用するかしないかを見ていきたい。一番よくないのは、アイデアがあるのにそれが出ないこと。考えていること、自分が思っていることを出せる雰囲気にしたい。ハマーさんもそういう雰囲気を作っていこうとしているので、やりやすいかなと。日本人は、ミーティングで発言がしにくい。ハマーさんも『発言に合っているとか間違っているとかはない』と話してくれるけど、まだまだ発言しにくい部分もあると思う。だから僕は、意識して発言するようにしています。今後、選手とスタッフが1つになれるようになれたらいいかなと」

――選手を前に、キャプテン就任のあいさつでどんな言葉を。

「(言葉は)ない、ですねぇ…。僕が思っていることとハマーさんが思っていることが、大体、一緒やったので(全体ミーティング時、ハメットヘッドコーチに紹介された直後のことと思われる)。その後、僕が同じことを言っても皆にとってはうるさいだろうなと思って。あまりキャプテンとしてどうのこうの、という話はしていないです。いち選手なので、いいプレーをする」

<会見後>

――スーパーラグビー経験者として、若い選手へどんな声をかけるか。

「まぁ、多分、気合いは入ると思うんですよね。日本人でもできるんやぞと見せるところだし。でも、躍起にならないでほしいですね。

(レベルズでデビューを果たした頃は)僕からしても、(ニュージーランド留学など幾多の困難を乗り越えて)やっとスーパーラグビーの舞台に立てた。憧れの場所だった。ただ、始まってしまえば普通の試合と変わらない。

ワールドカップを経験した選手からすると、そこまで(緊張感のあるワールドカップほどは)すごい場所ではないと思うので、あまり過大評価はせん方がいい。(経験の浅いチームメイトには)そう、言っといた方がいい」

――勝利に向けて。

「いまは自分たちの戦略術をもっともっと作っていけたらいいかなと。ライオンズ戦に向けて、その戦略術をどう使っていくか…。まずは、自分たちのものを作っていきたい。

基本があって応用なので、まずは基本を身体に覚え込ませなダメ。しばらくはその作業が続くんじゃないですか。準備期間も短いので、選手はミーティングをたくさんしています。(猛練習で知られた昨年までの日本代表より)身体は動かしていない分、頭は動かしている」

――(当方質問)以前、「スーパーラグビーには相手チームをち密に分析するチームが少ないのでは」と話していました。

「そう思いますよ。分析をしている分にはしているんですけど、(その内容を)そこまで選手が気にしていないとか、選手が(分析に基づき用意したプレーを)その通りにやらないということがある。それは自分(独自で動く選手)に能力があるからかもしれないですね。

右に行く、って決まっているのに、左に行って、そのまま抜けちゃったりするんですよね。でも、それをやり過ぎると(突破した先で)人(相手)がたくさんいて、捕まっちゃったりもする。チームがあっての個人の判断というのは、(サンウルブズの)皆はわかっていると思う。もちろん、戦術にもたれかかって自分たちの判断がなくなるのも怖いところ。バランス、ですよね」

――ハメットヘッドコーチについて。

「コーチ陣もチームで戦う意志は示してくれている。皆、信頼しているんじゃないですか。『いいこと言うなぁ』みたいな。全体ミーティングでハマーさんが言った『発言に合っているとか間違っているとかはない』。まさしく僕も、そう思っているんですよね。ラグビーにおいて、絶対に間違っているものはない」

――(当方質問)単純な比較は難しいと思いますが、エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチとの相違点は。

「うーん、どうですかね。『選手で作っていくんだよ』というのがハマーさん。一方、エディーさんはまず自分の考えを出してから、(徐々に)選手主導にする。順番(選手の自主性を引き出すまでのプロセス)は、違うというか」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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