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「悔いなくやろう」。長期ツアーを終えたサンウルブズ堀江翔太、帰国後に語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
巨躯と激突。ツアー中は全試合に先発した。(写真:Haruhiko Otsuka/アフロ)

国際リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズが、4月17日の夜、長期遠征から帰国。フッカーの堀江翔太キャプテンが取材に応じた。

シンガポール、南アフリカに合計約3週間も滞在し、4戦全敗に終わった。試合のなかった第2節を挟んで開幕7連敗中だ。

特に4月15日の第8節では、記録的な大敗を喫した。南アフリカはブルームフォンティンのフリーステイト・スタジアムで、チーターズに17―92で屈した。遡って4月2日、ポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアムでは、キングスとの未勝利同士の第6節を28-33で落としていた(それぞれ現地時間)。堀江が最前列中央で組むスクラム、投入役を務めるラインアウトで苦しんだ。

チーム初の南アフリカ遠征にあって、ウイングの山田章仁ら怪我人が続出した。日本代表として2度のワールドカップ出場を経験し、レベルズの一員としてスーパーラグビーを経験したことのある堀江も、体調管理に苦しんだという。

チームは19日から練習を再開し、23日、東京・秩父宮ラグビー場でジャガーズとの第9節に挑む。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――ツアーを振り返っていかがですか。思い通りにはいかなかったでしょうが。

「いまは耐える時期じゃないですか。これでシーズンが終わりではないですし、まだ試合は続く。皆には、次に向けて頑張ろうという話はしました」

――マーク・ハメットヘッドコーチは何と。

「ポジティブに行こう、というところですよね。ネガティブなことは普通に出てくると思う。それに引っ張られず、どうポジティブに前へ進むことが大事。それは、悪い事を全部忘れるのではなくて、悪い事を肥やしにして次へゆこうと話しました」

――(当方質問)チーターズ戦の動きを拝見すると、序盤から疲れていたような。

「疲れもありましたけど、怪我人もあって途中でメンバーが変わりながら…という部分(連携の不一致)もあった。まぁでも、頑張ってましたよ。途中で諦めた感じは出ずに。一発でボンと取られるトライが多くて、向こうに運が流れたところはありますけど」

――(当方質問)試合をしながら、どう改善を図りましたか。

「序盤にいきなり一発でボンボンと取られた。次のプレーをどうするかに重きを置いていました。ディフェンスの部分は、その場で修正できるようなものでもなかった。例えば、システムを変えるのは、その試合中は無理ですよね。そのことはミーティングを重ねながらしていくこと。あの試合に関しては、最後まで諦めずに身体を張って、やってきたことを出そう、と」

――長期遠征中のコンディショニング。

「試合ばかり続くと怪我人も出てくる。身体のケアは考えながらやっていかないと。その辺は、僕らがどうこう言うのではなく、スタッフに任せています」

――(当方質問)一部報道では、試合後にハンバーガーだけだったこともあった。

「僕は試合後にそんなに食べられない方なんで、そこは別に。まぁ、日本食が出なかったので、それは食べたいとは思いましたけど」

――ずっと、ホテルの食事を摂っていたのですね。

「海外の飯って感じです。それも、次の南アフリカ遠征までには、改善されるんじゃないですか。日本食があったらいいとは言いましたけど、今回は間に合わなかった」

――レベルズにいた頃の食事は。

「あの頃はそこまで日本食が欲しいって感じではなかった。ずっと(レベルズのある)オーストラリアにおったので。オーストラリアと日本の食事は似てるところもあるので」

――大好物の崎陽軒のシウマイ弁当を…。

「食べたいですね」

――次の遠征には持参を。

「持って行っても腐るでしょう」

――海外へ炊飯器を持って行くアスリートもいますが。

「ね。オーストラリアは日本食レストランもありそうなので大丈夫でしょうけど、南アフリカへは持って行った方がいいかな」

――たこ焼き機を持って行って、リフレッシュを図る人も。

「確かに、いいですね。それ、皆に言うときますわ(早速、スマートフォンで打ち込み)」

――食事以外で、南アフリカでの調整の難しさは。

「気候が、急に寒くなったり。ちょうど秋になるところだったので。でも、一番はご飯じゃないですか。僕も、お腹下しましたもん。キングス戦の後かなぁ。人それぞれですけど、僕はその辺。(他に)下している選手はいましたよ。それも、経験です」

――スクラム、ラインアウトは苦戦しています。

「あまりうまいこと行っていないので、試行錯誤していこうと思います。専門的なスクラムコーチもいないですし。もしいたら、その彼が分析などをしてくれる。きっとプラスになるでしょう。まぁ、それを言い出したらたらればになる。(元ニュージーランド代表フッカーの)ハマーさんからもアドバイスはもらえるので。ラインアウトはどんどん合ってきているけど、完全な意思疎通はまだできていない」

――(当方質問)キングス戦後は、どう乗り越えたか。

「常に次の試合、次の試合ですよ。負けたらそこで終わるわけではない。目の前の試合を100パーセントでやっていくのは、勝っても負けても一緒です」

――(当方質問)あの日、かなりショックを受けているようでしたが。

「負けたら、どの試合もショックですよ」

――次への修正点は。

「セットプレーですね。僕はフォワードなんで、特に」

――次に戦うジャガーズの印象は。

「まだちゃんと観ていないですけど、スクラムとモールは強いんじゃないですか。張り合いたいと思います」

――(当方質問)皆と再会したら、どんな声をかけますか。

「次の試合も悔いなくやっていこう、ってところですよね。あんだけ点を取られたら悔いが残っちゃう部分もあると思うので。悔いなくやれば、自ずと結果はついてくる。下を向かずに前向きにやっていこう。そう話そうとは思いますね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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