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日本代表・中竹竜二ヘッドコーチ代行、元教え子五郎丸歩へメッセージ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
大会後はU20日本代表の指導に集中。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表は5月28日、東京・秩父宮ラグビー場で香港代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ最終戦をおこなう。

ここまで3戦全勝中のチームは現在、都内で合宿中。26日の練習後、中竹竜二ヘッドコーチ代行が取材に応じた。22日に怪我を発表した五郎丸歩や、コピーライターの糸井重里氏との親交についても触れた。

昨秋、ワールドカップイングランド大会で歴史的な3勝を挙げたメンバーはゼロ。中竹ヘッドコーチ代行が、若手中心のチームを引っ張っている。この週は、本来率いている20歳以下(U20)日本代表も練習に参加させた。U20日本代表は6月、イングランドでワールドラグビーU20チャンピオンシップに挑む。

日本代表は、今度のゲームを最後に一時解散。カナダ代表やスコットランド代表と試合をおこなう6月のツアーに備えては、今回戦った32名(追加招集を含む)のうち14名にイングランド組19名などが加わった43名のスコッドが発表されている。

ここではスーパーラグビー(国際リーグ)に日本から参戦するサンウルブズのマーク・ハメットヘッドコーチが代行を務める。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチは、現在務めるスーパーラグビーのハイランダーズとの契約上、秋以降の着任となっている。

ツアーの正規メンバーは、薫田真広ディレクター・オブ・ラグビー曰く「コンディション」の観点から5月下旬以降に30名程度まで絞り込まれる。イングランドで国民的人気を獲得した五郎丸は、21日のスーパーラグビー(国際リーグ)の第13節でレッズの一員として出場した際に右肩を脱臼。期待されていた6月のプレーは叶わない見込みだ。

中竹ヘッドコーチ代行は、早稲田大学監督時代に五郎丸を指導していた。

以下、26日の一問一答の一部(編集済み。全て当方質問)。

――次が、このチームで最後の試合です。

「集大成にしよう。やってきたことを全部出すように。そう言っています。3試合やりましたけど、今回、一番いい成長度合いを見せたい」

――いまは、6月の代表スコッドに入った選手とそうでない選手が混在した状態ですが。

「全員がスコッドに入ろうという話はしていて、結果的には半分、半分のような形にはなりましたが、それは、このチームでベストな試合をするという意味ではあまり関係ありません。入らなかった人間は切り替えて、次の試合でも魅せる。いつ呼ばれてもいい準備をする。多くの選手は、次の試合に集中してくれていると思います」

――現在は、U20日本代表が日本代表の練習に参加しています。

「最初は遠慮をしていましたが、きょうはジャパンの選手たちから『U20のおかげで試合を想定したいい練習ができた』と。彼らも日を重ねるごとに、本気で日本代表を倒しにいくようになった。素晴らしい経験になった。ジャパンの、受け入れる懐の広さにも感銘を受けました」

――今回のメンバー中、6月の代表スコッド入りが期待されたテビタ・タタフ選手はU20日本代表の方へ入りました。

「こちら(U20)はオフィシャルな大会に出るので」

――6月の代表スコッド入りの検討もされたのでは。

「常に候補には挙がっています。ただ僕は、今回はU20で戦って欲しいと思っています。上(日本ラグビー協会)もそういう判断をしてくれた。どちらに入ったから上か、下かのような話は、ほとんど出なかったです。まぁ、(いずれ)確実に入りますから。U20で大事な大会があるなか、あまり急がなくても」

――今回のARCで最も成長した選手は。

「挙げにくいです。全員、成長したので。1人には決めづらいですね」

――では、最も成長した要素を挙げていただけますか。

「短い準備期間(開幕から約1週間前に始動)のなか、戦い方に関してセイムページ(同じビジョン)を観よう、と言っていました。(成長したのは)そこでの理解、考える力です。また、自分のポジションごとの役割への責任感、プレー(自体)も。

その意味では、わかりやすいのは児玉健太郎ですかね(ウイングとして3試合連続で先発)。トライを取り、ディフェンスを安定させ、ハイボールをキャッチする。1戦ごとに新しいスキルを披露している」

――児玉選手は、慶應義塾大学時代に謹慎処分を受けるなど苦労を乗り越えています。

「非常に、考えています。ミーティングでは一番前に座って、積極的な発言をしてくれます。僕のチーム作りのうえでは、彼の力は大きい。彼はリーダーではないのですが、リーダーではないなかで自分の世界を持って話している。本当に、ありがたいです。非常に信頼しています」

――糸井重里さんが試合を観にいらっしゃると。

「ワールドカップが終わった後、色々な関係を通じて会うことになりました。色々な打ち合わせや対談をさせていただくなかで、応援してもらうことになりました(運営するほぼ日刊イトイ新聞の企画で)。影響力のある、ちゃんと物事を観られる方にミーティングや練習を見てもらって。我々が当たり前にやっていることへ驚き、気付きを得てもらった。自信になりました」

――ファンの方が気になっている事象なので、伺わせてください。五郎丸選手の怪我に触れ、どう感じましたか。

「ラグビー選手は怪我との戦い。彼はずっときついなか、やってきた(国内外で休みなくプレー)。頭の切り替えをするいい時期だと思います。怪我をして残念と言われますが、やっと落ち着けるのでは…とも。五郎丸歩らしく、自分を立て直すいい時間にして欲しいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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