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出番限られるレベルズでも、指揮官不在の日本代表でも。松島幸太朗がクールな件。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サンウルブズ戦時は、来日を果たしながらベンチ入りならず。その心境は…。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

国際リーグ・スーパーラグビーのレベルズでプレーする松島幸太朗が、日本代表として決意を明かした。

ジンバブエ人の父を持ち、幼少期を過ごした南アフリカのプレトリアでラグビーと出会った23歳。身長178センチ、体重87キロの体躯で相手をしなやかにかわし、守っても低いタックルで魅せる。

日本でも楕円球に触れ、桐蔭学園卒業は南アフリカのシャークス傘下にあるアカデミーへ挑戦した。2013年にはサントリーへ加入し、アウトサイドセンターやウイング、フルバックとしてプレーする。

昨季のスーパーラグビーではワラタズへ加入も、出番は得られなかった。今季は複数のオファーのなかから選んだレベルズで公式戦デビューを果たす。ここまで12戦中5戦で途中出場を果たしている。

日本代表としては昨秋のワールドカップイングランド大会で3勝を挙げるなど、16キャップ(国際間の真剣勝負への出場の証)を獲得。今度の6月のツアーでは11日にB.Cプレイススタジアムのカナダ代表戦、18、25日にはそれぞれ愛知・豊田スタジアム、東京・味の素スタジアムでスコットランド代表戦に挑む。もっとも新指揮官は就任前とあって、「正直、怖いです。選手主体になるんじゃないですかね」と心境を明かしたこともある。

スコットランド代表は、昨秋のワールドカップイングランド大会で唯一敗れた相手。9月23日にグロスター・キングスホルムスタジアムでおこなわれた一戦は、45-10というスコアで終わった。敗れた日本代表は、4日前に過去優勝2回の南アフリカ代表を制している。

以下、4日に都内で共同取材に応じた松島の一問一答の一部(編集箇所あり。※は当方質問)。

――今季、スーパーラグビーデビューを果たしましたが、試合に出ていない時期もありました。どんな気持ちで過ごしていましたか(※)。

「やることは変わらなくて。練習も100パーセントでやる。試合のメンバーに入っていないからといって『これくらいでいいや』というメンタルでやると、ずっと(メンバーに)入れなくなる」

――3月19日、東京・秩父宮ラグビー場。来日しながら、日本のサンウルブズとのゲームに出られませんでした(※)。

「(にやりと笑って)もちろん試合は出たかったですけど…日本に帰れてラッキーだったな、という感じですね」

――逆に、試合に出てプレーした時の印象は(※)。

「自分のアピールポイントであるランやステップワークは見せられた。時間は短いですが、それをアピールできたのはよかったです」

――日本代表でプレーする思いは。

「新しい力も入った。そういう人たちとプレーするのも楽しみです」

――スコットランド代表戦について。ワールドカップの対戦した際の印象は。

「抜けそうというところで、捕まった場面があった。その辺のフィジカルの部分を作り直せば、次にやった時にはもっと簡単に行くと思いました」

――いまの日本代表で、不安はありますか。

「不安はないです。いまいる選手同士でやるしかない。オンフィールドでも、オフフィールドでもコミュニケーションを取っていきたいです」

――正式な指揮官がおらず、メンバー招集も思うようにいかなかった印象。それでも選手は言い訳をしない(※)。

「やることが明確だからです。一番は、勝ちたいという気持ちがある。その意志があれば、上手くいくと思います」

――同じ代表で仲の良い田中史朗選手とは(※)。

「ここへ来る前から、ほぼ毎日、連絡を取っていた。代表の話になることもありました。去年のワールドカップのメンバーから抜けた選手もいる。入れ替わって入った選手とどうコミュニケーションを取ってジャパンを強くできるか。と、いった話です」

――このチームでリーダーシップを取る意志はありますか(※)。

「そういう発言は、していきたい。まぁ、リーダーというより、情報をシェアしていきたいです」

――「情報をシェア」。例えば(※)。

「僕の経験したこともそうですし、他の人の経験も言ってくれれば自分も吸収できる。そういう細かいコミュニケーションを、練習中も、練習後も取っていきたいです」

――ラグビーそのものの話も。反則を減らす重要性についてお話しください(※)。

「ワールドカップでもペナルティーが少なかった。ペナルティーを犯して、相手に(ペナルティーキックをタッチラインの外へ出され、ラインアウトから)モールを組まれて…というパターンになると、身体の小さい僕らは苦しい。それを、皆がわかっていた」

――日本代表は、規律を守れるチームなのですか。

「日本代表は、団結すればするほど強いチームです。練習中でも、そのディシプリンを確認していきたいです」

――立川理道さんが、カナダ代表戦で初めてゲームキャプテンを務めます(※)。

「色々と発言もしていますし、最近は身体も強くなってきている。身体の強い選手がミットフィールド(センター)にいるというのが、ジャパンの強みにもなってきている。必ず、ゲインはしてくれる。そのアドバンテージを活かしながら、いいアタックをしたいです」

――松島さんは、どこでプレーしたいですか(※)。

「フルバックで、自分の得意とするランコースやステップを発揮できればいいかなと思います」

――昨季まで、人気のある五郎丸歩さんがフルバックを担っていました。五郎丸さんがいないことについては(※)。

「僕と(安定感とゴールキックの精度を持ち味とする)ゴローさんは、プレースタイルが違う。比較はできないですが、僕は僕なりのアピールをして、こういう選手だ、というものをわかってもらえれば」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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