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茂野海人、緊張の日本代表デビューか。田中史朗の「もっと頑張れ」発言にも。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サンウルブズが初勝利を挙げたジャガーズ戦でもプレー。強気に攻めた。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

4年に1度あるワールドカップの自国大会を2019年に控える日本代表は、現地時間6月11日に敵地バンクーバーのB.Cプレイススタジアムでカナダ代表とぶつかる。攻守の起点となるスクラムハーフのリザーブには、茂野海人が入った。出場すればテストマッチ(国際間の真剣勝負)デビューとなる。

昨季は所属先のNECからニュージーランドへ留学すると、オークランド代表としてITMカップ(同国の地域代表選手権)に出場していた。身長170センチ、体重75キロの25歳。落ち着いた試合運びを展開。密集脇に鋭く一歩を踏み出しながら、小さなモーションから強い回転のパスを放つ。

今季は国際リーグのスーパーラグビーに挑戦。日本から初参戦するサンウルブズに追加招集の形で加わり、公式戦デビューも果たしている。その流れで、今度の日本代表入りも果たした。6月のジャパンでは、サンウルブズのマーク・ハメットヘッドコーチが指揮を執る。

チームが都内に集合した6月4日、茂野がメディアの取材機会に登場。単独取材に応じ、国を代表する緊張感やライバルの発言について語っている。

以下、その際の一問一答の一部(編集箇所あり。全て当方質問)。

――テストマッチデビューが近づいている、かもしれません。

「緊張します。自分、基本的に緊張しいなので。(置かれた立場は)ありがたいことですが」

――招集を受けたタイミングは。

「NEC(国内所属先)の主務の方から『候補に入っている』とメールはもらっていて。実際に入っているとわかったのは、発表される前、ですかね」

――同じスクラムハーフには、田中史朗選手がいます。スーパーラグビーの日本人選手第1号で、日本代表としてワールドカップに2度出場しています。

「田中さんから学ぶ。世界一のアーロン・スミスと一番近いところにいる方なので(田中の所属するハイランダーズでは、ニュージーランド代表スクラムハーフのアーロン・スミスもプレー)。田中さんは状況判断がうまく、そこは自分に足りないところ。盗んで、成長できる糧にしたいと思います」

――その田中選手は以前、公の場で「日本代表の他のスクラムハーフ、内田啓介選手、茂野海人選手について」という質問を受け、「正直、もっと頑張って欲しいと思います。まだ経験値が足りない」と仰っています。奮起を促す意味合いが強かったとは思いますが。お聞き及びですか?

「本当にそうだと思います。足りない部分は自分でもわかっている。わかっていても、克服できていない部分も。今回、田中さんの近くにいることで、経験値を上げていければ」

――「経験値」。こればかりは、レベルの高い試合に出ないと積めないように感じますが。

「それもありますが、試合(の映像)を観ることでイメージを膨らませることも経験です。上手い人の近くでプレーするのも、経験です」

――なるほど。捉え方次第で、「経験値」は積める。

「僕はそう思っていて。(自身と田中の間には)いま、相当な差があると思う。そこを、埋めていきたい」

――定位置を争うライバルでもありますが。

「まず、学ぶところからです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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