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本当は日本代表に入ってた? 明治大学・梶村祐介、「HP見て」落選知るも前向き【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
帝京大学との試合で活躍する梶村。今季は守備でも魅せたい。(写真:アフロスポーツ)

明治大学ラグビー部の梶村祐介は、6月、日本代表スコッド入りの内定が取り消されたような事態に見舞われていた。ミスコミュニケーションのためだったか。

カナダ代表、スコットランド代表と計3戦をおこなうスコッドへの加入を事前に言い渡されながら、5月10日に発表されたリリースに自身の名前がなく驚いたという。

チームを預かる丹羽政彦監督も、事前に日本ラグビー協会から受けた連絡を梶村の代表招集依頼だと認識していた。発表を受けて同協会に問い合わせたとし、「ジェイミーを説得できなかった、と聞いたんだけど…」と首を傾げていた。

日本代表のジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチは件の選考にも関わったが、実際の指揮はマーク・ハメットヘッドコーチ代行、選考会議の進行は薫田真広・男子15人制日本代表ディレクター・オブ・ラグビー(DOR)がおこなっていた。

もともと、4~5月に活動した若手中心の日本代表から声のかかっていた梶村だが、当時負っていた怪我のためオファーを辞退。しかし、ベストメンバーで臨む6月のスコッドへの加入を告げられ、快諾と同時にコンディションを整えていた。

春の段階では、自身と同じセンターで代表のレギュラーを担う立川理道副キャプテンの名を挙げ、「色々吸収して、ライバルだと思ってもらえるように頑張りたい」と応じた。

一連のやりとりについて質問を受けた薫田DORは、正式に招集した認識を持っていなかったものの「リスト(非公開の日本代表候補メンバー)には(名前があった)」と証言。兵庫・報徳学園高校3年時にジャパンの練習生となったことのある梶村は、7月、単独取材で心境を明かしている。

卒業生を中心に人気を博すチームは1996年度以来の大学日本一を目指しており、身長180センチ、体重95キロのサイズで攻撃スキルに長けた梶村は主軸として期待される。

以下、当時の梶村の一問一答(一部編集箇所あり)。

――改めて、6月のことを伺います。過去の取材によれば、日本代表メンバー入りを事前に伝えられていながら、発表当日(5月10日)のリリースに名前がなかった、という認識のようですが。

「そうですね。他のチームにもそういう方がいたみたいで…。僕も、もともとその日に(正式)発表だったのはわかっていて、(事前に)両親にも伝えていて、すごく喜んでくれていた…。僕自身、ショックだったんですけど、まだ、時間はあると思う。呼ばれることが一番、よかったですが、メイジで学ぶことを学んで、また呼ばれたらいいと思います」

――日本代表入り、かねてから熱望していました。

「いまは変に『早く呼ばれたい』と思い過ぎず、しっかり時間をかけて…と考えています。呼ばれていて落とされるのは、他の選手よりも必要とされていないということ。いまある弱点を踏まえ、試行錯誤しながら、去年とは違うスタイルでやっていけたらと思います。僕はよく同じ明治大学出身センターの元木由記雄さん(元神戸製鋼で日本代表79キャップ=国際間の真剣勝負への出場数を保持)と比べられますが、トータルで見ればまったく元木さんには敵わない。特にディフェンス面が伴っていない。まず、あのレベルに近づけるように、ディフェンス力を上げたい。より周りと喋って、自分が相手を止められる範囲に追い込めるようになりたい」

――冒頭の言葉、確認します。「他のチームにもそういう方がいた」と(後の追加取材によれば、国内最高峰トップリーグのキヤノンの数選手が薫田DORの説明する「リスト」に入っていたとされる。キヤノン側は静観)。

「そうですね。よく合同練習をさせていただくキヤノンでも…。僕だけではなかったことで、まだ諦めがつきました。連絡も来ていたので呼ばれたかったですけど、これが最後じゃない。頑張ります」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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