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落選、復活、リオ五輪4強。7人制日本代表の豊島翔平が語る「準備」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
大会中はスーパーサブとして活躍。(写真:ロイター/アフロ)

男子7人制ラグビー日本代表としてリオデジャネイロ五輪で4位入賞した豊島翔平が、当時の状況といまの決意を語った。

東海大学時代から甘いマスクの快足ランナーとして注目された豊島は、身長175センチ、体重87キロの27歳。8月におこなわれた大舞台では、強豪ニュージーランド代表を14―12で下すなど予選プールを2勝1敗で通過する。メダルまであと一歩のところまでコマを進めた。

大会前は、7月に公式会見された大会登録メンバーおよびバックアップメンバーからは外れたが、8月のオーストラリア合宿へ追加招集の形で参加。逆転でのメンバー入りを果たした。

9月6日におこなわれた単独取材では、メンバー入りへまでの道筋や好結果を残した要因など、2020年の東京五輪に向けた重要証言を明かしている。

現在は15人制の国内最高峰トップリーグの昨季準優勝チーム、東芝でプレーしている。第2節から2試合連続で先発出場中だ。14~20分の短期戦である7人制の試合に比べ、80分のそれは長期戦だ。両者は似て非なる競技とも言われている。

以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――まずは、落選から復活までの過程について伺います。公式会見の前には北海道で合宿をしていましたが。

「北海道合宿の段階で、瀬川さん(智広ヘッドコーチ)が、僕を含めたメンバー外の選手と個別ミーティングをしました。その時、『次のオーストラリア合宿へは、選ばれた14人プラスお前で行く』と言われていました。『ここでもまだ、観てみたい』と。ここしかない、と、オーストラリアで必死にやりました。自分が苦手としていたディフェンス練習は、特に。向こうで試合をしたのですが、最初のうちはメンバー外という扱いでした。ただ、2、3試合目で出させてもらう機会が出た。短い時間でしたが、強気で行きました。とにかくタックルへ、ボールを持ったら自分から…と。帰ってきた段階で、瀬川さんに『12人(大会登録メンバー)に入った』と言ってもらいました」

――あの時、昨秋のワールドカップイングランド大会に出場した3選手(山田章仁選手、藤田慶和選手、福岡堅樹選手)もメンバー争いをしていました。

「脅威ではありました。個人的なスキル、ポテンシャルの高い選手なので。ただ、7人制に関して言えば負けてないという気持ちは、ずっと持ち続けていました」

――そして、ニュージーランド代表戦での勝利を迎えます。

「オーストラリアにいた期間中、ニュージーランド代表に勝つための準備をしていました。最近、15人制をやり過ぎて、その辺の話は飛んでいますが…」

――相手を引きつけて、接点を作る前に別の仲間へパス。その繰り返し。

「予選に関しては、準備をしてきたものが出た。試合前のアップまでいい状態。いい準備、最高の準備ができた。準備の大切さ、すべては準備だということを改めて知りました」

――これは色々な方に聞かれたと思いますが、2点リードで迎えた敵陣ゴール前でのラインアウト。ご自身の投げた球が相手に渡った際は…。

「何も思わずに必死に、やりました。とにかく自分で追おうと思いました」

――いまは、トップリーグでプレーしています。久々の15人制の試合でのプレー、いかがでしたか。

「いやぁ…。長かったです! ただ、長いなぁと思いながら、意外と15人制(の感覚)も忘れていなかった。『7人制をやり過ぎて15人制を忘れている』という感覚もなくて。(試合出場までに)2~3週間の時間をもらったからでもあると思うのですが」

――今季の目標は。

「今後のことは何も考えていませんが、今季の7人制の大会へは行かないつもりです。ずっといままで、東芝で試合に出続けたシーズンがなかった。今季は第2節からになりますが…トライ王、狙ってみたいですね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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