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次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第4節)【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
ヤマハの矢富は、サンウルブズの一員としてスーパーラグビーでもプレー。(写真:アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグ第4節(9月16日~17日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。

昨秋のワールドカップなどで何となく勝手を知った方向けにまとめております。もしわからない箇所がありましたら、「まぁ、要は、そういう感じなのね」と読み飛ばしていただいてかまいません。きっと、実際の観戦時に照らし合わせられることと存じます。

1 左プロップ

平島久照(神戸製鋼)…トヨタ自動車を下したゲームにあって、神戸製鋼は前半こそスクラムで苦戦。相手の右プロップであるルアーン・スミスが中央方向へ圧力をかけ、神戸製鋼の左プロップである山崎基生とフッカーの木津武士とのつながりがを分断していたような。前半29分には、敵陣ゴール前でのスクラムが神戸製鋼にとっての左側から崩れ落ちる。神戸製鋼のコラプシング(塊を故意に崩す反則)と判定される。ところが、後半から平島が登場すると形勢逆転。4分には相手ボールの1本を左側から押し返す。50分には敵陣22メートル線付近での自軍ボールスクラムで圧力をかけ、組み直しの末、トヨタ自動車の反則からフリーキックを獲得。チームはまもなく、スコアを22-0とする追加点を挙げた。27-7。ノーサイド。

2 フッカー

青木佑輔(サントリー)…3連覇中のパナソニックに45-15と完勝するなか、スクラムで終始優勢を保つ。相手最前列の特徴を徹底分析していたとのこと。

3 右プロップ

畠山健介(サントリー)…パナソニックのスクラムを押し上げる。「色んな要素が重なって、結果的にいいスクラムが組めた」。敵陣ゴール前での接点に顔を出してのトライをはじめ、密集戦での渋い働きも目立った。

4 ロック

福坪龍一郎(サニックス)…かねて球を持たぬ際の強さに定評あり。コカ・コーラを19-16で制す接戦でも、鶴岡怜志、田村衛土キャプテンの両フランカーとともに防御で身体を張る。特に3点リードを守る後半30分以降は圧巻。まず31分頃は自陣ゴール前で張り付けにされながら、接点際でタックルとブローを重ねる(最後は田村キャプテンがこぼれ球に飛びついてターンオーバー)。31分頃のゴールライン上でのタックル、40分頃の最後の防御では、自陣中盤右中間でタックルを決め、反則を取られぬよう一度は展退も、もう一度、腰を落とす。接点へ、頭と腕を入れる。その間、サニックスの防御網は整う。最後は途中出場のフランカー新井信善がジャッカル(接点でのボール奪取)を決め、反則を誘った。ノーサイド。

5 ロック

デューク・クリシュナン(ヤマハ)…昨季準優勝の東芝を40―6のスコアで黙らせる。後半初頭には、自陣ゴール前左でのピンチで相手のスタンドオフ田村煕をタックルで押し返す。すぐに起き上がって、近くの接点へ飛び込む。ノックオンを誘う。さらに続く13~15分にかけては敵陣ゴール前での攻撃で身体を張った。左サイドでラックを連取する折、ボール保持者として相手の壁へぶつかる。スタンドオフの大田尾竜彦(後述)を軸にボールを動かし始めると、右中間でできた接点へ好サポート。相手フランカーのリアム・メッサム(ニュージーランド代表経験者の狙撃手!)のジャッカルをすんでのところで防ぎ、スコアを28-6と広げる4トライ目を演出した。

6 ブラインドサイドフランカー

ヘルウヴェ(ヤマハ)…東芝戦では、自陣ゴール前での密集から再三ボール奪取。腕力で魅せた。特に後半19分頃には、相手が組み込んだモールから球を持って抜け出し、力走。

7 オープンサイドフランカー

ピーター・ラピース・ラブスカフニ(クボタ)…前半16分頃、自陣22メートルエリア左の接点でボール奪取を決める。以後、テレビ画面上にずっと顔を出していた。クボタが得意とする攻守逆転からの速攻でも、果敢にサポートへ入った。

8 ナンバーエイト

ヴィリー・ブリッツ(NTTコム)…近鉄に18-3と守り勝ったゲームで、接点でのサポートや攻守逆転へ奔走。ワンプレーを終えた後の起き上がりの速さ!

9 スクラムハーフ

矢富勇毅(ヤマハ)…持ち前の走りで3トライを奪取。特に3本目は、スクラムの脇から抜け出して元ニュージーランド代表のコーリー・ジェーンをきれのあるステップで抜き去ったもの。

10 スタンドオフ

大田尾竜彦(ヤマハ)…得点を奪った連続攻撃のさなか、球をもらいにいく位置取りやランニングコースを微妙に変える。相手防御の的を絞らせない。

11 ウイング

アンドリュー・エブリンハム(サニックス)…後半12分。チームが連続攻撃を仕掛けるなか、接点から球を受け取ったスタンドオフ(背番号15をつけるも実質的にスタンドオフとのこと)の田代宙士が勢いよく駆け上がる。ロングパスを放った先は、左タッチライン際。ここの無人のスペースを陣取っていたエブリンハムは、ただ真っ直ぐ走ってインゴールを割る。偶発的ではなく、自発的な位置取りの妙でスコアを決めたのだ。シーズン5トライ目を奪取。山下楽平(神戸製鋼)と同率で、目下トライ王。

12 インサイドセンター

立川 理道(クボタ)…ホンダとの死闘にあって、8-8と同点で迎えた後半25分のトライ(15―8)を演出。まずはグラウンド中盤で球を得るや、前に出る守備網の裏へキック、自ら確保し敵陣ゴール前右まで進む。クボタが左へ、右へと攻撃を継続すると、最後は相手を引きつけながらのラストパスでウイング伊藤有司を走らせた。この他、自陣で相手をタッチラインの外へ押し出すなど防御でも魅せる。他会場では、ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)のランも出色。

13 アウトサイドセンター

ブラッキン・カラウリアヘンリー(NTTコム)…扇状の攻撃陣形に加わり、右中間、左中間のスペースを突っ切る。後半14分には左タッチライン際を駆け上がり、相手タックルをハンドオフで制しながらパス。フッカー須藤拓輝のトライをアシストした。

14 ウイング

レメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ)…クボタに惜敗したゲームにあっては、ディグビー・イオアネとの両ウイングで多くのチャンスを演出。守っては前半22、27分頃と、いずれも自陣ゴールライン上での密集へ潜り込んでトライを防ぐ。ポジション不詳。

15 フルバック

羽野 一志(NTTコム)…カラウリアヘンリーと同様、右中間、左中間のスペースへ思い切って駆け込む。前半31分頃には、そのランで相手のハイタックルを誘う。最後尾でのキックを処理する際も、足腰の強さを示す。後半15分頃、飛んできたボールを踏ん張って捕球し、近鉄のフルバックである宮田一馬のタックルを耐える。ここでできた接点で、ほんのわずか、前に出る。宮田とともに駆け込んできた近鉄の選手は、前進した羽野の脇あたりへ頭を入れる。「接点への横入り」と見なされ、オフサイドの判定が下る。

<備考>

・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)

・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。

・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。

・次節以降の詳細などはこちら

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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