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ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ、始動間もなく「僕のせいです」?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
現役時代は日本のサニックスでもプレー。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表が、10月10日、東京・辰巳の森ラグビー練習場でジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ就任後初のトレーニングをおこなった。

今度の第1回合宿は11日までおこない、23日〜25日の第2回合宿に備える。ツアーの主将は未定。

現役時代は当時の規定によりニュージーランド代表、日本代表と2つのナショナルチームでキャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得したジョセフヘッドコーチは、昨季までニュージーランドのハイランダーズを指揮。今度のジャパンでもアタックコーチを務めるトニー・ブラウンアシスタントコーチとの二人三脚で、一昨季の国際リーグ・スーパーラグビーでは優勝を達成した。

日本代表は、昨秋のワールドカップで歴史的な3勝を挙げるなど国内での競技人気を一時的に過熱。2019年のワールドカップ日本大会を見据え、スーパーラグビーにも日本のサンウルブズが今年度、初参戦している。

人望の厚さに定評のあるジョセフヘッドコーチは、サンウルブズのフィロ・ティアティア新ヘッドコーチ(この日の練習にも訪れていた)とも密にコミュニケーションを図る。喫緊の課題とされる、日本協会とサンウルブズとの連関性強化にも期待がかかる。

日本代表は、11月には4つのテストマッチ(国同士の真剣勝負)をおこなう。5日に昨秋のワールドカップで4強だったアルゼンチン代表と激突(東京・秩父宮ラグビー場)。以後は欧州でジョージア代表、ウェールズ代表、フィジー代表と対戦する。

9日に開始した今回のキャンプの2日目には、採用する攻撃戦術の確認に時間が割かれた。グラウンドの右端から順に、左端に複数人によるユニットが4つほど作り、互いに声をかけ合いながら、相手防御網の隙を攻略しにかかるか。選手によっては前日に日本最高峰トップリーグの試合をおこなっていただけに、練習の強度は控えめだった。

今回選出された37人の候補メンバー中、16人がテストマッチ未経験者。リーチ マイケルや五郎丸歩ら一部の主力メンバーは体調などを鑑みて辞退し、茂野海人ら今季急成長を遂げた中堅選手数名は選外となっていた。

練習後の共同取材時、選手選考の考え方や売りとする攻撃への哲学を明かした。11月のテストマッチを前に、チェックされたい。

以下、一問一答(編集箇所あり)。

――日本代表を率いる高揚感はありますか。

「はい! きょうは50パーセントくらいの強度でやるつもりでしたが、80パーセントくらいになってしまった。(以下、日本語で)それは僕のせいです!」

――初日練習を終えて。

「アルゼンチン代表戦前の準備日数は限られていて、(ワールドカップイングランド大会のあった昨秋と比べれば)コーチ陣が入れ替わっている。今回のキャンプは、個々のメディカル面の確認、コーチ陣と選手との関係性を作るのが目的でした」

――攻撃の練習に時間を割いていたが。

「強豪国相手に、ポジティブにぶつかっていきたい。コーチ陣としては、アタックをしていこうと心掛けています。試合の50パーセントはディフェンスをしなければなりませんが、全てを5日間でカバーすることはできない。試合が近づけば、セットピース(スクラム、ラインアウトなど、プレーの起点)を重点的におこなうとは思います」

――その攻撃では、どんな要素が大事になりますか。

「しっかりと準備すること。選手それぞれが役割を認識すること。きょうは、それぞれのポジションの役割を明確にする練習をしました。これから、スキルももっと高めなければいけませんね」

――改めて、日本の選手に期待すること、磨いてほしいことは。

「それぞれがそれぞれの所属チームで、色んなコーチについています。代表活動と普段のチームでは、違うことがおこなわれる場合がある。選手にはその切り替えをうまくやってほしいと伝えています。新しく選出された15名も、我々の求めるスキルを持っていると思います。これから、十分、やっていけると思います」

――選考基準は。

「15人が新しく入ったということは、経験者が怪我などで抜けたということ」

――試合に出場するメンバーをどう選ぶか。

「その質問に答えるのは、早いですね! アルゼンチン代表は、強い。力でねじ伏せてこようとする。そんななか、セットピースは日本にとっての課題ですね。バックスへ速いボールを回せれば、いいプレーヤーが揃っています」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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