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日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチら会見。12日ジョージア代表戦。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
11月5日、アルゼンチン代表戦直前のジョセフヘッドコーチ。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表は、ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ就任後初の欧州遠征の只中。11月12日には当地トビリシ・ミルヘイキスタジアムで、ジョージア代表とぶつかる。

5日に東京・秩父宮ラグビー場で、現体制下の初戦に挑んだ。アルゼンチン代表に20―54と大敗。昨秋のワールドカップイングランド大会で4強入りした相手に、約1週間の準備でしつらえた防御組織を崩された。

10日、ジョージア代表戦に出場するメンバーを発表。ジョセフヘッドコーチ、共同キャプテンの堀江翔太、立川理道が会見した。指揮官はアルゼンチン代表戦から先発を6名入れ替えた背景などを、両キャプテンは現体制下での初勝利への思いを語った。

以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今回の先発メンバーの選考基準は。先発が大きく入れ替わっていますが。

ジョセフ

「あるケースでは、先週のパフォーマンスを称えた部分もあります。ただ、コーチの視点から新しいコンビネーションを観てみたいという部分もある。トップリーグ(直前までおこなわれた国内リーグ)で、かなり負担が大きかった選手もいます…。そうした1人ひとりの選手のバランスを見て、週末の試合でいい結果を残すことを考え、人選しました」

――「パフォーマンスを称えた」のは。

ジョセフ

「仲谷さん(聖史、左プロップ)は前回非常にいいパフォーマンスをしていたので、次のスターティングのチャンスを与えました。三上さん(正貴、イングランド大会組の左プロップ)も経験を活かしてくれる。このポジションではいい競争が起きています。

梶川さん(喬介、ロック)も、アルゼンチン代表戦で非常にいいパフォーマンスをしていました。オープンサイドフランカーでは、前回先発した三村(勇飛丸)も非常にいい働き。ただ、このポジションの専門家は2人いる。今回は布巻さん(峻介)を先発させます。布巻さんはブレイクダウン(接点)でのプレーが上手い。トップリーグでは、ボールに対するコンテストで目立っていた。タフ。低い姿勢で、フィジカルの戦いに耐えられる。よく考えてプレーできる。ジョージア代表は真っ向勝負で来る。彼が自分の強みを使って勝負できるシーンが、たくさんできると思います。

山路さん(泰生、右プロップのリザーブ)は、力量を観たい。赤ワインと一緒で、右プロップは熟成した方がいい(山路は31歳で今回初代表)。畠山さん(健介、今回のメンバー中最多のキャップ=テストマッチ出場数を誇る右プロップ)はサントリー(トップリーグ)でほとんどフル出場と、負担が大きくなっています。今回のツアーは(全部で)4試合ある。まずは山路がどれくらいスクラムを組めるかを観てみたい。

バックスでは、山田さん(章仁、ウイング。アルゼンチン代表で選出も今回はメンバー外)も非常に質の高いプレーをしてくれましたが、ウイングは層が厚い。色々と観てみたいという考えから、カーン(ヘスケス、ウイング)を先発にしました。

現状でベストなセレクションをしていきます。でないと、毎回(帯同する)32名を選ばなくてはならない。メンバー選考はいつも苦しいもの。月曜日(試合の翌週)に誰が外れたかを伝えなくてはならない。外れた選手にもちゃんとした価値観を与え、メンバーの23人がいい状態で試合に迎えるようサポートをしてもらう」

――アルゼンチン代表戦を終えて、次戦に向け。

堀江

「時差調整はうまいこと行っている。あとは個人個人でミーティングはしていると思う。それぞれの課題をクリアして、次の試合に進むんじゃないでしょうか」

立川

「アルゼンチン代表戦の全体的な反省もしました。ブレイクダウンのところと、ディフェンス組織が少し乱れた時にラインブレイクされたところ、そこは修正したい。あとは、堀江さんが言ったように個人個人の仕事を実行できるような準備もできているんじゃないかと思います」

――初勝利に向け。世界ランクではジョージア代表が11位で日本代表が12位ですが。

ジョセフ

「日本代表は、昨年の結果(イングランド大会で3勝)を受けていまのランキングにいる。我々は、まったく新しいチームです。新しいメンバーも多く、大きなチャレンジだと思います。ただ、先週よりいいパフォーマンスができる。この短い時間でも結束力を高め、キャプテンもしっかりとリードしています。1人ひとりが自分の役割を学んでくれています。きょうの練習が終われば、落とし込みは終わる。試合に向け、集中するだけです」

堀江

「勝ちに行きます。1人ひとりの役割も、この間の試合の時よりも明確になったと思う。1人ひとりが仕事を果たして、ね。僕はタイトファイブ(前列)なので、シンプルなところ(ぶつかり合い)でチャレンジできるように。新しいチームなので、チャレンジしてゆくところも大切にしたいですね」

立川

「ランキングもそうですし、力もそう大差はない。自分たちのいまの状況がわかる試合になると思います。このツアーで一緒にいる時間も増えて、1人ひとりのキャラクターもわかってきた。チームがひとつになっているので、結果を求めていきたいです」

――スクラムについて。長谷川慎スポットコーチのもと、8人が1本の槍になるような組み方を作り上げている途中ですが。

堀江

「よくはなっている。ただ、試合の後半になるにつれて、ついつい自分のチームのものになったりして。ラグビー全体についてもそうですけど、まだ(ジャパンの方式に)完全に慣れてはいない。皆にしっかりと『こういうスクラムを組むんだよ』と言えるよう、僕も勉強中です」

――ジョージア代表のバックスについて。

立川

「ディフェンスが献身的。センター陣もよくタックルする。そんなに簡単にラインブレイクできるとは思っていないですけど、上手く自分たちの形へ持って行けるように、キックも使いながらスマートにアタックしたいです。シンプルなところでも逃げずに、フィジカルに戦う。そのなかで、自分たちの形に持って行きたい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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