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日本代表、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制初勝利! 「準備と対策を実行」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
立川は、守備網の裏へ転がすキックでトライを演出(写真はアルゼンチン代表戦時)。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表が11月12日、ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ就任後初の白星を挙げた。この日は敵地トビリシ・ミルヘイキスタジアムで、ジョージア代表を28-22と制した。わずか6点リードで迎えたノーサイド直前も自陣ゴール前を攻めたてられたが、ナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィが相手をタッチラインの外へ押し出すなどし、辛くも逃げきった。

5日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれた現体制下の初戦では、昨秋のワールドカップイングランド大会で4強入りしたアルゼンチン代表に20―54と大敗。メンバー32名中17名が初代表で、本格始動は10月31日と、かねて選手招集や準備時間の短さが不安視されていた。

もっともこの日は「ワンチーム」を合言葉とするチームが、アウェイゲームを制した。スクラムやラインアウトモールで圧倒され、前半24分には好タックル連発の梶川喬介が10分間の一時退場処分を受ける。結局、8―12とビハインドを背負ってハーフタイムを迎えた。

ジャパンが流れを掴んだのは、後半から。まず4分、ウイングのレメキ ロマノ ラヴァが自陣ゴール前右で相手のパスをインターセプト。そのまま走り切って13―12と勝ち越した。

その後も力業による猛攻を許し、10分にナンバーエイトのベカ・ビツァーゼのトライなどで13―19と勝ち越され、17分にはフルバックのメラブ・クビリカシビリのペナルティーゴールで13―22とリードを広げられた。しかし19分、ハーフ線付近右のラインアウトから左右に揺さぶり、レメキがこの日2本目のトライを挙げる。

20―22と2点差に迫って迎えた23分には、テンポのよい攻撃から途中出場のウイング、福岡堅樹が左タッチライン際を駆け抜ける。25―22と再逆転に成功した。

終了間際の34分には、スタンドオフの田村優が激しいブーイングのなかでペナルティーゴールを決めた。アルゼンチン代表戦で破られた組織防御は、修正の兆しを覗かせた。

以下、試合後の公式会見でのジョセフヘッドコーチ、インサイドセンターの立川理道キャプテンの一問一答(編集箇所あり)。

――今日の感想は。ジョージア代表のミスがなくても勝てたと思いますか。

ジョセフ

「昨日の会見(11日にあった前日会見)も言いましたが、我々には2つの戦い方がある。スピードとスキルを活かす戦い方、キックも使ってボールをワイドに動かす戦い方です。

ジョージアは体格も大きくセットプレーが強く、キックも多用する。

そんな両チームの試合でしたが、接戦ではミスがある。ミスをチャンスにつなげることがテストマッチには必要。確かにジョージア代表にミスは多かったですが、我々は先週の試合からディフェンスの課題を修正。ジョージア代表にプレッシャーをかけて、ミスを誘ったという部分も多くあります」

――フォワードがプレッシャーを受けていましたが。

ジョセフ

「(接点などから)質のいいボールを出せれば勝てると思っていた。ただ、ジョージア代表は世界トップクラスのスクラムを持つ。そんな相手に、不必要なペナルティーで7人になってしまった時は、大変なプレッシャーを受けた。ただ、我々はこの試合に向けた準備と対策を練って来た。しっかりとした球が出たらトライが取れると思っていて、今回、それを実現できたと思います」

――ジョージア代表とは2012、14、15年と対戦経験があります。これまでと比べて、コンタクト局面での感触などに違いはあったか。

立川

「4回目ですけど大きな特徴のところは変わりなく、フォワードがフィジカルで来る…というのはわかっていました。前半は容易なペナルティーを与えてしまってペースが来なかったですけど、後半からは自分たちの形でボールを動き出して、相手のディフェンスがついてこれなくなった」

――途中出場の福岡選手を走らせていた印象ですが。

立川

「堅樹が入ってからハイボールも捕れるようになった。いいインパクトを示してくれた。特別、そこを使ったというわけではないですが、流れのなかで凄くい働きをしてくれたと思います」

――大観衆のなかでのプレーはどうでしたか。

立川

「毎回多くのファンの方が来てくれて、ブーイングも含めて歓声があった。自分たちとしては、アウェーでの戦い方に関していい経験になった」

――ディフェンスを修正したように映りますが。

立川

「1人ひとりの役割を少し確認して、そのなかで、その人のポジションに合った場所でディフェンスをするように心がけました。相手のアタックはラック(密集)周辺が多かったのですが、それぞれのポジションの選手が仕事をした。戦い方は(アルゼンチン代表戦とは)違いましたけど、1人ひとりが自分の役割を果たしたと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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