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帝京大学ラグビー部、対抗戦6連覇も「8」への思い強し。明治大学戦は反省。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
昨季の7連覇メンバー。後列左から2人目が現キャプテンの亀井。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

大学選手権7連覇中の帝京大学ラグビー部が、11月20日、所属する関東大学ラグビー対抗戦Aの6年連続優勝を決めた。東京・秩父宮ラグビー場で、明治大学との全勝対決を42―15で制した。

11月6日には秩父宮で早稲田大学を75―3と下していた帝京大学は、序盤から連携のミスでやや後手を踏んだ。終わってみれば地力の差を示したが、岩出雅之監督、亀井亮依キャプテンは消化不良の感を覗かせる。

12月3日には秩父宮で今季3勝3敗の筑波大とラストゲームをおこない、選手権に向けて仕切り直す。筑波大には前年度、17―20と敗れている(11月29日/東京・上柚木陸上競技場)。

以下、公式会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

岩出監督

「前節で早稲田大学さんといい試合ができたんですけど、そこからもう1個気持ちを入れて油断せずにやろうと、明治大学戦に臨みました。

お互い、ぶつかり合いで気持ちの入った試合になった。ただ、双方に甘いところがあるようにも感じました。対抗戦で優勝できたことは喜びながら今日の試合で出た課題を学生自身が見つけ、次、気持ちの出た試合で対抗戦を締めくくって、大学選手権へ行きたい。

ブレイクダウン(肉弾戦)はスキルアップをした方がいいこともあります。若い選手に経験を積ませたいけど、まだレギュラーメンバーとかみ合っていないところもある。総合的なところをしっかりと成長させながら、前進したいと思います」

亀井

「帝京大学といたしましては、明治大学の縦と横のアタックに、どんどんディフェンスから前に出ていこうとしました。ただ、ゲインも切られたところもありました。自分たちの軽いミスが相手にチャンスを与えてしまっていた部分が多くあって、自分たちのラグビーができない時間帯もあった。考え方、オプション…。多くの課題が見つかった試合だったと思います」

¬――快勝した次の試合。モチベーションの置き所が難しいなか、どんな準備とアプローチをされたのでしょうか。

岩出監督

「ブレイクダウンのところ、です。あとはボールの運び方。早稲田大学戦ではボールを横に動かしてスコアを取りました。ただ、今度は帝京の強さである縦の部分を忘れてしまうことのないように、と。いい試合をすると、そっち(成功体験)に頭が行くから、違うことやろう、と。その分、今日は精度の甘さが感じられました。取り急ぎしているところでのコミュニケーションミスがあって、それがハンドリングエラーにも繋がった。これはあくまで印象の話なので、改めて学生とビデオを観て、精度アップに努めたいです」

――多用されたオフロードパスについて。

岩出監督

「シーズンのなかで戦術をいじるところもありますが、縦のボールの動かし方として、それが(最近の)練習に入っていました。もう一度修正をして臨んだ。年間を通して、フォワードのハンドリングの良さを上げられるように、ディシジョンメイキングができるように…という練習はしています」

――改めて、目標は。

亀井

「今年のチームが決まった時点で、目標は日本一。大学選手権、日本選手権の日本一を掲げています。対抗戦は残り1戦ですが、目の前の1戦、1戦でいい準備をして臨むつもり。特に筑波大学には去年嫌な思いをした。それを経験したメンバーと一緒にチーム全体を引き締めて、いい準備をして臨みたい」

――対抗戦6連覇について。

岩出監督

「対抗戦で揉まれながら積み上げた成果。大切なものにしたいと思っています。ただ、学生は、8という数字に対してのこだわりの方があるんじゃないかと思います。今日の優勝の思いを大切にしながら、8を達成できる力をつけていきたい」

――ずっと変わらぬベースは。

岩出監督

「1年間、もしくは4年間を通して、学生が人間的な成長を目指している。卒業した先もラグビーで活躍できるように、また、ラグビーが終わったとしても次の世界で認めていただけるように…。そういう人としてのベースを大切にしているのが、大きな柱です。そのなかで未熟な下級生が上級生の姿を見て、成長していく、学んだことを受け継いでいく…。それが粘り強さ、タフさ、努力する姿勢、身体作りにも繋がっている…。それが我々の強みじゃないかと思います。

長いシーズンですから、勝たせていただくなかで油断がないわけじゃない。甘くなくても、常に思い切った状態を保っているかと言うと、どこかで隙がある。そのなかで我々指導者は、学生をフレッシュ、ハングリーな気持ちにさせることが大切だと思っています。

今年もキャプテンの誠実な姿でチームがまとまっているように見えますけど、彼らの若さゆえ、心の厳しさはそう簡単には持てない。目標を達成するため、相手に勝つwinだけじゃなく、自分に勝つwinを…win-winで行こうと話しています。特効薬は、ありません」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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