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来日4日目で日本デビュー! デービッド・ポーコック、社会活動の意味とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
スタンド下の取材エリアで問答に応じる。

ラグビーのオーストラリア代表として65キャップ(テストマッチ=国際間の真剣勝負への出場数)を持つデービッド・ポーコックが、12月10日、来日4日目ながら国内最高峰のトップリーグでデビュー。新加入したパナソニックのオープンサイドフランカーとして先発し、後半11分までプレーした(大阪・東大阪市花園ラグビー場)。

ポーコックはジンバブエ生まれの28歳で、2002年からオーストラリアへ移住。身長187センチ、体重115キロと国際級にあっては小柄も、肉弾戦で相手の持つボールへ絡むジャッカルというプレーで頭角を現してきた。

グラウンド外では同性愛者の権利拡大やフェアトレード(発展途上国との経済格差 解消のための公平貿易)の促進など、社会活動にも力を注ぐ。

11月は母国代表としてのツアーに参加。7日夜に初来日し、8日に初めてパナソニックの練習に出たばかりだった。そんななか元オーストラリア代表監督のロビー・ディーン監督は「デービッドにとってチームに慣れるために一番いいのは、試合に出ること」と来日4日目でのスターター起用を決定。当日、持ち前のジャッカルを連発したポーコックについて、「試合が始まれば、ただラグビーをするだけ。一流の賢い選手として、身体が勝手に動く」とも話した。

試合後、本人が談話を残した。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――初めてのトップリーグ。いかがでしたか。

「非常に楽しかったです。私たちフォワードがやるべきことをやって顔を上げたら、バックスが前を走ってトライを取ってくれている。理想的なラグビーです。チームメイトも、私のことを暖かく迎え入れてくれた」

――オーストラリア時代との違いは。

「(笑いながら)ラインアウトのサインを日本語で覚えなくてはいけないことが、一番の違いです。基本的なストラクチャー(攻防の原則)は変わらないので、あとはチームメイトの名前を覚えていきながら、自分のプレーを良くしていきたいです。何人かの顔と名前を覚えました。あと何日か、時間をください。そうしたら、全員、覚えます!」

――短い準備期間で試合を迎えた。

「感じは、よかったです。私の練習量もコントロールしてくれていた。一番いいのは、実際に試合でプレーをして慣れることだと思っていました」

――前半11分、自陣ゴール前で効果的なターンオーバーを奪いました。

「気持ちよかったです。誰かが相手をロータックルで倒してくれて、その上に(ジャッカルに入る)スペースがあったので、入らせてもらいました」

――その前も、ジャッカル、狙っていましたね。

「何度か、狙った場面がありました。ただ、そこではホンダの選手がスペースを埋めてきたので、入りませんでした」

――日本のスタンドの雰囲気は。

「お客さんの声は届いていました。試合後、応援に来てくれたファンの皆さんにサインをすることは特別な文化。いいことだと思いました」

――ホンダではヒュー・マクメニマン選手など、オーストラリア出身者がプレーしていました。

「彼らとは試合中、肩をぶつけ合うなど、身体で会話をしていた部分があります!」

――パナソニックで成し遂げたいことは。

「いいパフォーマンスでチームに貢献したい。また、このチームには若くて優秀なフランカーがいる。そういう人たちと一緒に学びながら、一緒に成長していければ」

――来季、国際リーグのスーパーラグビーは休息されます。

「来年は少し休んでから、このチームに戻ってくる。フレッシュな状態になっていると思います」

――グラウンド外での社会貢献活動について。アスリートが意見を発信することの意義をどうお考えですか。

「自分がトップアスリートであるのは、周りのおかげでもある。そうした方に対して何かしらの貢献をしたいと思っています。私はジンバブエで生まれ育って、当時あった土地分配計画に伴いオーストラリアへ渡りました。一緒の国の人から離れることへ罪悪感のようなものを持ったなか、プロラグビー選手となった。その後、2008、09年あたりから、お返しできることはないかと思い始めました。人によっては、競技活動に専念すべきだという人もいる。ただ自分としては色々は、意見を発信していきたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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