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次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第11節)【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
稲垣、復調の予感(写真は昨年時)。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグ第11節(12月10日~12月11日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。

昨秋のワールドカップなどで何となく勝手を知った方向けにまとめております。もしわからない箇所がありましたら、「まぁ、要は、そういう感じなのね」と読み飛ばしていただいてかまいません。きっと、実際の観戦時に照らし合わせられることと存じます。

トップリーグの第11節は12月17、18日、各地でおこなわれます。詳細はこちらをご確認ください。

1 左プロップ

稲垣啓太(パナソニック)…ホンダを相手にスクラムトライを奪うだけでなく、タックルしては起き上がって守備列を埋めるという本来の持ち味も発揮。山本幸輝(ヤマハ)はNEC戦序盤のスクラムを制圧し、快勝劇の流れを作った。

2 フッカー

青木佑輔(サントリー)…コカ・コーラ戦のスクラムを制圧。日野剛志(ヤマハ)もNEC戦のスクラムを制し、タッチライン際で球をもらっては自慢の快足を披露する。

3 右プロップ

畠山健介(サントリー)…フッカーの青木佑輔のコントロールも奏功してか、スクラムは圧倒。密集戦へ手をかける運動量も魅力。

4 ロック

ヴィリー・ブリッツ(NTTコム)…失点直後のキックオフなど、チームが辛い場面で渋い好プレーを連発した。ジョー・ウィーラー(サントリー)も「画面のなかに出現する割合」が高い。

5 ロック

真壁伸弥(サントリー)…壁にぶち当たる突進で、相手守備を巻き込む。グラント・ハッティング(クボタ)もラインアウトでのボール確保と肉弾戦での激しさで目立った。

6 ブラインドサイドフランカー

ピーター・ラピース・ラブスカフニ(クボタ)…リコーとは接戦を演じた。終盤になるほどランナー、サポート役として顔を出すようになる。ヘル ウヴェ(ヤマハ)は突進役、スクラムの後衛というクラブの歯車役を全う。途中出場選手のなかでは、このヘルらヤマハに屈した村田毅(NEC)が魅せる。どんどんボールをもらってエネルギーを発露。

7 オープンサイドフランカー

デービッド・ポーコック(パナソニック)…来日4日目でボールハンターとしての才能を発揮。わずか5点リードの前半13分頃には自陣ゴール前でターンオーバーを決めるジャッカル(ランナーの球を奪うプレー)を決める。その直後は自陣中盤で、相手の反則を誘う防御。29―0とリードして迎えた後半初頭も、自陣ゴール前左中間で倒れ込む相手の球へ、長い腕を伸ばす。反則を誘い、ピンチを脱した。

8 ナンバーエイト

ツイ ヘンドリック(サントリー)…フランカーとして出場し、縦への推進力示す。

9 スクラムハーフ

アンドリュー・エリス(神戸製鋼)…密集戦から球を拾い上げ、目の前の選手を引きつけながらパス。そんな基本的動作を一貫した。前半30分には、敵陣深い位置での防御から攻守逆転。攻撃に転じた先で、スコアを20-3とする追加点を奪った。吉沢文洋(ヤマハ)も軽快なさばきと密集戦でのオーバー(敵陣深い位置で相手を掃除すると、その背後で味方がトライ)で魅せる。

10 スタンドオフ

サム・グリーン(豊田自動織機)大田尾竜彦(ヤマハ)小野晃征(サントリー)がチーム戦術に基づき球を縦、横へ配球。快勝劇を演出していた。山沢拓也(パナソニック)も相手守備の前衛と後衛の間にキックを通して自らトライを決めるなど、視線の鋭さを発揮した。そんななか降格争いを強いられているグリーンは、凸凹な防御の裏にキックを通すなどしスコアを演出。キックチャージから自らトライを奪うなどし、6位だったNTTコムを制した。

11 ウイング

福岡堅樹(パナソニック)…トライを取るのが仕事というポジションで、6トライ。抜け出した味方への反応、パス(キックパス)を呼び込んでインゴールへ駆けるコミュニケーション力と瞬発力が光った。いを具現化。

12 インサイドセンター

立川理道(クボタ)…リコー戦終盤、防御網の整備が遅れたと見るや中盤から敵陣深い位置まで一気に前進。ノーサイド直前には、タックルの波を乗り越えて「サヨナラトライ」を決めた。ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)は安定の突破役。スティーブン・ドナルド(サントリー)も「立ったままボールを繋ぐ意識」で攻撃を円滑化している。

13 アウトサイドセンター

リチャード・バックマン(パナソニック)…密集脇の防御の死角へ飛び込み、トライを奪ったり。目の前に守備列が揃っているところで球をもらいながら、その右側のスペースを見つけて切り裂いたり。パスをもらう前の動きとパスをもらった後の冷静さで確実にゲインラインを切った。

14 ウイング

中つる隆彰(サントリー)…思い切りのよい仕掛けで目下トライラインキング1位。

15 フルバック

近藤英人(クボタ)…パスコースへ角度をつけて走り込むなどし、トライを奪取。アンドレ・テイラー(近鉄)も防御網をえぐるスキルで一時同点となるトライを決めた。

<備考>

・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)

・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。

・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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