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京都産業大学・元木由記雄ヘッドコーチ、明治大学戦勝利の涙を語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真左が元木氏。京都産業大学OBの大畑大介氏(右)とともに神戸製鋼でも活躍。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

現役時代は日本代表として歴代3位の79キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得した元木由記雄・京都産業大学ヘッドコーチが、12月17日、東京・秩父宮ラグビー場での大学選手権準々決勝に挑戦。東海大学に12―71と屈した。

11日、大阪・東大阪市花園ラグビー場の3回戦では、自身の母校である明治大学に26―22で勝利した。チームとしては、大学日本一12回の古豪から大会初の白星を奪った格好。元木ヘッドコーチは、大西健監督とともにうれし泣きしていた。

この日も関東大学リーグ戦1位の強豪校を相手に、鋭いタックルや鍛え上げたスクラムやモールなどで対抗を図った。しかし、個々のフィジカリティに勝る昨年の準優勝チームに、終始、後手を踏んだ。

京都産業大学は今季、関西大学Aリーグ3位のチームとして選手権に登場。明治大学と東海大学が梶村祐介、テビタ・タタフといった代表経験者をそれぞれ擁するのに対し、チャレンジャーの立ち位置から頂点を見据えていた。

試合後、元木ヘッドコーチがチームへの思いやあの日のうれし涙のわけを明かした。現職への強い思い入れがにじむ。

以下、一問一答(単独取材による)。

――まずは感激の明治大学戦を終え、中5日で東海大学戦に臨まれました。

「東海大学はセットプレー(スクラムなどプレーの起点)が強かったので、(そこへの対抗を)しっかりとやった。アタックをすれば…と思っていたのですが、きょうはそのアタックをする時間が少なかったですね」

――攻撃の起点であるスクラムで、日本代表経験者の右プロップ渡邉隆之副キャプテンらに押し込まれました。

「相当、やられたと思います。(空中戦の)ラインアウトもほとんど取れず、こちらの強みを断たれた格好でした」

――守ってはいいタックルを重ねましたが、東海大学は負けずにボールをキープしました。

「コンタクトエリアは、やはり強かったです。その辺の差はあるな、と感じました」

――遡って、明治大学戦は自信を持って臨んでいたのでしょうか。

「攻めるところ(スペース)も色々とあって、行けるんじゃないかという感じはありました。ただ、明治大学戦ではセットプレーで優位に立てた(のが大きかった)。本当はセットが苦しい時(のため)に違うもの(オプション)を持っておきたかったんですが、そこまでは…行けませんでした」

――それにしても、明治大学戦勝利の直後は大変に喜ばれているようでした。

「入学してきた時には『大丈夫か』と思わせたような選手が努力をして、明治大学に勝つ。そのことが素晴らしいと思いました。(母校に)勝ったのが嬉しいという思いもありますが、(一番嬉しかったことは)違うんです。コイツら(選手)の頑張っている姿を観られたのが、嬉しいんです。力をつけた。成長した。そこにジーンと来ます」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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