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サンウルブズ初日。立川理道キャプテンがなくしたい「ギャップ」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表での共同キャプテンも務める。(写真:アフロ)

国際リーグであるスーパーラグビーのサンウルブズが2月1日、発足2シーズン目最初の練習を都内でおこなった。終了後は新キャプテンの立川理道が取材に応じ、意気込みを明かした。

日本代表選手やその候補が集まるサンウルブズは、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表との連関性が求められている。昨秋のツアーで堀江翔太とともに共同キャプテンを務めた立川も、その点に触れる。

この日のトレーニングは見学していたが、2月25日の開幕後はインサイドセンターとしての攻撃組織のリード、攻防の最前線での献身が期待される。

話題は、キャプテンを任された経緯や立川なりのリーダーシップについての考えにも及んだ。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――初日を迎えた印象はいかがですか。

「初めて顔合わせをしたスタッフ、選手もいました。午前中はミーティングが多く、午後、ここで実戦として動いたというところ…。いいスタートが切れたと思います」

――サンウルブズは発足2年目です。

「去年よりも代表との関わりは深いと思います。きょうもジェイミーがいたなか(練習を視察)、選手はそこへのアピールをできる。選手はその位置づけを感じて、意識を持って、うまくやっていきたいです」

――練習後の選手の様子はどう感じましたか。この日は序盤に持久力テストをおこない、戦術を確認。最後はレクリエーション要素の強いゲームをしました。

「しんどい部分と楽しい部分を織り交ぜないと、チームは速く1つにはならない。きょう、ゲームをした感じでも、一緒になって皆で喜び合って、1つのチームになっている感じはある。そこは、スタッフも考えてくれていると思います。速く1つのチームになって、トップリーグ選抜との試合(2月18日、北九州でおこなわれる壮行試合)に臨みたいです」

――ご自身はこの日、練習に参加をしませんでしたが。

「うまくコントロールしながらやっていくというところ。日本選手権決勝(1月29日、東京の秩父宮ラグビー場)に出た選手(サントリーとパナソニックの選手)も練習外でした。選手、スタッフとは上手くコミュニケーションを取りながらやっていきたいです」

――初日のミーティングではどんな話を。

「ポジションごとに3つのグループに分かれて、スキルセットを確認した。11月(2016年秋の日本代表ツアー)と似たような形になるとは思うので、そこを経験した選手がしっかりリードしたいです」

――具体的に目指すラグビーは。

「スマートにやる。1人ひとりの役割は明確に出ているので、それをしっかりとやる。相手を疲れさせてアタックしていくことは、11月にも結果として出ているので、そこを突き詰めたいと思います」

具体的なラグビースタイルについては、ジョセフ体制下のジャパンのものがベースとなる。ジョセフヘッドコーチはトニー・ブラウンアタックコーチとの二人三脚で、「ポッド」と呼ばれるシステムをインストールしてきた。

「ポッド」とはグラウンドの中央、左右に複数のユニット(選手の束)を配置する、攻撃中のシステム。運用次第では、空いたスペースを効率的に攻略できる。選手の並び方はチームによってまちまちだが、サンウルブズは現日本代表と同様の配列となる見込みが高い。

ここでの立川が言う「1人ひとりの役割」とは、このチームにおける「ポッド」の各選手の立ち位置、その地点で個々がすべきプレーを指すか。

「相手を疲れさせてアタックしていくことは、11月にも結果として出ている」とは、欧州6強の一角であるウェールズ代表に30―33と肉薄した時などの戦いざまを示していよう。試合序盤はキックで相手防御を後退させながら、時間を追うごとに左右へパスを回すテンポをより向上。得点に繋げていた。

――サンウルブズの新キャプテンになった経緯を教えてください。

「タイミングは…記者会見(12月のスコッド発表会見)の頃ですね。その日、本当は参加するつもりだったのですが、諸事情で行けなくて。そのタイミングでフィロ(・ティアティアヘッドコーチ、サンウルブズを指揮)から連絡をもらって『カーキーとやる』という話もそこで(聞いた)」

――これから、チームをどうリードしたいですか。

「今回はスコッドの人数が多い(昨季の開幕前より10人多い50人が登録)のですが、1つのチームになるのに時間をかけたくない。そこで、2人でやっていくのが大事になる。カーキーはコミュニケーションを取るのが上手いので、外国人選手と日本人選手の間を繋いでくれます。僕もベテラン選手、若手選手の間を取り持って、速く1つのチームにしたいと思います。ここ(開幕前)は皆で動ける時間なので、ツアーに行くメンバー、行かないメンバーによってなどのギャップを少なくするためにも、1人ひとりの居場所が明確になるようにしていきたいです」

――カークキャプテンとの役割分担は。

「役割分担というよりは、お互いが素直に意見を言い合うことをしていこう、と。キャプテンだから皆より立場が上という感覚ではなく、スタッフと選手の間を取り持ちながら、選手とはフラットな目線で対応しながら、フィロが言うような手本になるような行動をしていきたいです」

――ティアティアヘッドコーチからは何と。

「皆のお手本になるように、と。そこを評価してもらっていると思うので、引き続きそうしていきたいと思っています。キャプテンは、自分の成長にも繋がると思っています」

ティアティアヘッドコーチは、立川とカークを「素晴らしい人間性を備えている。いい選手でもある。キャプテンだから何かを変える必要はない」と太鼓判を押す。東京合宿は3日までおこなわれ、以後は福岡、北九州でキャンプがある。他選手との「フラットな目線」を意識する船頭役に、注目が集まる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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