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サンウルブズ・立川理道キャプテン、山田章仁を「北九州のスター」と実感?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
昨年はサンウルブズでプレーした山田。写真は古巣ウェスタン・フォース戦との試合。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは2月18日、トップリーグ選抜との壮行試合をおこない24―12で勝利。25日の開幕節(東京・秩父宮ラグビー場)では、昨季王者のハリケーンズと戦う。

試合は最初のトライをトップリーグ選抜のウイングの山田章仁キャプテンが奪うなど(前半17分、3―5)、競った展開となる。

サンウルブズは前半30分、自陣10メートル線右のラインアウトから左右にボールを散らして前進し、最後はインサイドセンターのティモシー・ラファエレがインゴールを割る(10―12)。

34分にはサンウルブズのウイングの中鶴隆彰が快走したなか、山田がゴールエリアでトライを防ぐ。もっとも続く35分の敵陣ゴール前中央のスクラムで、サンウルブズのフォワード陣が結束。押し込んだ先でスクラムハーフの茂野海人が球を持ち出し、その左にいたナンバーエイトのエドワード・カークキャプテンが止めを刺した(17―12)。

後半は肉弾戦でのコンテスト、ロングキックが試合を引き締め、しばし膠着状態に。おトップリーグ選抜はウイングのカーン・ヘスケス、フルバックのジェイミー・ジェリー・タウランギが鋭いランを披露し、途中出場したスクラムハーフの流大はペナルティーキックからの速攻でフィールドをかき回す。帝京大学4年でスタンドオフの松田力也も、空いたスペースへパスやキックを配すなど落ち着いてプレーした。

試合が動いたのは後半35分。敵陣ゴール前で自軍ボールを確保すると、同20分から出場していた田中が引っ張り密集戦を連取する。最後はラックの脇にどんどんランナーを走らせ、田中が自ら止めを刺した(24-12)。

試合後は両軍の指揮官とキャプテンが会見に応じた。

以下、会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

トップリーグ選抜、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(日本代表ヘッドコーチ)

「両チームともいいアタッキングラグビーを展開した。テンポを速くボールを動かし、これからのサンウルブズに必要な高いインテンシティでの試合ができた。オールスターのメンバーには誇りに思います。これだけ短い準備期間でここまでの試合を見せてくれた。フォワードの半分はサンウルブズの選手ですが、彼らもティアティアにアピールしようと力量を示していました。ただ、最終的にはサンウルブズが上回っていた。ネガティブな面も出ました。それは怪我です。サンウルブズも3~4名、深刻そうな状態で退いた選手がいました」

トップリーグ選抜、山田章仁キャプテン(日本代表、北九州市出身)

「みなさん、ようこそ北九州へ! …私、キャプテンキャラではないのですが、今回、ジェイミーにキャプテンを任命していただいて感謝しております。北九州でこのような素晴らしい試合をすることができてうれしく思いますし、トップリーグ選抜のメンバーにもサンウルブズや日本代表にアピールする選手がたくさんいて、皆でいい試合ができたと思います。サンウルブズはこれから厳しいシーズンに入りますが、去年も頑張っていた。このゲームを機に素晴らしいシーズンを過ごして欲しいと思います」

サンウルブズ、フィロ・ティアティアヘッドコーチ

「短い準備期間のなかでしたが、きょうの結果はよかった。トップリーグ選抜素晴らしいプレーを見せてくれた。素晴らしいスタジアムで試合できたことを光栄に思います。地元の方々のサポートを感じました。両チームともボールを動かし、スピードのあるラグビーができた。サンウルブズにとって学びのある試合になったと思います。怪我はネガティブな要素です。来週に向け、様子を観ていきたい。

まだ、サンウルブズが集まって15日目。いまはたくさんの情報を選手に与えながら、2017年のサンウルブズがどう戦うのかを落とし込んでいる段階です。そのなかでのきょうの結果には、満足。また来週に向かっていく」

サンウルブズ、エドワード・カーク共同キャプテン

「サンウルブズからトップリーグ選抜側へ行った選手もいて、ジェイミーとアキ(山田)の率いるチームが本当にいい試合を見せてくれた。本当にハイペースな、お互いに学びのある試合になった。怪我人が出たのは残念でしたが、来週の試合を心待ちにしています。北九州ではいい思い出を作れましたが、東京に戻れるのも楽しみです」

サンウルブズ、立川理道共同キャプテン

「トップリーグ選抜の方には、オフシーズンにもかかわらず集まっていただいて感謝しています。ゲームはチャレンジし合った結果。自分たちが15日間やってきたものを出せたので、ハリケーンズ戦に向けていい1週間を過ごしたいと思います」

――この日の収穫と課題は。次の1週間はどう過ごすか。

ティアティア

「ラインアウトのプレッシャーがかかってしまったので、セットピースの安定をさせたい。タックルのエラーも生まれた。アタックのエラーも減らしたい。基本的なシェイプ(攻撃陣形)などは仕上がっているので、細かいところを修正して来週に取り組んでいきたい」

立川

「何個かミスはあったんですけど、全体的にはよかった。こちらのミスを処理するところは、ニュージーランドカンファレンスのチームは得意だと思う。トランジションの部分(自軍ミスの直後など、攻守逆転の場面)は修正してきたいです。リアクションを速くしてアタックする、自分たちの強みを出していきたい」

カーク

「オールスターが多くのプレッシャーをかけたなか、こちらのゲームプランをやり遂げられた。毎週、ゲームのいいところや悪いところをレビューしますが、きょうはディフェンスをより向上しなければいけないという課題が見つかった。修正して挑みたい。とはいえ、きょうはこのスコッドで初めて戦ったなかにしては、いい試合ができたとは思っています。オールスター側のサンウルブズの選手もいいプレーをしてくれた。またいい準備をしていきたいです」

――このスタジアムで最初のトライを決めた感想。

山田

「トライは皆のトライ。北九州スタジアムを初めて使わせてもらって、ラグビーで得点をできた。市民としても嬉しく思っています」

――中鶴とのマッチアップ。例えば前半36分にはトライセーブタックルを決めた。

「中鶴選手はトップリーグで活躍していたので、きょうは(マッチアップで)緊張しましたけど、スーパーラグビーで大活躍できると信じています。皆が上手くディフェンスをしてくれた。止めたかったですね」

――スクラムハーフ、スタンドオフの選手の出来やコンビネーションについて。

ティアティア

「きょうはスクラムハーフの茂野海人とスタンドオフのクリップシー(ヘイデン・クリップス)がどんなプレーを見せてくれるかを楽しみにしていました。ボールをスペースに運び、よくプレーしてくれた。トップリーグ選抜側では、スクラムハーフの内田啓太とスタンドオフの田村煕という2人のコンビも見られた。後半に出たフミ(田中)は素晴らしいプレーとリーダーシップを見せてくれた。これからを考えていきたい」

――全体を観て、日本代表に新戦力となりそうな選手は。

ジョセフ

「まずサンウルブズにとっては、日本代表ヘッドコーチの自分が率いるチームと戦うのはアンフェアだったと思います。選手の特徴、チームのやるべきことをわかっていたので。きょうはサンウルブズの強化のためにプレッシャーをかけようとしていましたが、そこはうまくできた。

まだこのプレシーズンが始まったばかり。多くの選手がトップリーグを終えたばかり。そんななか、個別に名前を挙げて評価をしたりするのはフェアじゃない。いいプレーをしていた選手はいましたが、まず全体を捉え、見極めていきたい。

そして、トップリーグオールスターがプレッシャーをかけていたとあったが、後半中盤、フミとハル(立川)が出たことでサンウルブズに落ち着きが出た。2人のリーダーシップが、これからのサンウルブズに求められるところです。接戦で彼らが入って、チームがまとまった。ティアティアが色んなコンビネーションを観たいということで今度のような選手選出になったが、来週ベストメンバーが揃えば、いい結果、いいパフォーマンスが出ると信じています」

――新スタジアムの印象は。

山田

「ピッチとお客さんとの間が近くて、サポートをダイレクトに受けられる。お互いがいいプレーをした時は盛り上がりましたし、暖かいお客さんがいてよかったと思います」

カーク

「このような新しいスタジアムでプレーできて光栄に思います。周りでは海が見えたり、山が見えたり…。ハードでベストなプレーを見せられた。日本のファンの方は握手やプレゼントなど、オーストラリアとは違った形でアプローチをしてくれる。日本のファンのために向上してきたいです」

立川

「リザーブだったのでよくわかったのですが、山田さんが何かをするたびにお客さんが沸いていた。北九州のスターなんだな、と感じました。来週からはサンウルブズの応援をしてくれると信じていますし、身体を張って日本ラグビーを見せていきたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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