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初の海外は日本のヘイデン・クリップス、ほろ苦いデビューを振り返る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ハンドリングスキルと積極性が持ち味。(写真:ロイター/アフロ)

国際リーグであるスーパーラグビーへ日本から参戦して2シーズン目のサンウルブズは、3月4日、シンガポール・ナショナルスタジアムで第2節をおこない、キングズに23-37で敗戦。開幕2連敗となった。

序盤から球を縦、横に動かしながらスペースをえぐったサンウルブズだが、攻め込んだ先でのエラーや攻守逆転に泣いた。

司令塔は、ヘイデン・クリップスが務めた。身長177センチ、体重82キロの26歳はこの日がスーパーラグビーデビュー戦で、ゲームプランに沿ってロングパスや防御の裏へのキックを繰り出していた。

もっともチームは前年度の最下位争いをした者同士のカードで惜敗し、自身もペナルティーゴールを含め7本中4本のゴールキックを外すなど、初陣はほろ苦いものとなった。

初めてプレーした海外が日本という26歳は来日3年目。他国代表経験がないため、居住丸3年を迎える今年5月以降は日本代表への選出資格を得る。

6月にアイルランド代表などと戦うナショナルチームへ加わるには、このサンウルブズでのハイパフォーマンスこそが求められている。この日をどう振り返り、次に向かってゆくか。当の本人が語った。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――デビュー戦は悔しい内容でした。

「振り返って、イージーなミスが多かったと思います。それが最終的に我々の敗因となった。逆に、キングズはいい試合をしていたのかなという印象でした」

――この日のサンウルブズのゲームプランは。

「キングズはそこまでフィジカルが強くないだろう、と、どんどんボールを散らすというもの。ただ、そこでエラーが続いてチャンスを作り切れなかった」

――試合会場は高温湿気。ボールは滑りやすかったでしょうか。

「両チームとも、こういう環境でプレーしています。ミスばかりしていてはいけません」

――大外へ振った際にランナーが孤立し、攻守逆転を喫する場面もあった。どう修正していきたいでしょうか。

「仰る通り、アウトサイドに限らずターンオーバーをされる回数は多かったです。(接点周辺に)人がいるところでもクリアにボールを出せなかったところもありました。そういった点も含め、改善しなくてはいけないと思います」

――プレースキックについては。

「いい日も悪い日もあるというのがラグビーですが、きょうはあまりよくなかった。この湿気のなか、何となく身体が疲れている部分もあったと思います。ただ、そんな言い訳はできない。改善していきたいです」

過去3シーズンは東京ガスの一員として、下部リーグのトップイーストに在籍。国際レベルのプレッシャーのかかるゲームはこの日が初と言ってもいい状態だった。経験値を積むことでプレーの精度を高められるか否かは、以後の数試合で明らかとなる。

「チャンスがあれば、ジャパンでプレーしたい。ただ、それは今季のサンウルブズで自分がどうプレーするかにかかっている」

サンウルブズは直後、南アフリカへ渡る。次戦は12日、ブルームフォンテイン・フリーステートスタジアムでチーターズとぶつかる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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