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日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、突然のオフを決める「さじ加減」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

3月15日の昼頃、東京・辰巳の森海浜公園ラグビー練習場。グラウンド脇のミーティングルームから選手たちの絶叫が聞こえた。しばらくすると、部屋から出てきた日本代表の山田章仁が「休みになりました!」と外で待つファンや報道陣に報告。予定されていた午後の練習が、急きょ取りやめになったのだという。

この日は、代表チームを底上げするためのナショナルデベロップメントスコッド(NDS)の第2回キャンプが3日目を迎えていた。陣頭指揮を執る日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチが、参加する選手たちの顔つきなどを見てスケジュールを変更したようだ。

その甲斐あってか、翌日は強度の高いセッションが繰り広げられた。すべてを終えると指揮官が共同取材に応じ、突然のオフの背景を明かした。いったいいつ、なぜ、どのようにサプライズを敢行したのだろうか。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――きょうの練習は強度が高まっているようでした。

「こういったトレーニングを週に1度、やっています。午前は低い強度でテクニックやタクティクスを。午後は、午前にやったことを実戦形式で試している。コンタクトをやりすぎると怪我につながりますが、やらなすぎても強化にならない。ですので、こういう形でやっています」

――きのうは、オフを。

「崖のぎりぎりのところまで行って…と。突き落したら、いけない。まぁ、いろいろなことを試しています。プレッシャー下でのスキルレベルを試したり、しんどい時のどう対応するか、辛い時に誰がやり続けるのかなど、しっかりと見ています」

――そのオフ、どのタイミングで決めたのですか。

「きのうの午前練習後です」

――まさに即興。

「コーチ歴も長いので、その辺は見極めています。直感で決めています」

――皆、すごく喜んでいました。

「そうすると、きょうのようにハードにやってくれます。選手はハードワークしてますし、自己管理もしています。そんななかこちらのさじ加減を見せたら、このようなリターンがあるのです」

――翌週は。

「レベルを上げるだけです」

日本代表は6月、欧州6強の一角であるアイルランド代表とホームでぶつかる。その時期、相手の主力組はブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズの遠征でニュージーランドへ赴く予定。今後も、結果を得るための「さじ加減」に注目が集まる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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