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今からでも間に合う!40万円でブラジルワールドカップへ行く方法とは?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
日本対ギリシャが行われるナタールのアレーナ・ダス・ドゥーナス

ブラジルワールドカップ(以下W杯)開幕まで残り1カ月を切った。日本代表の23人のメンバーも発表され、テレビでもW杯特番が組まれるようになった。本屋にもW杯特設コーナーが大々的に並ぶようになり、世間は一気にW杯本番モードに突入した格好だ。

そんな盛り上がりの中、「折角だしブラジルに行ってみようかな?」と今更ながらに思ったそこの貴方!このコラムでは、今からでも間に合うW杯観戦旅の手配方法を伝授する。長文となるが、是非参考にしてほしい。

手っ取り早いのは旅行代理店が主催する観戦ツアーに申し込む方法だが、1試合観戦でも軒並み60万円台の価格が並んでいる。一般庶民にはさすがに手を出しづらい価格帯だ(詳細は前回のコラムを参照)。そんな高額な旅費は出せないという方に、1試合観戦で40万円で個人手配するモデルケースをこれから説明しよう。

日本代表3試合のうち、どの試合がベストなのか?

まず、日本代表の試合日程をおさらいする(全て現地時間の表示)。

  • 6月14日22時 対コートジボワール戦@レシフェ
  • 6月19日19時 対ギリシャ戦@ナタール
  • 6月24日16時 対コロンビア戦@クイアバ

レシフェはブラジル屈指の治安の悪さで有名である。代理店ツアーによっては、犯罪発生率の高いレシフェでの宿泊を避けるために、レシフェの北300kmに位置するナタールに拠点を置き、そこから長距離バスで往復する旅程を組んでいるところもあるくらいだ。

またコロンビア戦が開催されるクイアバは、W杯の試合が開催される12都市の中で最もホテルの数が少ない。既に6月24日の宿泊予約は一杯で、これから手配するのは困難を極める。加えて黄熱病感染エリアでもあり、事前の予防接種が推奨される。

よって、1試合観戦でブラジル入りするならば、消去法で6月19日にナタールで開催される日本対ギリシャがお勧めだ。一年中温暖な気候のビーチリゾートであり、ブラジル国内では比較的治安の良い都市だ(ただし、あくまでも国内での比較であって、日本と比べると断然治安が悪いことを肝に銘じておこう)。

ここからは、ナタールのギリシャ戦を1試合観戦する4泊8日の個人手配旅行に的を絞って解説する。

観戦チケットはまだ買えるのか?

「今更観戦チケットを買おうとしても売り切れているのでは?」と心配する人がいるかもしれないが、安心してほしい。日本の3試合は第3戦のコロンビア戦を除き、5月15日現在まだチケットが余っている。詳細はFIFAの販売サイト(英語)を参考にしてほしい。

今後、万が一売り切れたとしても、既に日本戦チケットを多めに手配して余らせている日本代表サポーターが多くいる。Facebookの承認制コミュニティ「ブラジルW杯現地参戦組」(5月15日時点の参加者は1,500人)の中でチケット譲渡トピックが立ち上がっており、そこでは多数の「譲ります」コメントがあるので、買いたい人はそのトピックを参照してほしい。

航空券の手配はまだ間に合うのか?

開幕まで1カ月を切った今、既に航空券の価格も高騰しているのでは?と不安に思う人もいるだろう。一部の路線を除き、まだまだ低価格な航空券が買える状態だ。

まず前提条件を説明すると、日本からブラジルへの直行便はない。ブラジルの空の玄関口、サンパウロまででも片道最低25時間、乗継がうまくいかない路線だと40時間前後かかる場合もある。また、ナタールへはサンパウロから更に約3時間かけて飛行機で移動する必要がある。

航空券価格比較サイト、スカイスキャナーで検索すると、5月15日現在、大韓航空が東京⇔サンパウロの往復便をサーチャージ込で18万円台で出している。片道の所有時間も30時間台の前半で収めている組合せがあり、かなりリーズナブルだ。

サンパウロ⇔ナタールの路線は日付によってはかなり高騰している。試合日の翌日6月20日のナタール→サンパウロはほぼ売切れ状態のため、6月21日の未明にサンパウロに移動し、6月21日午後にサンパウロを発つスケジュールが妥当だろう。

ここで仮に6月16日出国、6月23日帰国の4泊8日で旅程を組んでみた。下記表を参照してほしい。

4泊8日ギリシャ戦@ナタール観戦の旅程
4泊8日ギリシャ戦@ナタール観戦の旅程

5月15日現在のスカイスキャナーによる検索結果によると、東京⇔サンパウロが大韓航空で183,770円、サンパウロ→ナタールがTAM航空で37,636円、ナタール→サンパウロがGOL航空で26,764円。合計すると248,170円となる。25万円以内で収めることができる価格はほぼ最安値と言っていいだろう。ただし、これはあくまで5月15日に筆者が調べた段階での価格だという点に注意して頂きたい。今後、開幕が近づけば近づくほど価格は上がっていくことは確実なため、ブラジル行きを決断した方は早め早めの手配を心掛けたい。

空いているホテルはまだあるのか?

前述したクイアバは例外としてサンパウロやナタールはホテルの数が豊富なため、まだまだホテルに空きがあり、価格もそこまで高騰していない。ホテル予約サイトの最大手、Booking.comで検索すると、それぞれ1泊1人あたり1万円台の部屋がまだ予約可能だ。

ナタールの場合はポンタネグラ地区がビーチリゾートで、スタジアムへのアクセスも容易なのでお勧めだ。サンパウロは空港付近にホテルが少なく、約25km離れたセントロ(街の中心地)に空港バスかタクシーで出た方が良い。

肝心のブラジルビザの取得方法は?

ブラジルは事前にビザを取得しないと入国できない国だ。観戦チケットと航空券の手配が終われば、W杯用のブラジルビザを無料で取得できる(観戦チケットを手配していないと、3,000円の手数料がかかる)。

ビザは東京、浜松、名古屋にあるブラジル領事館で取得できる。3カ所によってそれぞれ運用ルールが異なる点に注意したい(詳細は駐日ブラジル大使館のサイト参照)。申請から受取まで3~5営業日かかるため、早めに申し込みたい。

必要な書類はそれぞれの領事館のサイトに載っているが、基本的には下記の5つである。

  • 有効期限まで6カ月以上あるパスポート(旅券)のオリジナル
  • 専用の申込サイトで作成した申請書(操作手順の説明はこちら
  • カラーで撮影された顔写真(背景は白、サイズは縦4.5cm横3.5cm)
  • W杯の観戦チケット(もしくはFIFAから発行された、チケットを購入済であることを確認できるメール)
  • 航空券のeチケット(氏名、航空券番号、航空会社名、飛行機便名、ブラジルへの到着空港名、日付、ブラジルから出国する空港名、日付、運賃が記載されたもの)

ここまで手配できれば、ブラジル旅行の計画において8割方が完了したも同然だ。

4泊8日の個人手配だと、予算は約40万円まで落とせる

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全体で予算を大まかに見積もることとする。航空券は総額25万円。ホテル代も仮に1泊2万円の予算を組んでも4泊で8万円となる。食費は余裕を持って1日の予算を8千円とすると、ブラジルには4泊8日のうち5日間滞在するので、8千円×5日間=4万円とする。観戦チケットはカテゴリー3で90USドルなので1万円。サンパウロやナタール市内での空港⇔ホテル、ホテル⇔スタジアムのタクシー移動を合計2万円と見積もると、ちょうど総額40万円となる。

代理店ツアーに参加するよりも、20万円以上安くすることが可能だ。今後、安い航空券が売り切れていき、多少値上がりしたとしても、うまく旅程を組めば50万円未満でブラジルW杯が現地で観戦できるはずだ。

最も重要な問題はブラジルの治安対策

とはいっても、殺人事件や強盗事件が多発するブラジルに個人手配で行くのはさすがに怖い、と腰が引ける人も多いことだろう。更に海外旅行保険や現地通貨レアルの両替、現地情報の収集等々、個人手配での旅行の場合は事前に準備すべき事項が多岐にわたる。

ブラジルワールドカップへの行き方
ブラジルワールドカップへの行き方

そんな個人手配の方法を網羅的にまとめた電子書籍「ブラジルワールドカップへの行き方」を5月12日に出版した。10年間に及ぶ日本代表アウェイ遠征の経験と、今年1~2月にブラジルに下見に行って調べてきた現地ネタを融合して、史上最強に難易度の高いブラジルW杯を徹底攻略する本に仕上げたつもりだ。

5万字にも及ぶ原稿の中でも、主に治安の章においては、現地在住の日系人の方々が自ら実践する防犯対策をヒアリングしてきて、犯罪の種類別に事前防止策、事後対応策を整理している。ブラジル行きを検討している方は是非参考にしてほしい。

とにもかくにも、1人でも多くの日本人がブラジルW杯へ現地参戦し、少しでも日本代表の力になれば本望だ。そして、日本代表サポーター全員が無事に帰国することを願ってやまない。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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