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初心者にとってJリーグの大会形式は難しすぎ? 新しく導入される2ステージ制から各カップ戦までを解説

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
Jリーグの各大会の相関関係2015年版

Jリーグが23回目の開幕を迎える。今年から冠スポンサーとして明治安田生命保険相互会社を迎え、リーグ名称を「明治安田生命Jリーグ」に一新して2015年シーズンをスタートさせる。

更に今季からJ1リーグは、2ステージ制とチャンピオンシップを新たに導入する。この大会方式の変更は既存のサポーターから猛反発を受けたが(詳細は2カ月前に書いたコラムを参照)、改革は断行された。変更の目的はシーズン中に山場をより多く作り、新規の顧客層を開拓するためだ。

Jリーグはここ数年でJ1昇格プレーオフを導入したり、J3を創設したり、ほぼ毎年といっていいほど何かしらの変革を行っており、Jリーグを普段から見ているサポーターにとっても複雑な方式となっている。

そこで今回は、Jリーグのクラブが参加するそれぞれの大会の相関図2015年版をまとめた。加えて、新しいレギュレーションとなる2ステージ制とチャンピオンシップについても解説した。開幕前にそれぞれの大会の位置付けについて、再確認してほしい。

各大会の年間相関図

大きく分けてJリーグのクラブが参加する各大会は、リーグ戦とカップ戦の2種類となる。相関図は以下の通りだ。

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それぞれの大会ごとに概要をまとめる。

原則週末に開催される「明治安田生命Jリーグ」

2015年現在、JリーグはJ1、J2、J3の3部制をとっており、J1=18クラブ、J2=22クラブ、J3=12クラブ、合計52クラブが加盟している。各ディビジョンにて総当たりで試合を行い、年間王者を決める。2012年からJ1土曜、J2日曜の原則固定開催を実施しており(2014年創設のJ3は原則日曜開催)、8割方の試合が週末に行われる。

J1は今季から2ステージ制に切り替わるが、J2、J3は1シーズン制のままである。

今季から導入される「2ステージ制とチャンピオンシップ」

J1リーグは1stステージ(3月7日開幕)で17試合、2ndステージ(7月11日開幕)で17試合、計34試合を戦い、各ステージ1位の2チームと年間成績1~3位の3チーム、最大5チームが11月下旬~12月上旬に開催されるチャンピオンシップに進出する。

チャンピオンシップは1回戦、準決勝、決勝の3階層で行われる(図を参照)。

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年間成績1~3位と各ステージ1位のチームが重複した場合、1回戦がシードされる形となるため、リーグ戦の結果次第ではチャンピオンシップへの参加チームは最少3チーム、最大5チームとなる。一回戦は各ステージ1位チームのホーム開催、準決勝は1回戦を勝ち上がったチームのうち、年間勝点上位のチームのホーム開催となる。

1シーズン制の場合はいつ優勝が決まるかわからなかったが、チャンピオンシップを導入することで「優勝決定戦」の日付と会場があらかじめ決まるため、優勝の瞬間を見たいライト層にとってはわかりやすい仕組みとなったと言えるだろう。

J1の18チームで争われる「Jリーグヤマザキナビスコカップ」

J1リーグに所属する18チームが参加するカップ戦だ。優勝チームには来季のスルガ銀行チャンピオンシップ(スルガ杯)の出場権が与えられる。

ACLに出場している4チームにはシード権が与えられ、決勝トーナメントの準々決勝から参加する。残りの14チームを2グループに分けて、6試合の総当たり戦を行い、各グループの上位2チームが決勝トーナメントの準々決勝に進出する。

グループリーグの間は主に水曜日に開催されることが多い。準々決勝、準決勝はホーム&アウェイで行われ、決勝は一発勝負で行われる。

アマチュアチームにも参加資格のある「天皇杯」

J1リーグとナビスコ杯と並んで、国内三大タイトルのひとつ。Jリーグのプロチームのみならず、47都道府県の代表チームも出場する日本最大のサッカーのオープントーナメントである。

毎年、夏以降に1回戦が始まり、決勝は翌年の元日に行われる(2014年大会のみ例外)。1回戦から一発勝負のノックアウト形式で行われる。優勝チームには来季のACLとFUJI XEROX SUPER CUP(スーパー杯)の出場権が与えられる。

アジア王者を決める「AFCチャンピオンズリーグ」

アジアのクラブチャンピオンを決める大会で、ヨーロッパで絶大な人気を誇るUEFAチャンピオンズリーグのアジア版と言える。日本からは昨季の天皇杯優勝チームとJ1リーグの1~3位が出場する。

天皇杯優勝チームとJ1リーグの1~3位が重複した場合は4位チームが繰上げとなる。2015年から日本の出場枠は3.5枠となり、J1リーグ3位(もしくは4位)のチームがプレーオフに進むことになった。

アジアサッカー連盟(AFC)に加盟する国から32クラブが4チーム×8グループに分かれてグループリーグを戦う。各グループの上位2チーム、計16チームが決勝トーナメントに進出する方式。優勝チームには年末に開かれるFIFAクラブワールドカップ(クラブW杯)への出場権が与えられる。

Jリーグ開幕1週前に行われる「FUJI XEROX SUPER CUP」

昨年のJ1リーグ優勝チームと、天皇杯優勝チームがJリーグ開幕前に戦う1試合のみのカップ戦。前年のJ1優勝チームと天皇杯優勝チームが同一だった場合、J1リーグの準優勝チームが出場する。勝敗が90分で決まらない場合は延長戦を行わず、PK戦によって勝敗を決めるルールとなっている。

ナビスコ杯の優勝チームが出場する「スルガ銀行チャンピオンシップ」

昨年のJリーグヤマザキナビスコカップの王者と、南米のカップ戦であるコパ・スダメリカーナの王者が戦う一発勝負のカップ戦。夏の時期に開催される。

J2の3~6位が対戦する「J1昇格プレーオフ」

J1とJ2のクラブの入れ替えは、J1の年間勝点の下位3チームがJ2に自動降格、J2の上位2チームがJ1に自動昇格するルールとなっている。昇格チームの残り1枠をJ2の3~6位の4チームで争うのが、J1昇格プレーオフだ。J1リーグのチャンピオンシップと同時期に開催される。

J2の3位対6位、4位対5位でプレーオフ準決勝を行う(年間上位チームのホーム開催)。その1週間後、準決勝の勝者同士でプレーオフ決勝を中立地のスタジアムで戦う。準決勝も決勝も90分で同点となった場合、PK戦は行わず、年間順位上位が勝ち上がるルール。

J1のクラブライセンスを保持していないクラブはJ2年間順位が6位以上になっても参加できない。

J3新設と共に始まった「J2・J3入れ替え戦」

J2とJ3のクラブの入れ替えは、J2の年間勝点の最下位(22位)チームがJ3に自動降格、J3の優勝チームがJ2に自動昇格し、J2の21位とJ3の準優勝チームがJ2・J3入れ替え戦をホーム&アウェイで戦う形式をとっている。J1リーグのチャンピオンシップと同時期に開催される。

J2のクラブライセンスを保持していないクラブがJ3で1~2位になった場合、開催されない可能性がある。

まとめ

ひとつひとつの大会のレギュレーションを説明すると、複雑に思えるかもしれないが、各大会の関連性を意識するとすっきりするはずだ(上記の関連図参照)。

年間を通して主に週末に開催されるリーグ戦に、ナビスコ杯、天皇杯、ACLなどのカップ戦が火曜や水曜に挟んで開催される、と理解すれば概ね問題ないはずだ(当然例外はあるが)。11月下旬以降のポストシーズンについては、ここ数年で整備された新しい制度なので、今一度確認してほしい。

大会運営のレギュレーションが変わろうとも、目の前で繰り広げられる90分間の試合の面白さに変わりはない。新しい船出となるJリーグ、一人でも多くの方々にスタジアムまで足を運んでほしいと願うばかりだ。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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