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あなたの会社は「モチ型組織」ですか、それとも「オムスビ型組織」ですか!?

中原淳立教大学 経営学部 教授
(写真:アフロ)

「うちの組織は、まとまっているよね」

「どうも、うちの職場のチームには和がないね」

などと人が話すとき、そこには、「異なる2つの組織観」が透けて見えることがあります。「個と組織の関係」をめぐる異なる2つの考え方とでもいうのでしょうか。

ひとつの考え方とは「モチ型組織」。

これは「モチ」のメタファで表現されるとおり、この場合の個と組織の関係は、不可分、一体です。モチ型組織は、一粒一粒の「個」は融合して、ひとつの個体をなしているような組織です。

パラパラと舌の上で崩れる?モチってのがあったら怖いですね。やっぱり、モチは、どっしりと、ぐにょーんとモチであるべきです(意味不明)。

それに対して、もうひとつは「オムスビ型組織」というものがあります。

オムスビは、固まってはいるものの、一粒一粒の米は融合までには至ってはおりません。飯粒ひとつひとつは、くっきりとした輪郭をもち、融合せずに存立しています。しかし、それでいて、バラバラというわけではなく、ひとつのオムスビを「オラ、おにぎりだもんね」という感じで形成しています(笑)。

ここまでくれば「あっ、あれか」と思った方もおられるかもしれまえんが、「モチ」と「オムスビ」という2つのメタファを用いて、共同体の存立の様式を描き出したのは、見田宗介先生のコミューン論「気流のなる音」です。見田先生は、かつて1960年代ー1970年代のコミューンを、呪術師ドン・ファンの教えを受けるカルロス・カスタネダとのやりとりの中で、あざやかに描き出しました。今日のお話は、こちらを引用しつつ、妄想力?跳躍力?をたくましくして?、これを現代会社組織の話題に転換しています。

見田宗介先生は、前者のモチ型組織(共同体)が「一体性」を存立原理としているのに対して、後者のオムスビ型組織は「多様性」を原理としていることを論じました。

(見田宗介(2003) 気流の鳴る音―交響するコミューン. ちくま学芸文庫)

それからめぐる年月、約35年。

昨今では、ダイバーシティやら、多様な人材の活用やら、グローバル社会の人事やらがまことしやかに喧伝され、その前に、わたしたちの組織観、個と組織の関係も揺れています。

どういう状態を「理想」とするのかで、イメージが異なっています。古くて新しい問いが、いまだ残されています。

今日は2つの組織観、個と組織の関係をめぐる2つの異なる考え方の話をしました。

オムスビとモチは非常に単純なタイポロジー(メタファ)ですが、自らのもつ組織観についてリフレクションする際には、役にたつのかもしれません。

あなたの働く組織はモチ型ですか?

オムスビ型ですか?

あなたの目指す組織は、モチ型ですか?

それともオムスビ型ですか?

それとも他のかたちですか?

えっ、チャーハン型?

おかゆ型?

3分がゆ?

ちょっと「ゆる」すぎない(笑)

あなたはどういう組織を「よし」としますか?

そして人生は続く

立教大学 経営学部 教授

立教大学 経営学部 教授。経営学習研究所 代表理事、最高検察庁参与、NPO法人カタリバ理事など。博士(人間科学)。企業・組織における人材開発・組織開発を研究。単著に「職場学習論」「経営学習論」(東京大学出版会)、「駆け出しマネジャーの成長論」(中公新書ラクレ)「フィードバック入門」(PHP研究所)、「働く大人のための学びの教科書」(かんき出版)などがある。立教大学経営学部においては、リーダーシップ研究所・副所長、ビジネスリーダーシッププログラム(BLP)の主査(統括責任者)をつとめる。

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