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消化試合にはまだ早い! 初めて「王子」も「天才」も欠く王者ユーヴェ、注目される指揮官の手腕

中村大晃カルチョ・ライター

セリエAは第28節を終え、首位ユヴェントスが2位ローマに勝ち点11差をつけている。事実上、ユーヴェの4連覇は決まりというのが大半の見方だ。

現地時間4日の第29節で、ユヴェントスはホームでエンポリと対戦する。優勝が濃厚なうえ、格下との一戦とあり、注目するファンは少ないだろう。だが、ユーヴェを率いるマッシミリアーノ・アッレグリ監督の手腕を見るには、興味深い一戦になるかもしれない。

マイナーチームのエンポリだが、マウリツィオ・サッリ監督の戦術は高く評価されている。ミランの次期監督候補の一人と言われるのも偶然ではない。中盤には、28歳でイタリア代表デビューを飾った遅咲きの司令塔ミルコ・ヴァルディフィオーリを擁する。

一方のユーヴェは、その司令塔が不在となる見込みだ。「天才」アンドレア・ピルロ、そして「王子」ことクラウディオ・マルキージオが欠場するとみられている。

今季、ユーヴェが「王子」と「天才」をそろって欠いたことはなかった。ピルロ不在時に司令塔の位置に入っていたマルキージオもいないのは、アッレグリ監督にとって初の事態なのだ。しかも、中盤はポール・ポグバも負傷で離脱中。ちょっとした危機にある。

消化試合であれば問題ない。だが、優勝を早く決めるためにも勝ち点3は欲しいところ。また、これからコッパ・イタリア準決勝セカンドレグのフィオレンティーナ戦、チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグのモナコ戦と大事な試合が続くだけに、エンポリ戦での躓きは避けたい。

だからこそ、チームの核である中盤の主力を欠くアッレグリ監督の手腕が注目される。3連覇を成し遂げた前任者の突然の退任で急きょ就任したにもかかわらず、ここまで周囲を納得させる結果を残してきた同監督は、特に与えられた状況下で任務をこなす柔軟性に定評がある指揮官だ。

ミランで解任の憂き目に遭ったアッレグリ監督と、そのミランが現在注目するサッリ監督の戦術バトルが、大一番とは違った面白さを見せてくれることに期待したい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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