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ほぼ満点のユーヴェをナポリとインテルが追い、ミランは最下位…セリエA、夏の補強の採点

中村大晃カルチョ・ライター
ユヴェントスはイグアインやピアニッチを獲得(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

夏の移籍市場が31日に終わった。長かったマーケットで、各クラブはうまく補強できたのか。イタリアメディアはどうみているのだろうか。

イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、今夏のセリエAの投資額は7億735万ユーロ(約814億円)。13億ユーロ(約1496億円)を上回るプレミアリーグには遠く及ばないが、5億4300万ユーロ(約625億円)のブンデスリーガ、4億5800万ユーロ(約527億円)のリーガエスパニョーラを上回っている(※セリエ以外のリーグは現地時間31日23時30分時点での推定)。

最高額を投じたのは、前人未到の6連覇を目指す王者ユヴェントスだ。『ガゼッタ』や『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、ほぼ完ぺきに近い補強をしたと高く評価した。

史上最高額でポール・ポグバを売却し、レアル・マドリーにアルバロ・モラタを買い戻されたユーヴェだが、イタリア記録となる9000万ユーロ(約103億6000万円)でナポリからゴンサロ・イグアインを獲得。ローマからも3800万ユーロ(約43億7000万円)の契約解除金を払ってミラレム・ピアニッチを手に入れた。主力を引き抜くことで、直接のライバルたちを弱体化させつつ、自分たちの強化を実現させた形だ。

ほかにもユーヴェはダニエウ・アウベス、メディ・ベナティア、マルコ・ピアツァと適材適所の補強を実現。最終日には、チェルシーからの3年レンタルでフアン・クアドラードも取り戻している。

一方、序盤こそロレンツォ・トネッリとエマヌエレ・ジャッケリーニという地味な補強にとどまっていたナポリだが、イグアインをユーヴェにさらわれてからは、アルカディウシュ・ミリクを筆頭に、ピオトル・ジエリンスキ、アマドゥ・ディアワラ、マルコ・ログと期待の若手を次々に確保。最終日には以前から狙っていたニコラ・マクシモビッチを獲得し、マノーロ・ガッビアディーニも残留した。

インテルもマーケット終盤に大きく動いたクラブだ。ラツィオからアントニオ・カンドレーヴァを獲得すると、さらにスポルティングからはEURO2016覇者ポルトガル代表のジョアン・マリオを、サントスからはリオデジャネイロ・オリンピックで金メダルを獲得したブラジル代表ガブリエウ・バルボサを獲得。フリーでエベル・バネガを手に入れたことも高い評価ポイントだ。

逆に低評価だったのが、クラブの身売りをめぐる交渉が長引き、マーケットに大きく影響したミランだ。中国コンソーシアムへの売却は、最終的に仮契約に至ったが、今夏の市場に投資するには間に合わず。“爆買い”は1月からとも言われており、敏腕ディレクターのアドリアーノ・ガッリアーニCEOにとっても苦しいマーケットとなった。

『ガゼッタ』による各クラブのマーケット採点は以下のとおりとなっている。

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なお、『コッリエレ』の採点では、ユヴェントスが9.5点。ナポリは8.5点、インテルは8点と『ガゼッタ』と同じだった。トリノが7.5点、サッスオーロが7点とさらに高く評価されており、ミランは5点だったが、20チーム中最下位なのは変わらなかった。

また、『ガゼッタ』による各クラブの支出・収入・収支額はこちらのとおり。

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支出・収入ともにユヴェントスが断トツ。にもかかわらず黒字を確保しており、適材適所の補強もあって、採点が高いのもうなずける。一方で、ミランは支出を抑えたにもかかわらず、収入もなく、結果は赤字。加えて、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督が望んだレジスタやセンターバックの獲得もなかった。厳しい採点はやむを得ないと言えそうだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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