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「採点なし」と「及第点」…イタリアメディアは決勝点に絡んだ本田圭佑を評価したのか

中村大晃カルチョ・ライター
クロトーネ戦で5試合ぶりにリーグ戦出場を果たした本田圭佑(写真:アフロ)

ミランMF本田圭佑が4日、セリエA第15節クロトーネ戦で10月25日のジェノア戦以来5試合ぶりの出場を果たし、決勝ゴールに絡んだ。地元メディアは、1カ月以上ぶりに出場した本田のプレーをどうみたのだろうか。

本田は1-1のタイスコアで迎えた81分、この日精彩を欠いたエムバイェ・ニアンとの交代でピッチに登場。これまでの右サイドとは反対の左サイドでプレーした。86分に後方から相手選手のプレッシャーを受けながらもボールをキープしてファウルをもらい、FKを獲得。これを自ら蹴ると、ゴール前のこぼれ球をジャンルカ・ラパドゥーラが押し込み、ミランが2-1と逆転勝利を飾った。

当然、日本のメディアは本田が決勝点に絡んだことを取り上げたが、少なくとも採点を見る限り、本田のプレーにあまり目を引かれなかったというイタリアメディアは少なくないようだ。

いわゆる3大スポーツ紙とされる『ガゼッタ・デッロ・スポルト』、『コッリエレ・デッロ・スポルト』、『トゥットスポルト』を筆頭に、衛星テレビ局『スカイ・スポーツ』やミラン専門サイトの『milannews.it』、ウェブ系の『milanorossonera.it』、『calciomercato.com』、『tuttomercatoweb.com』、『calciomercato.it』、『datasport.it』と、本田を「採点なし」とした大手メディアは多い。

『ガゼッタ』は「ニアンと交代したのは残り15分を切っていたが、ゴールにつながるFKでわずかに足跡を残す」、『milanorossonera.it』が「終盤から出場、影響残さず」と、わずかながらに寸評をつけた。だが、コメントなしというメディアがほとんどだ。なお、『スカイ・スポーツ』のユーザー採点は5.63点となっている。

もちろん、一方で、及第点をつけたメディアもあった。『スカイ・スポーツ』と同じテレビ局の『メディアセット』や一般紙『レプッブリカ』だ。後者は「左サイドで有益。ここまでは稀に逆サイドで起用されていた。彼にとってミランにおける新時代の幕開けを示しているかは分からない」とコメントしている。

ミラン専門サイトの『ilmilanista.it』(「うまく試合に入り、ラパドゥーラのゴールは彼のボールから生まれた」)と『it.eurosport.com』(「ラパドゥーラのゴールにつながったボールを入れたのは彼」)も、決勝点につながったFKを評価した。

アディショナルタイムを含めて10分強とプレー時間が短かったのは確かだ。それでも、筆者は少なくとも及第点に値すると考える。結果を重視するカルチョの世界なら、なおさらだ。クロトーネ戦だけをみれば少なくとも評価には値するのではないか。

いずれにしても、メディアの評価を一変させるに至らなかったことは確かだ。だがそもそも、採点はメディアの主観でしかない。最も大事なのが、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の評価であることは言うまでもないだろう。そして、その指揮官が試合前日と試合後の両会見で本田に賛辞を寄せたのは事実だ。本田への評価は変わったのか。それは、今後の起用の仕方で分かるはずだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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