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セリエA、いよいよユヴェントスとローマの天王山! 両軍のチェックポイントは…

中村大晃カルチョ・ライター
昨季はディバラの決勝点でユーヴェがホームでローマを撃破(写真:ロイター/アフロ)

17日のセリエA第17節で、首位ユヴェントスと2位ローマの天王山が行われる。王者が勝てば勝ち点差は7と広がり、追うローマが勝てばその差はわずか1となる大一番だ。スクデットを争う直接対決を前に、イタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』が両チームの注目ポイントを報じた。

負傷者を出しながらもリーグ最少失点と相変わらずの守備の強さを誇りつつ、ローマに続くリーグ2位の得点力も持つユヴェントス。2年目のエディン・ジェコが12得点と爆発し、圧倒的な攻撃力を見せつつ、失点数もリーグ3位と守備力が増したローマ。前人未到の6連覇を目指す王者と、宿敵の覇権に終止符を打ちたい首都の雄の対決は、タイトルの行方を左右するビッグマッチだ。

試合まで数日あるが、現地時間14日付の『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、両チームのスタメンを次のように予想している。

◆ユヴェントス(4-3-1-2)

ブッフォン

リヒトシュタイナー、ルガーニ、キエッリーニ、サンドロ

ケディラ、マルキージオ、ストゥラーロ

ピアニッチ

マンジュキッチ、イグアイン

◆ローマ(4-1-4-1-)

シュチェスニー

リュディガー、マノラス、ファシオ、ヴェルメーレン

デ・ロッシ

エメルソン、ストロートマン、ナインゴラン、ペロッティ

ジェコ

以下、『コッリエレ』紙の注目ポイントをざっくりと紹介したい。まずはマッシミリアーノ・アッレグリ監督率いるユヴェントス側の視点だ。

1:システム

ローマが2列目にサラーないしエル・シャーラウィを起用し、攻撃的にくると予想するなら4バック。

2:ストップ・ザ・ジェコ

マークさせるべきはキエッリーニ。ルガーニも優秀だが、これほどのストライカーでは若手が苦しむこともあり、ミラン戦でもロマニョーリが苦戦した。バルザーリは先発復帰の保証がない。

3:ナインゴラン包囲網

“友人”のピアニッチがトップ下からポジションを下げつつ、両サイドが状況に応じて中央に絞る形で囲い込む。

4:中盤も協力してサイドを警戒

4バックにすることでセンターバックの一人がヘルプに入ることも可能となるが、相手サイドバックの攻め上がりやウィングのカットインを止めるためには、ケディラとストゥラーロのインサイドハーフの協力が欠かせない。

5:中盤の構成

ボヌッチ不在でフィードを欠くため、ケディラの飛び出しとマルキージオの展開力、サイドからのクロスに期待。トップ下に入ることでピアニッチは自由とスペースを手に入れつつ、守備時はデ・ロッシのフィードや組み立てをチェックする役割も。

6:ディバラ復帰で前線の構成は?

エースのイグアインに加え、マンジュキッチも好調とあり、ミッドウィークのディバラのコンディション次第となる。ディバラが先発出場ならイグアインとコンビ。ベンチスタートならイグアインとマンジュキッチの2トップか。

7:ディバラ包囲網を破るには

センターフォワードとのポジション交換による横の動きと、トップ下に位置するピアニッチと入れ替わる縦の動きを組み合わせる変化がポイント。

8:ピアニッチの気負い

古巣対決で気負いすぎが懸念されるが、今週初日の練習では落ち着いた様子。気合は入っているが、適切な状態。

9:アプローチ

ローマが得意とするカウンターの危険にさらされないように焦らないことが重要。戦術的な試合になる可能性も除外できない。

10:試合中の切り札

ディバラも途中出場で危険な存在となれるが、本当の切り札はクアドラード。

次に、ローマサイドの視点で『コッリエレ』は次の10項目を挙げている。

1:ストップ・ザ・イグアイン

フィジカルを生かした守備でパス供給者との間を断つ。イグアインはナポリ時代の3年間でローマ戦8試合2ゴール。

2:マエストロ・ピアニッチの脅威

期待に見合っていないとされながらも今季5得点。「マエストロ」にFKを蹴らせないために、ペナルティーエリア付近では絶対にファウルを避けることが求められる。ピアニッチがトップ下なら、デ・ロッシの役割はさらに重要に。

3:復帰が期待されるサラー

ユーヴェ戦は負傷してから17日後の試合。当初は全治3週間と診断されたサラーのプレー時間は、30分以上はないとみられる。

4:守備力

直近でラツィオ、ミランと直接対決が続いたが、2試合連続でクリーンシート。リーグ3位の失点数にとどめている守備陣が、総得点2位のユーヴェを止められれば、“卒業試験”突破と言える。

5:離脱したペレスの代役

エル・シャーラウィを起用してペロッティを右サイドに移す案のほかに、ヴェルメーレンを左サイドバックとし、エメルソン・パルミエリを2列目に上げる方法も予想。

6:ナインゴランの役割

ユヴェントスのパス回しを苦しめつつ、ショートカウンターの発動も求められる。試合へのアプローチが正しければ、ナインゴランはピアニッチを苦しめる最適の選手に。

7:後半を待つのは危険

今季のローマは36得点中25得点を後半、うち18得点をラスト30分に決めている。だが、スパレッティ監督は偶然と主張しており、いずれにしても好ましい傾向ではないと強調。前半がスコアレスで終わる保証はなく、ユーヴェ相手では…。

8:3バックの可能性

ヴェルメーレンを先発起用するなら一つの案だが、可能性は低い。

9:ジェコ孤立の恐れは…

ジェコは得点だけでなく、見事な攻撃の指揮者であることも示しているおり、一人でも面白いシチュエーションをつくることができる。

10:ユヴェントス・スタジアムのジンクス

ローマはこれまで6戦6敗と苦手にしているが、昨季は終盤にディバラの一発でやられたものの、ユヴェントスを苦しめている。

もちろん、シーズンはまだ折り返し地点も迎えておらず、この天王山の結果でタイトルが決まるわけではない。だが、昨季もユヴェントスが5連覇に大きく前進したのは、ナポリとの天王山を制したからだった。このシックスポインターの影響が大きいことは言うまでもない。ケディラは次のように意気込んでいる。

「首位と2位の対戦だから、最高の試合ということだ」

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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