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新背番号5も活躍で5連勝のインテル、CL出場への追い風となる5つの要素

中村大晃カルチョ・ライター
昨年11月に就任したインテルのステファノ・ピオリ監督(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

長友佑都が所属するインテルが、セリエAで5連勝と好調だ。このまま挽回を続け、チャンピオンズリーグ(CL)出場権を得ることはできるのだろうか。

キエーヴォ戦で逆転勝利したインテルは、11月8日にステファノ・ピオリ監督を招へいしてから、8試合で6勝1分け1敗、勝ち点19を記録している。1試合平均の勝ち点は2.375。ピオリ監督が就任するまでの1.416と比べれば、その差は歴然だ。

暫定ながらミランに勝ち点で並んだ5位タイのインテルは、CLを狙えるのだろうか。イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のヤコポ・ジェルナ記者は、試合後の電子版の記事で、インテルを後押しする要素が5つあると主張している。

◆インテルの追い風となる5つの要素

まずは、ピオリ監督の存在だ。ジェルナ記者は、指揮官が攻撃に偏りがちなインテルに最低限のバランスをもたらし、さらに選手たちの意識改革に成功したとみている。キエーヴォ戦で“不当”な先制点を許しながら、動揺せずに自分たちのサッカーを続けて挽回したこともその一例とした。

次に、キエーヴォ戦でデビューしたロベルト・ガリアルディーニの存在だ。ボーナス含め2800万ユーロ(約34億円)と言われる移籍金、さらには加入正式決定からわずか3日後のデビューとあり、重圧は小さくなかった。だが、22歳の若者は堂々のパフォーマンスを披露。ジェルナ記者は、インテルの新たな背番号5が「チャイナ・インテルの新たなサイクルの中心」だと賛辞を寄せている。

もちろん、キャプテンを務めるエースの存在も大きい。イカルディはインテルで111試合出場62得点とゴールを量産している。3冠達成時のエース、ディエゴ・ミリートは、128試合で62得点だ。イカルディは今季15得点。『ガゼッタ』の15日付紙面記事によると、3年連続で15得点以上を記録したのは、クリスティアン・ヴィエリやズラタン・イブラヒモビッチ以来という。

そのイカルディにボールを供給するペリシッチとアントニオ・カンドレーヴァの両翼も、インテルの強力な武器だ。ジェルナ記者は「彼らのおかげでインテルには豊富で見事な攻撃の解決策がある」とし、キエーヴォ戦で3バックに移行したときのように、必要に応じて守備もこなすと称賛している。

最後は、選手層だ。ガリアルディーニの加入に加え、キエーヴォ戦ではジョフレイ・コンドグビアが復活を期待させる好印象を残した。出場停止だったマルセロ・ブロゾビッチも含め、ジェルナ記者はピオリ監督が手にする中盤の選択肢は5枚と指摘。さらに前線でも、エデルが途中出場で試合を変える「完ぺきな特徴」を備えているとした。

◆厳しいことに変わりはないが…

ピオリ監督は先日、CL出場権獲得には勝ち点80が必要と述べた。残り18試合で勝ち点44を手にするには、1試合平均で2.444とさらにペースアップしなければいけない。厳しい状況であることは明白だ。

だが、『コッリエレ・デッロ・スポルト』は14日付の記事で、2010-11シーズンをはじめ、インテルが過去にも挽回劇を見せてきたことを報じている。その『コッリエレ』紙の元編集長であるクサヴィエ・ヤコベッリ氏は15日、「本物のチームになった」インテルのCL出場は可能との見解を示した。日程がインテルの追い風になるとの声もある。

インテルは1月の残りのリーグ戦でパレルモ、ペスカーラと降格候補の2チームと対戦する。まずは、この2試合で取りこぼしをせず、7連勝で2月5日のユヴェントス戦を迎えることが第一歩だ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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